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義弟に聞かれてしまった件。

いつも感想やお気に入り登録をありがとうございます!


ジョシュアが基本不在で色々話してます。

義弟が別室でセレス子爵とお話し中なう。

……なうの使い方これであってる?








「ふぅ……」

「どうかされました?」


本日十回目のため息に、アリスちゃんが声をかけてきた。

気になったのだろうか。

ごめんよ、と小さく謝罪する。


「ジョシュアが……」

「ああ、なるほど」


それだけで察してくれたらしい。

さすがアリスちゃんである。


結局、崩れてしまったエントランスの壁は、館の人がさっと出てきてとりあえずの補修をしていった。

よくよく聞いてみれば、直していった人は庭師の一人だけど、セレス子爵が館壊した時のために雇われていると言っても過言ではないらしい。……あの人常習犯か。


うう、綺麗なエントランスの一部が木の板って……。

ちゃんとした状態の時に記録魔法とかで残しておけばよかったと後悔した。


そのあとまあ一悶着あって、朝ご飯食べて自由行動となったのだけど、ジョシュアだけセレス子爵に連れられて行ってしまった。

話があるとかで。


「……何の話、してるんだろう?」

「気になりますの?」

「そりゃあ、ね」


気にならないと言えば嘘になる。

というか、なんだかセレス子爵は何かをしっているような気がするのだ。

私が知らない何かを。

ジョシュアが私に隠している何かを。


うーん、と腕を組む。


「——私って案外、ジョシュアのことで知らないこと、多いのかもしれない」


アリスちゃんは否定も肯定もしなかった。

ただ、うっすらと微笑む。


「知りたいですか?」

「……ジョシュアのこと?」


コクリと頷かれる。

知りたい? ……うん、知りたい。


無言の肯定を返せば、では、とアリスちゃんは口を開く。


「もしも今お父様とジョシュア様が話している内容が分かるとしたら——いかがなさいますか?」

「え? 分かるの?」

「ええ。私の直属はジョシュア様ですけれど、一番上はメリアーゼ様ですから」

「うん? よく分からないけど……どうやって?」


うふふ、それは乙女の秘密ですのよ、とアリスちゃんはイタズラっぽく笑った。


でも、それじゃあ盗み聞きみたいなものじゃないか。

私は知りたいけど……。

そういうのじゃないくて、ちゃんとジョシュアの口から直接聞きたいと思う。


「いい。ジョシュアが教えてくれるのを、私は待つよ」

「……そうですの」


アリスちゃんがホッとしたような、ちょっとガッカリしたような表情をした。

腕の見せ所でしたのに、ってどういう意味?


と、ずっと黙っていたクロード君が、そういえば、と声をかけてきた。


「メリアーゼさんも転生者なんすよね? お話聞きたいんすけど」

「メリアーゼさん、も、っていうことは……やっぱりクロード君も?」

「そうっすよ。いやぁ、まさかあんなゲームのヤンデレキャラに転生するとは思っても見なかったっすね」


ヒラヒラと手を振って笑う。

アリスちゃんが「わ、私は仲間はずれですの!?」って叫んでるけど、流石にこればっかりは仕方ないと思う。


ん? あんなゲーム、って言うってことは、クロード君もキミボクやったことあるんだ。

ってことは……


「クロード君って、もともと女の人だったの?」

「えっ、そ、そうだったんですの、クロ君!?」


何でアリスちゃんがこんなに慌ててるんだろう。

転生者だとは知ってるみたいだったのに。


「いや、俺は前世でも男っすよ? ……ああ、あのゲームが女性向けだからそう思ったんすか。

俺はあれっす、ゲームのテスターしただけで、ヤンデレも乙ゲーも普段はやってなかったっすよ」


へぇ、と言えば、隣でアリスちゃんが胸をなでおろしていた。

思わず大丈夫? と声を掛ける。


「もう少しで、心が女の方との恋愛は同性愛になるのか考察するところでしたわ」

「随分とディープな恋愛の話デスネ……」


しかし、それを聞いたクロード君もが嬉しそうなのと、その嬉しそうな様子を見たアリスちゃんが照れているのが意味不明だ。

姉弟でなんか通じ合ってるのか。


それにしても、とクロード君は声を上げた。

なぜか微妙に上ずっていたけど。


「記憶戻ったのってジョシュアさんに会った時なんすよね?」

「うん、まあ……」

「すごいっすねー、運命的っす!」


……? 言ってることがよくわからないけど、まあいっか。


「それより、クロード君なんて自分がヤンデレキャラだったわけでしょ?

……ねぇねぇどんな気持ち?」


ここでndkっすか、と苦笑される。

ここでndkです、と笑い返す。


クロード君は少し恥ずかしげに頭をかいた。


「戸惑ったっすけど……俺にはアリス姉がいたんで。

乗り越えられねぇことなんて、なかったっすよ」

「も、もうクロ君たら!」

「……」


あ、あれー?

何なんだろうこのリア充の空気。

アレだ、もしも漫画なら今私の口からはたらーっとなんか垂れてるにちがいない。


羨ましくなんてないんだからねっ!

ジョシュアと私に比べて仲良いし通じ合ってるとか羨ましがってなんてないんだからっ!


……一体私は誰に向かってツンデレてるのだろうか。


「えっと、メリアーゼさんはどうなんすか? ジョシュアさんの姉って立場っすけど」

「そ、それはもちろん、……もちろん、何?」

「いや、俺に聞かれても困るっす」


何て表現したらいいんだろう。

でも、この二人のを見た後に、最高の弟とかそんな言葉を言うのはなんか負けた気がする。

何に、って? ——何かに、だよ。


「わ、私もジョシュアにはよく支えてもらってるし、ジョシュアのことを……」

「「ジョシュアさん(様)のことを?」」


二人がずいと身を乗り出してきた。


一瞬困った私だけど、頭の中でいい言葉がひらめいた。

どうせジョシュアいないし、と迷わず口にする。


「ジョシュアのこと、この世界で一番大好きで大切な(ひと)だと思ってるよ!」


言い切った瞬間、後ろから朝のようなものすごい音が聞こえる。

またセレス子爵が何か壊したのだろうかと振り向くと、確かにセレス子爵はいたけれど、それはジョシュアが派手に転んだ音だったらしい。

顔を真っ赤にして、珍しく床に座り込んでいた。


って、え?

ちょっと待ってちょっと待って……私何言った?


頭の中でリピートをかける。



ジョシュアのこと、


うん。


この世界で一番大好きで


……うん?


大切な(ひと)だと思ってるよ!


う、うわぁああ!

なんだこれものすごく恥ずい!

穴掘って顔から突っ込みたいレベルで恥ずい!


私の顔にも血が上って赤くなるのがわかる。


「随分と仲がいいんだな」


せ、セレス子爵もそんなこと言うのやめて!

そしてアリスちゃんたち、なんか楽しそうに見てくるのは何なんだ!



……しばらくの間、ジョシュアと顔を合わせられなかった。

はい、またメリアーゼは一段と罪な女になりました(笑)


一応注釈です。

ndk…「(n)ねえ、(d)どんな(k)気持ち?」の略。煽り言葉?



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