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義弟と仲良し認定された件。

学校が休みだったので、頑張りました…っ!


お気に入り登録が2000人以上になった時点でちょっと実感が湧かなくなってきたシンクロウです。

2000人ってどのくらいなんでしょう…?

全校生徒の二倍…体育館二個分…?

——す、すごいことになってます!

感激です!


感想も、嬉しい意見、厳しい意見、ともに参考になります。


そして、い、いつの間にか逆お気に入りユーザーが100を超えているっ!

本当にありがとうございます!


義姉視点です。

叔母さんが家を出るらしい。








結局、病気が治ったと分かった日、ジョシュアは終始ニコニコしていた。

……仲良くしてって、きっと普通の意味じゃあないよね、怖い。


そして何より、距離を詰めてくるのをやめてくれませんか……。

近いんだけど。ものすごく近いんだけど。


普通はこんな整った顔が近くにあったら「きゃあっ!」って黄色い歓声あげるんだろうけど、今の私は「ぎゃあっ!」って野太い悲鳴をあげそうだ。


たまに全部分かっててやってるんじゃないかと思う時がある。まあ、そんなはずはない。

私の計画は完璧ですから!

……ああ、でも裏目に出てる。


と、ドアがバンッと勢いよく開く。

びくりと体が跳ねた。


「メリアーゼ! 聞いたわ、病気治ったのですってね!」


ガクブルしていた私を解放してくれたのは、叔母だった。

私が言えることじゃないけど、落ち着きがない。


目があったかと思うと、パッと飛びついてきて、顔を胸にぶつけるようにうずめてきた。


「うぇっ、ゴホッ!」


ちょっと、潰れたカエルみたいな声が出ちゃったじゃないか!

実際、聞いたことないけども!


叔母さんはそっと顔を上げる。


「あら、大丈夫?」

「いえ……」


いや、あなたのせいですが、とは言えなかった。

上げた目線に喜び以外の感情が見えた気がして、私は目をまばたいた。

なんだろう、哀れみ、みたいな。


そんなことを考えていると、叔母さんは今度はジョシュアに視線を向けてパッと笑った。

え?


「あらジョシュア! 久しぶりね!」

「え、あ、はい……」


あれ? 叔母さんとジョシュアって仲悪いんじゃなかったのか?

いや、仲悪いというか、叔母さんが嫌ってたはずなのに。


見るとジョシュアも混乱した顔をしている。

そうなるよね。いじめっ子が突然親しくしてきたような状況だもん。


私たちの反応を見て叔母さんは少し表情を沈めた。


「そうよね、私、貴方にひどいことしたものね」

「え、あ、いえ、その、そんなにひどいことはされてませんし……むしろ何もされてませんし」


ジョシュアが困ったように目を逸らせば、叔母さんは顔を明るくする。


「あらそう? 良かった!」


ええ!? 切り替え早っ!

いや、もうちょっとなんかあってもいいんじゃないかな!?

それに別にジョシュア許したって言ってないと思うけど!


叔母さんは両手でジョシュアの顔を挟んだ。

うっと声が出て、タコ顔をになる。

……面白い。ちょっと吹き出しそうになった。


「ねえねえ、顔見せて頂戴な! 一度じっくり見てみたかったの! ああやっぱりかっこいいわね」


うんまあ確かにジョシュアはイケメンではあるけど。

ってそうじゃなくて、叔母さんミーハーすぎるだろ!

天真爛漫? マイペース?

ああもうともかく自由気まま!


こんな人だったっけ⁈

最近あまり話してなかったけど、と記憶を辿ってみれば——ああ、うん、こんな人だったや……。

むしろ全然変わってない。


ジョシュアがチラチラと助けを求めるような顔でこちらを見てきた。

珍しい表情だなぁ。


「おば……エルゼ様、ジョシュアが困ってます。離してやってください」

「えー、はぁい」


口を尖らせる叔母さんは到底30になるようには見えない。

今度は後ろから抱きしめた。……離す気はないらしい。

まだ小柄なジョシュアは叔母さんの腕にすっぽり収まる。


公式資料では165はあったから、今から伸びるんだろうか。

あと10センチも?

