勇者は話す
クレスはさなぎになった。
羽化...いや進化するのは、いつ頃になるだろう。
早く姿が見たい。
ルームメイト?のレオンも寂しいだろう。
そうだ。今度レオンを孤児院に連れて行こう!子どもたちも喜んでくれるといいなあ〜。
とにかく今日は寝る。おやすみーん。
おはよーう。俺だよ。
クレスを見るがまだリビングの隅でさなぎ状態だ。
俺はフォルとレオンを連れ、孤児院に向かう。ベルは別の日にな。
孤児院に行くと院長が出迎えてくれた。
「わざわざお越しくださってありがとうございます。どうぞ子供たちと遊んであげてください。」
「もちろん、そのつもりだよ。」
俺は言う。
「フォル、レオン!子供たちにダイレクトアターック!」
「がぴー!」
「きゅぴよん!」
「わーフォルが来たー。みんなフォルに乗ってあそぼう!」
「あー!新しい子もいる。あっ消えた!かくれんぼだね。負けないよー!」
俺は、フォルとレオンが子どもたちと遊ぶのを、院長先生とともに眺めていた。
「元気だなー。何人ぐらいいるの?」
「そうですねー...32人です。大人になった子は全員、冒険者になるんです。ダンジョンが近くにあるという理由からですね...」
「そうなんだ。やっぱりここを出て行かれるのは寂しい?」
「はい、少しだけ...でも誇らしくもあるんです。私の育てた子が立派になっていくのが。」
「そういう経験ないけど、わかる気がするな...」
今フォルたちと遊んでいる子どもも冒険者になるのか。
死んでほしくないと思うのは、俺の性格ゆえか、勇者ゆえか。
それはわからないが、俺のダンジョンに来たら生かして逃がそうと思った。
この前のような敵意のない魔王が来ても生かそう。勇者も同じくね。
まあこの前の魔王は、絶対勝てなかったが。
とりあえず今日も平和な1日だった。
俺はマスタールームにて寝る。




