【第一章】第十話
「いやぁ~!ハダカなんていやだよ~!」
激しく抵抗しようとする花子。
「この拒絶反応、いいねえ。じゅる。ならばこれだな。」
注射器を取り出して、花子の目の前に針を立てた歯医者。
「注射!大嫌いだよ、やめてよ!」
「いやよ、いやよ、はツンデレな証拠。ほらほら、イタくするから、楽しみな。」
「痛いのなんて、楽しくないよ!」
花子は恐怖で萎縮してしまい、日頃のパワーが発揮できない。加えて、叫び声で口を開けていたところに、歯医者はプスリ。
「いたああ!」
麻酔はすぐに効いて、動けなくなった花子はハダカにひんむかれ、椅子に座らされた。
「さあ、検診だよ。大きく口を開けるんだよ、奥がよ~く見えるようにね。」
「は、恥ずかしいよ~。」
「口の中がそんなに恥ずかしいのかい?別にいやらしいところはないだろう。それともどこかに毛でも生えてたりするのかい。」
「そんなバカなことがあるか~!」
「ほらほら、その意気だよ。よ~く中が見えるよ。ふむふむ、虫歯は前歯だけだね。しかも歯垢獣がいる形跡はないねえ。あんた、列車内で歯垢獣に出会ったらしいけど、それはあんたのモノじゃないよ。」
「えっ?どうしてそんなこと、知ってるんだよ?」
「歯医者は患者のことを何でも知ってなきゃね。まあ、あんたは患者ではないけど。よし、診察は終わったよ。」
「ハダカにした意味はなんなのよ?」
「それは、虫歯が進行した場合に、からだのあちこちに異変が出るからだよ。なんならからだのすべてをチェックしてもいいんだけど。たらり。」
「超遠慮するよ。」
「そうかい?残念だね。というわけで、山場花子、虫歯適性に問題なし。リリーズデンタル学園入学試験、合格。」
「これで合格!?てか、今のが入学試験だったってこと?そういうこと。それでは今後のことは、同室のパートナーに聞いておくれ。くれぐれもすぐに放校にならないようにな。ニヤニヤ。ほら、これが合格の印だよ。」
「何これ?こんなもの、いくらあたしでも持ってるけど。」




