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義弟のセーフを探る件。

昨晩唐突にネットに繋がらなくなりまして、毎日更新が……。

義弟と、どこまでなら大丈夫?






「クレアー、恋バナしよー」

「……唐突ですね」


部屋に来たクレアにひらひら手を振る。


「だってさぁ……禁断の恋、しちゃったって言ったら、どうする?」

「ぶふぉっ! き、禁断の恋、ですか」

「ちょ、なんで笑ってんのさ!」

「い、いえ?」


また枕をふり投げようとしたら、クレアに慌てて止められた。チッ!


「と、友達の、友達の話なんだけど!」

「友達? それは、アリス嬢とリリアーヌ嬢の何方です?」

「え? あ、いや、それはおいといて!」


やばい、友達とか言おうにも、そっか、どっちかしかいないかった!

うおお、唐突な孤独感……!


「と、友達というか、その、知り合い?」

「そうですか。で、その禁断の恋とは?」

「えーと、ほら、お姉さんのことが大好きで、アクセサリーとか贈ってこっそりプロポーズしたりしてるこの話なんだけど……」


……嘘じゃない。

クロード君の話だし、あの子も姉弟恋愛だし。

クレアはちょっとびっくりしたように黙ってしまった。


「——それって、知り合いの方のお話ですよね?」

「うん? そうだよ。友達の弟」

「……そうです、よね」


あー驚きました、とクレアは胸を抑えた。


「お嬢様がいきなり鋭くなったかと思って……」

「え、それってどういう意味?」


なんかさりげなーくいやなこと言われてる気がするのは、私の勘違いか?

まあいいけどさ。


「それで、なんだけど……そういうのってどう思う?」

「そういうのって、どういうのですか」

「……近親相姦、みたいなの」


私が少し勇気を出してそんな言葉を使ったというのに、クレアはあっさり返答した。


「え、いいんじゃないですか」

「えええ?!」


そんな軽く言っちゃう? と私が叫べば、クレアは呆れたように目を覆った。


「小さい頃からのあの様子見てたら、今更じゃないですか。もう、抵抗も何も失せましたよ」

「あの様子?」


よく分からないけど……とりあえず、相談しても大丈夫、なのかな?


「それってさ、どこまでアリだと思う? どこまでなら姉弟でセーフ?」

「そうですね……」


クレアは顎に手を当てて考えているようだった。

それから、ニッコリと笑う。


「いやもう、結婚も大丈夫だと思いますよ?」

「けけけけけっこんッ!?」

「ええ、外聞があまりよくないと言えばそうですけど、まあ、アリかと聞かれれば、アリですね」


あ、アリなのか……いや、でも、ジョシュアはそんなつもりじゃないんだから、考えない考えない。


「でね、その弟に、他の子とキスしないでって、言うのは……どう思う?」

「え、何それ告白ですか」

「やっ、やっぱりそう聞こえる?」


や、ヤバイ。

ジョシュア気づいてない、よね?

大丈夫だよね?


「それ言ったんですか?!」

「へっ?あ! いや、と、友達の話だよ!」

「あー、はい。で、その友達は言ったんですか?」

「……うん」


ほぉー、とクレアが感心するような声を出した。

心なしかニヤニヤしてないか?


「で、相手の方は何と?」

「えっと、その代わりにあなたもキスしないでね的なことを……」

「甘々じゃないですか」


そうか……?


「で、言ったんですか更に。

もちろんよ、私が愛してるのはあなただけだわ、みたいなこととか」

「だ、誰が言うかっ!」


叫んでしまって焦った。

こ、これじゃあ私の話みたいじゃないか!

慌ててつけ足す。


「……って、その子なら言うんじゃないかな?」








×××



クレアは会釈してメリアーゼの部屋を出た。

その廊下の隅に人影がみえる。

誰だろうと近づけば、金の髪が見てて、ジョシュアだとわかった。


「何のようです、おぼっちゃま?」

「……その呼び名をやめろ。姉さんと何を話していた?」


吐き捨てるように彼は言う。

メリアーゼのそばにいる時とはまるで違った表情。

これが本性なのだろうか。


まったく頭はいいのに短絡的だ、とクレアは思わずにはいられなかった。

こんなことを聞いて、クレアの口からメリアーゼに伝わることを考えていないのか?


呆れの息をつけば、ギロリと睨みつけられた。


まあ、このくらいで怯むようなクレアではない。

彼女はかなりのお転婆で、この屋敷に来るまでは冒険者まがいのこともよくやっていたものだから、そうそうおびえたりしない。


しかしそのクレアをして、野生の虎のようだと思わせるのだから、ジョシュアの眼圧も相当なものだった。


「今すぐ話せ。その代わりに、何の質問にでも答えてやる」


メリアーゼの前では出ることのないジョシュアの傲慢さに、クレアは目を伏せた。

恋のためならなんでもする男ってどうなんだろう、というのがクレアの思いだった。


「……では、教えていただきたいのですけれど、なぜ話さないといけないんですか?

しつこくして、メリアーゼ様に嫌われてもいいんですか」

「え……」


初めて動揺した。

けれどクレアはため息をつきたくなる。

ああ、お嬢様も厄介な相手に好かれたものだ。


「その上、交換条件でキスするなって、不器用なんですか、あなたたち」

「う、うるさい」


そういってから、ジョシュアは「あなたたち(﹅﹅)?」と首を傾げたが、クレアは失言とばかりに目をそらした。


しかし、その後ジョシュアに向けられた眼光は、それこそ魔物に対峙するような緊張をジョシュアに味合わせる。


「でも、たとえ不器用だとしても……お嬢様を傷つけないでくださいよ?」

「……ああ、もちろんだ」


ならいいのです、クレアは微笑んだ。


ジョシュアは、少しびびった己を叱責する。

ただの侍女に怯むなんて……。

といっても、ただの侍女というには、クレアには黒歴史とでも言うべき過去が多すぎだが。


クレアはジョシュアから離れ、人のいないところでポツリとつぶやいた。


「お嬢様は……まあ、両思いそうだからいいけど……。

やっぱり、私的には見てるだけが一番だよ、ヤンデレ(﹅﹅﹅﹅)は」


まるで人ごとのように話す彼女だが、そのうち、それが自分の身にも降りかかることを——クレアは未だ知らなかった。

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