【第一章】第十三話
「入学検査に合格したのですから、もう使えるはずですわ。」
「そんな、いきなり魔法とか言われも。」
「魔法の使い方がわからないと言うんですの?とことん勉強せずに、ここに来たということですわね。魔法で使う魔導具にはいろんな種類があります。中には、全魔法歯医者が共通して使うものがありますわ。先ほど、合格通知として先生からもらった歯ブラシがありますわね。これを口の中に入れて、虫歯をゴシゴシやってごらんなさい。」
「ええっ?そんなの痛いに決まってるじゃん!」
「その痛みに耐えられないならば、魔法を使う資格はありませんことよ。」
「はあ?う~ん。仕方ないなあ。じゃ、じゃあ、牙狼院さんに清水の舞台から、突き落とされたつもりでやってみるよ。」
「いちいち、ツッコミたくなるような言い方は、よしてくださる?」
「いやだなあ。で、でもこれをやらないとダメならしょうがないよね。うん、うん。よ、よ~し!こうだ!」
「ぐげ!何をなさるの!」
花子は歯ブラシを絵梨奈の口に突っ込んだ。
「あれ?間違えちゃった。ゴメンナサイ。」
「ワザとやってるとしか思えない顔をしてますわよ。」
「手元が狂っただけだよ。よし、今度こそ。」
「ちょ、ちょっと、まさか、洗わずにそのまま、自分の口に入れるんですの?」
「そうだよ。何か悪い?」
「ちょっと、汚い、いや、か、仮にワタクシの唾液が付着していたとしても、それは衛生的ですから、も、問題なんてありますわね。通常の間接キスよりもの、濃厚な感じがしますけれど、し、仕方ないですわね。」
なぜか、顔が赤くなった絵梨奈を不思議そうに見つめる花子。
「じゃあ、この歯ブラシ使うよ。」
「お、お好きになさい。で、でも、優しくして、ですわ。」
「何言ってるの。歯ブラシなんだから、ゴシゴシいかないと。」
「ゴシゴシだなんて!?きゃあああ~!」
絵梨奈は卒倒しかかった。
「じゃあ、行くよ。ゴシゴシ。いた~い!!!」
痛みのせいか、花子の眼に涙が溜まっている。




