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【第一章】第十一話

花子が受け取ったものは、薄い茶色で透明なプラスチック歯ブラシであった。

 それに合わせて、花子は白いシャツとプリーツスカートに着替えた。これで見た目は、リリーズデンタル学園生徒っぽく変身した。


 外には絵梨奈が腕組みをして待っていた。


「この学園の校則を説明して差し上げますわ。診療報酬、つまり治療代を一周間で最低10万円は稼ぐこと。これは寮費の負担がないのですから、当然の義務ですわ。寮費は稼ぎから自動的に引かれます。」


「それが稼げないとどうなるの?」


「その時点で、退学となりますわ。」


「ええっ?どうやって治療代を稼ぐのか、わからないのに?」


「何をおっしゃいますの。週に10万なんてわずかですわよ。」


「そんなあ~!」


すでに全力で泣き顔モードの花子。


「うっ。その顔はなんですの。ごほん。それだけではありませんわ。」


 一瞬奇妙な表情になった絵梨奈。


「なに?死人にムチ鬱の?」


「その漢字変換は受け入れませんことよ。1ヶ月で校内ランキングを取って、最下位生徒は退学となりますわ。」


「ひどいよ~!学校って、生徒のためにあるんじゃないの?」


「根本的に間違ってますわ。学校は学園都市のためにあり、住民の健康維持と安全のためにあるのですから。成績の悪い生徒、すなわち役に立たない者が駆逐されるのは至極もっともなことですわ。そしてここからが重要です。稼ぎ、つまり診療報酬上位者は、魔法歯医者の資格を持てます。自分の魔法で治療を行うことができるのです。」


「えっ、それ、ホント?」


意気消沈していた花子の顔の筋肉が蠕動運動を始めた。


「校則に嘘、偽りはありませんわ。」


「やったあ!それなら、青い歯を見つけ出して、お母さんを治すことができるし、売られたあたしを回収できるよ。」


「自分を回収?わけのわからないことをおっしゃいますのね。まあ、いつものことでしょうけど。ただし、魔法歯医者資格取得者は年にふたりだけですわ。今年はワタクシが該当者になりますから、枠はあとひとりと決まってますけど。オーホホホッ。」


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