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女将軍の話〜プロローグ〜

世界は広いのだろう。

世界は美しいのだろう。

空は広いのだろう。

空は美しいのだろう。

海は広いのだろう。

海は美しいのだろう。


こんなに広い世界に見捨てられた2人が不憫でならなかった。手元の幼い双子を引き寄せて息を吐く。

同じ金色の髪。閉じられた瞳の奥には、同じ金色の目が覗くはずだ。

飢饉によって捨てられた双子を優しく撫でた。

いつのまにか、隣には胡座をかくようにして弟が座っていた。

この弟にはもうとっくに身長を越されていて、170近くあるらしい。

12でこれなのだ。まだまだ伸びるだろう。

私の膝で眠る幼い双子。

片方は女、片方は男。

弟が口を開く。

「....レイが泣いていたぞ。アリアとサキアばかり構うのだと」

寡黙で興味のなさそうなこの弟にしては珍しいことを言うものだ。

だが私は知っている。

私がいないところではレイというもう1人の妹にも、アリアとサキアというこの双子にも甘すぎるほどに構ってやっていることを。

実質私と血が繋がっているのはこの隣に座る弟、ガイ1人だ。レイは親とはぐれたところを拾った。アリアとサキアは先述した通り、飢饉で捨てられていたところを拾った。

........飢饉が起きるほど過酷な世界なのだ。

なのに私にはこうして4人もの弟や妹を養う富と食料が与えられている。

それは「いつまで隠すつもりだ」



いまこいつはなんと言ったか



「俺はとっくに知っている」

静かな口調で紡がれる言葉に、少し窮す。

だが、すぐに気づいた。

血に塗れて帰ったところを見られたのだ。

「....私は、お前達を戦いに出すために育てている」

静かに言えば、息を呑む気配。だが、口を挟まない。我が弟ながらできた奴だ。

「戦争が起きていることは知っているだろう。片方はたかが商人だが...私を雇い、総隊長を務めさせた。さっさと終わるだろうと思った。それがどうだ、あの男の采配は素晴らしいものだったよ」

相変わらず撫でる手は止めず。

飢饉が起きているのは戦争のせい。

はぐれたのは戦火から逃げる途中。

要は私のせいなのだ。

だから見捨てることができなかった。


「なら俺はゼロ、お前や妹、弟達のために戦に出る」


また阿呆なことを言う。

突っ走りすぎるのはこいつの悪い癖だ。

そして姉を呼び捨てにすることも。

あぁ、だけれど






嬉しいな、1人でないということは

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