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勇者は魔王に勝てない
コンコン
マスタールームがノックされている。
「は、はーい、どちら様ですかー?」
俺が言うと、
「こんにちは、通りすがりの魔王です。」
マジで魔王だ。
がちゃり
ドアを開けると、ダンジョン魔法で見た顔がそこにある。
とりあえず穏健に、
「中へどうぞ。」
「はい、お邪魔しますね。」
部屋の中に入り、ちゃぶ台を挟んで対面する。
「私は魔王。属性は....言わなくていいわね。
私はたまたまダンジョン都市デインジャを訪れたんだけど、変なところにダンジョンの入口があったから気になったの。
あなた勇者でしょ?それも最近産まれた。だって見たことないもの。」
「はい、そうです。」
それしか言えない静かなプレッシャー。
「じゃあ私の魔法であなたに適合するプレゼントをあげます。大切にしてね?」
「はい。」
魔王は転移して消えた。
もうダンジョンの外のようだ。
「あー!緊張した!プレッシャーやばすぎでしょ!」
俺は一人でわめいたあと、魔王が言ったプレゼントを見た。
「卵...?だよな...。」
そう紛れもなく卵だ。
疲れた俺は、魔王に荒らされたフロアをきれいに元に戻し、そのまま眠りに落ちた。