成長期ってすごいな。


叔母さんはくるくるとジョシュアの金の髪をいじっていた。

ジョシュアは邪険にもできず困っている。


「でも、二人の仲が良さそうで安心したわー」

「え、そう見えるんですか?」


だとしたら叔母さんの目は相当の節穴だ。

眼科に行くことをお勧めしたい……ところだけどこの世界の医者は眼科とかないっぽいからなぁ。


叔母さんはキョトンとした表情で言った。


「そう見えるも何も、仲が良いじゃない」


——あの紫の瞳はもしかしたら義眼かもしれない。

本気で疑わしいんだけど。


私はこの通りジョシュアの笑顔が苦手だし、ジョシュアは……いじめてくれる人とか思ってるのだろうし。うわぁ……。


そんなことを考えていると、叔母さんはジョシュアの耳元で何かを言い——ジョシュアはハッとした顔で頷いた。


なになに? 何を話してるの?

気になったけれど、教えてくれる気はなさそうだ。


叔母さんは真面目な顔になったジョシュアを見て、さっと立ち上がった。ジョシュアの体が少し揺れる。

晴れやかな表情で叔母さんは呟いた。


「これで私も安心して出ていけるわね」

「え?」


叔母さんが何を言ったのか、一瞬理解できない。

叔母さんは、えへへと笑みを浮かべてポスンと私のベッドに腰を下ろした。


……やっぱり見た目にしても行動にしても、下手すると十代くらいにみえる。

外国の人の顔って年齢わかりにくいとか言うけど、そういうレベルじゃない。

若い、というよりも、うん、幼いよね、この人。

若返りならぬ幼返りの魔法とかあるんだろうか。今度探してみよう。


と、そんなことが頭に浮かんだが、それを知りもしない叔母さんは、すごく幸せそうに笑った。


「私、結婚するの」


その表情はまるで恋する乙女のようだ。

って、あれ今なに言った?


「え、結婚するんですか⁉︎ お相手は?」

「ええと、今は首都にしかないのだけどね、前はあちこちに地方都市のに魔法の学校があったの。その中のムレーハ学園に私は通ってて、そこで出会った人よ」


ムレーハ。ああ、うん。

この世界の学校名って皆こんなのばっかりか。


「式はいつです?」

「明日よ」

「へえ、明日……って明日ぁっ⁉︎」


思わず変な声が出てしまった。

叔母さんとジョシュアがクスクスと笑う。

おい、叔母さんはともかくお前まで笑うなジョシュア。


「そう、明日。相手の土地でやるから、明日の朝すぐに出るわ」

「……知らなかったです」

「え、だって言ってないもの」


そっちこそ何を言ってるのという顔で見られた。

——え、私がおかしいのか?

いやいやいや。


なんか変わってるよね、この人。

無邪気すぎるし、純粋すぎる。

別にガキっぽいとは言ってないよ?

不思議ちゃんならぬ不可思議さんなだけで。


また近づいてこようとするジョシュアからさりげなーく逃げていると、紫色の瞳がまた物言いたげに煌めいた。


何だろう。言いたいことがあるなら言って欲しい。

じぃっと叔母さんを見つめる。


随分と長くそうしていると、後ろから突然ジョシュアがもたれかかってきた。

あ、やばい逃げるの忘れてた。


「う、うわ、何⁉︎」

「……」


怯える私にジョシュアはさらに体重をかけてくる。

重い重い、潰れる!

って腕回してくるな、動けないだろ!


「ジョシュア?」

「……」

「ジョ、ジョシュアさん? 酔ってます?」

「……酔ってない」


じゃあ何でこんなことするのー⁉︎

腕の力強めないで!


「じゃあ、何なの? ねぇ、なんか言ってよ」

「姉様は僕の……だもん」

「え、何? 今なんて言った? 僕の何⁉︎」

「……」

「ちょっ、黙るなー!」


黙り込んだジョシュアと叫ぶ私をみて、叔母さんは微笑んだ。

ちょっと安心したような調子で。

……え、おかしくない? 今絶賛ピンチなのに!


「うふふ。やっぱり仲良いじゃないの」


だから一体何をどう見たらそうなるのか教えてってば!




次もこの叔母さん出てくるよ…でも次で最後だ…

叔母さん、書いてて話を引っ掻き回して行くんですよこの人。

怖い。マジ怖い。


そして今やもう圧倒的な矢印の一方通行ぶり。


次話では、“あの男”についてが少し出てきます。

まあその叔母さんについての真実みたいなのもチラリと。チラリズムです。(なんか違う気がする…)


義弟視点の予定です。



感想等、お待ちしています。

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