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(旧) 魔宝使いの セ・ン・パ・イ  作者: しゅんかしゅうとう
第1章:国立魔宝大学付属第一高等学校入学編
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第3話:引き篭りの入学準備(中)

ボクの胸が膨らみ出してるだなんて、月子はとんでもない事を言う。

これはキッチリ白黒付けねばならないだろう。


「ね、セイネ君。大切なことだから恥ずかしがらずに確認させて」

「分かった」


シルクのシャツの上から、月子の手のひらがボクの胸を確かめる。

胸周りをさわさわ触る、恐る恐る先っぽの方にも触れて押したりこすったりする。痛いからあまり強く押すな。


「念のため、直接見せてもらってもいい?」

「え?月子、流石に恥ずかしいよ」


「結婚してたなら美夜姉様には見せたんでしょ。私にも少しくらい見せなさい」

「いや、ほら、ボク、アルビノだから」


「だから?」

「乳輪の色とかが、その」


「カノン君も同じなのでしょう?なら、私にとっては取るに足らない事だわ」

「・・・そうか・・・ありがとう。なら、見てもらえるかな」

ボクはシルクのロングTシャツのすそを胸までたくし上げた。


月子はボクのむき出しの胸にそっと手を触れた。

さすったり、押したりして、色々確認した。


「乳房の脂肪はほんの少しだけど付いてきてる、と言うよりも、体全体に脂肪が付いて丸みを帯びてきているんだわ。乳首の発達は目立たないけど、乳輪から乳頭にかけては明確に盛り上がって来ている。ふくらみの中に核は無いから腫瘍でもないと思う。ねぇ、ぶつかったり擦れたりすると痛いんじゃない?」

「うん」


「女性暦2年目にして、いよいよ女性ホルモンが作られだしたみたいね」

「そうなんだ」


「もうしばらくしたら、初潮がくるかもしれないわ」

「!!」 

やめてー月子!ボクのHPはもう0よ!


 ===


「今日はね、高校の話を知っていると思ってたから、その準備の買い物に付き合うつもりで来たのよ、電車乗り換えて」

「・・・」


「高校デビューの女子高生としては色々必要でしょ?」

「必要なの?」

「必要よ、セイネ君、ブラも持ってないでしょ」


「確かに。まだ必要無さそうだけど」

「それにしてもジュニアブラか胸当てのあるインナーが必要だと思うわ」


「そうなんだ」

「そうよ、それにその2年間延ばし放題にした髪の毛」


「ダメなの?」

「細くてきれいな銀髪なんだから、ちゃんとカットしないと」


「引き篭りにはハードル高いかも」

「だから私が来たのよ」


 ====


月子の買い物は、何と言うかピンポイントに的確だった。

迷い無く店を選び、迷い無く必要なものだけを買い、買ったらさっさと次の店だ。

地元にこんな沢山店が在る事すら、ボク知らなかったし。

「すごいね月子、迷いが全然無い」

「当然よ、旦那様の妹さんのお買い物に付き合うのよ、下調べは万全だわ」

「・・・・ありがとう」


 ===


予約の時間だと言われカットハウスにも連れて行かれる。

「前髪は眉毛くらいでそろえて、髪が細くて腰が無いのでボリュームはあまり落とさないで、毛先は痛んでるのでばっさりお願いします、肩位がいいけど痛みが激しいようならもう少し短くても」

「あ、カットだけでいいです。水洗いもいりません、皮膚が弱いし遮光クリームも流れてしまうしシャンプーは専用品を使ってるんです、髪も痛みやすいんでコンディショナーはこれから幾つか試すので、基本自宅でします」

まな板の上の鯉って、こういう状況なのかなぁ?


 ===


帰る道すがら、月子に礼を言う。

「今日は色々どうもありがとう」

「何言っているの、これからだわ」

「?」


自宅の前に黒塗りの大きな車が止まってる。これ、高級車ってやつだろ。

「おじい様の家の車だわ。乗ってください」


あ、吉村さんだ、黒系のスーツをピシッと着こなした吉村さんが運転席から降りて後部ドアを開けてくれた。

「セイネ君、さっさと乗ってください」

月子にせかされて車内に押し込まれると、後部座席にはもう一人居た。

150cmの月子より10cm位高く、月子と同じにつややかなストレートの黒髪を背中の途中まで伸ばしている。大きな眼、黒い濡れた瞳は月子にそっくりだ。すっと伸びた鼻筋は月子より大人っぽい印象を与える。そして月子同様、赤く可愛らしい唇。

顔は月子同様10人中12人が美しいと言うレベルの美少女、月子の姉、ボクの1学年上の桐生院きりゅういん美夜みやだ。

「美夜、来てたんだ」

「はい、御無沙汰しております、セイネ様」

婚約を解消しても変わらないボクの呼び名が、ちょっと心に苦しい。

美夜と月子に挟まれて後部座席に座る。


「吉村さん、お願いします」

「かしこまりました、美夜お嬢様」

車はスッと加速を感じさせず走り出す。相変わらず吉村さん上手いな。


向かう先なんて聞かなくても分かっている。

「一応聞いておくんだけどさ」

とまらないビッグウエーブの、その流れの行き着く先を確認したい。

「おじい様の家で、ボク、美夜、月子の3人がお世話になるのかな?」

「はい、セイネ様」

「うん、セイネ君」

二人の返事が重なる。


「お世話に成るのは今夜からかな?」

「はい、セイネ様」

「うん、セイネ君」

二人の返事が又重なる。


「セイネ様専用のシャンプーでお世話しないと、ね」

「ダメージヘア用コンディショナー、色々試さないと、ね」

仲いいなこの姉妹。


「4月からはセイネ様と一緒に登校できるのですね」

うれしそうに言うけど美夜、今夜からボク等一つ屋根の下だから。

ビッグウェーブの限界が見えてこないから。


「そうか、セイネ君は同じ学校の先輩になるのか」

うれしそうに月子が微笑む。

月子の年相応のこんな笑顔、中学になって初めて見たかも。カノンの前では、こうやって笑ってたんだろうか?


月子がボクの顔を覗き込んで、可愛らしくわらった。

「入学したら、色々お願いしますね、セ・ン・パ・イ」


「色々」の意味を知るのは、もう少し後のこと。

魔宝高校で、上位ランカーが『ニアサウザン(千に近い)』、『オーバーサウザン(千以上)』を目指し、しのぎを削る中、美夜と月子が『テンサウザン(魔力1万超え=桁違い)』と呼ばれている事を知るのは、更にもう少し後のこと。

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