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義弟と吊り橋効果?な件。

視点がまた転々としますので読みづらいかもしれません。

×××で変わります。

義弟が超強かった。








ああ、ここってやっぱり魔法学院なんだなぁ。

私は改めて実感した。こんな時にじゃなければ、どんなにいいだろう。


「うわぁあああ! 助けてぇえ——っ!」


私は今、魔物と追いかけっこ中だった。




そもそもなんでこんなことになっているのかといえば、ジョシュアたちが見当たらなかったからだ。

二人を探しているうちに、そういえば中庭の噴水を見に行っていないことを思い出した。


この学校はもはや城とか呼べるサイズなので、正直中庭とか、行く機会がほとんどないのだ。

の割りに、ゲームではめちゃくちゃいろいろイベントあった場所なのは何でだろう?


まあともかく、善は急げだと私は中庭に向かったんだけど……。

うん、完全に忘れてたんだよね。私、この学校の中を一人で歩いたことほとんどなかったわ。

その上元々の方向音痴のせいで、当然迷った。

迷ったけども。


「よりにもよって訓練場に出ることないじゃんか!」


しかも、入ったら鍵しまっちゃって出れないし!

ある程度倒してからじゃないと出れないって、なんなんだよこれ!


そして、思い出していただきたい。

私の魔法の適性を。

生活魔法に医療魔法、防御魔法の三つだ。


「どうやって戦えと⁉︎」


とりあえず「わたしがかんがえたさいきょうのぼうぎょけっかい」を張ってみる。

歩くと一緒についてくる、球状の結界だ。

気分的には、川とか坂とかでボールに入って歩いたりして遊ぶやつ、あれみたいな感じだ。


まあ、そのうち誰か来るだろう、と楽観視していたのがいけなかったのだろうか。


いつの間にか、魔物が近づいてきている。


狼みたいなのだとかクマみたいなのだとかいるけど、そのサイズがおかしい。

牙の長さがおかしい。爪の長さがおかしい。

そして可愛い系の見た目なのに血まみれのやつとか、リアルグ○ーミー。

グルー○ー好きだったけど会いたいとは思ってなかったのに!




×××




「なぁ、上級訓練場にあの子を誘導したん……セシル、あんたやろ?

あんたの魔法は特殊魔法の、それも精神操作やら感情操作、感覚を狂わせたり、得意やもんなぁ?」


「……何言っとるが? 俺がそんなことしゆうように見えるん? 流石に傷つくがやけど」


「あんた嘘つく時、違うとこの方言になっとるで。……もしそれでもしあの子が死んだらどうするつもりやったん?」


「あはは、バレたか。だってリリアと二人で話したかったんやもん。防御に適性あるっちゅうしまあ死なんやろうが、死んだら死んだやな。別に、どうでもいいわ」


「——ほんまに最低やな、あんた。ウチ、あんたのそういうところが嫌いやって言っとるんよ?」


「俺はリリアのそういう、人のこと心配できるとこが好きやで」





×××






「上級訓練場なんて、どうしてこんなところに……くそっ、広すぎる。アリス、姉さんがどこにいるか探れるか⁉︎」


「もうやってますわ!

特殊魔法術式『居場所探知(はっしんき)』作動! ……出ました、森林エリア12-5!

映像転送(とうさつカメラ)』——大変です!メリアーゼ様、取り囲まれてますわ!」





×××






同じ囲まれるんなら、イケメンに囲まれたいよ。


なんて現実逃避するけれど、状況が改善するはずもない。


全速力で逃げても、元々ずっと寝たきりだった体だ、すぐに追いつかれる。


狼もどきが噛みつこうとしてきた。

ガキン、と硬い音がする。


「ぃやっ!」


次々に来ては弾かれ、それでも襲ってくる。

結界が割れはしないけど、間近に迫るそれに、響く声に、体が震える。


「い、嫌だ! 来ないで!」


そう言っても、通じるはずもない。

足の力が抜ける。くたりと地面に沈む。


「来ないで……」


初めて。初めてだ。

この世界にいて、初めてこんなに怖いと思った。


私は多分、どこかこの世界のことを夢みたいに思ってた。

死んだ後、一回だけ与えられたニューゲーム。

いくら生きてても、これはゲームの中だからって、まるでひと時の夢みたいに思ってた。


だから、自分が死ぬって分かっても実感が湧かなかったし、反対に生きられると分かっても「そうか」って思ったぐらい。


だけど。


「グギャウ!」

「やだっ‼︎」


これは夢なんかじゃない。

れっきとした現実だ。

セーブもリセットも存在しない。


私は、死ぬのだろうか。

結界がもし何かの拍子で破れて、直るより早く襲われたら?

——死ぬ。


「だ、誰か……助けて」


声が震えて、思わず目をつぶろうとした時、


「姉さんっ!」


全てが、火につつまれた。


「……え?」









「姉さん、助けに来たよ!」


そう言った弟は、一瞬で周りの魔物を灰にした。

わずかに残っていた奴らも森深くへと逃げて行った。


ちょ、チートとかいうレベルじゃないでしょ⁉︎

何これ、燃える通り越して灰⁉︎


そんな風に言う余裕もなくて、口を開くとか細い息しかでなかった。

体に力が入らない。


ああ、むしろ燃やし尽くしてくれてよかったかもしれない。

魔物の死体なんて、今見たら気絶してしまいそうだ。


「……姉さん、大丈夫?」

「だ……」


言葉がうまく出ない。

ジョシュアは、ん?、と私の言葉の続きを待った。


「大丈夫なわけあるかっ! お、遅いよっ!」


理不尽な怒りだってことは分かってる。

でも、それぐらい心細かった。


「怪我は?」

「し、してないけど、そういう問題じゃないの!」


ポカポカと殴ってやろうと手を振り上げれば——結界にぶつかった。

痛い。うっかり体が出ないようにしてたのが仇になった。


解除すれば、弟は苦笑していた。

うう、恥ずかしい。


「こ、怖かったんだから、すごく」

「うん、ごめんね。姉さん」

「……でも、来てくれて助かった。ありがとう」


ジョシュアは、そっと受け止めるように手を広げる。

私はジョシュア——の後ろにいたアリスちゃんに抱きついた。


「アリスちゃんも来てくれたんだね! 大丈夫だった? 嬉しいよ、ありがとう!」

「え、ええ……メリアーゼ様、心配しましたわ」

「うん、心配かけてごめんね」


ギュッとすると、微笑むような声が聞こえる。

やっぱりアリスちゃんは癒し系だなぁ。

あ、百合じゃないですよ、念のため。


ちらりとジョシュアを伺えば、ぽかんとしたような、悔しそうな、戸惑うような表情だった。


私、弟に抱きつくほどブラコンじゃないし。

でも……なんだろう、ちょっとジョシュアにドキドキする。


あ、いわゆるこれが吊り橋効果ってやつか。


そう勝手に納得した私は、女子同士の友情を深めることにした。

助けに来たのに放置という。


メリアーゼは結構ジョシュアに冷たいかもしれませんね(^_^;)

まぁ、それだけ気心が知れた仲ということで(笑)


そしてセシルのセリフですが、

「俺はリリアのそういう、人のこと心配できるとこが好きやで」

って書きましたけど、多分本心は

「俺はリリアがそうやって、人のこと心配して睨んでくる時の瞳が好きやで」

でしょうねw


途中出て来た方言、どこのものか分かる方いますかね?

私が今住んでるところのものなんです。


誤字の報告や感想など、くださると嬉しいです。


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