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(旧) 魔宝使いの セ・ン・パ・イ  作者: しゅんかしゅうとう
第1章:国立魔宝大学付属第一高等学校入学編
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第24話:美夜の気持ち

ブリーフィングが終わった後、深夜にもかかわらず美夜はセイネの病室を尋ねた。

セイネは薬ですっかりねむっている。セイネを起こさないよう注意して個室に静かにベッドを運び込み、美夜は一晩当直をする。

入院初日の夜、それは美夜の当番なのである。


美夜は考える。

セイネが自分以外の男性を選んだ事についてではない。テロの標的ターゲットを、である。

森の中のセーフハウスでブリーフィングを受けた後でも、美夜本人はテロ標的の第4の可能性を捨てきれないで居た。


ブリーフィングでは3つの可能性に付いて検討された。

標的1)我が国国民を無差別に狙ったもの・・・可能性は低い

標的2)セイネを狙ったとするもの   ・・・可能性は低い

標的3)魔大付属生を無差別に狙ったもの・・・一番可能性が高い


だが、考慮するべきはコレだけでいいのか?


敵国は1世紀の時間と150兆円という巨費を投入した、航空攻撃力・艦隊攻撃力。要塞防御力を、我が国が誇るレジェンド3人によって失った。

現時点では、近代兵器が個人の巨大魔宝に適わないという状況は覆らないだろう。


ならこの20年の休戦期間中に敵国が我が国に対し取るべき対策は何か?

当然、レジェンド対策であろう。

ならば、その思考の行き着く先の必然を考えるのは容易だ。


1)我が国のレジェンドの劣化(老化)を待つ

2)我が国の次世代レジェンド、次次世代レジェンドの芽を摘む

3)対地攻撃、対空攻撃、対艦攻撃ではなく、対レジェンド攻撃の手段を研究する

この3点につきるはずだ。


我が国のレジェンドさえ抑えられれば、敵国は国民の生活を無視してGDPの60%を軍費に費やして、宣戦布告?開戦再開?を高らかに歌い上げるだろう。

直接攻撃では歯が立たないので我が国の現行レジェンドが衰えるのを待ち、育成中で能力が劣る次世代レジェンドに向けて対レジェンド用兵器を水面下で装備し、対次世代レジェンドの専門チームによる暗殺計画を企てる、これが一番現実的なのではないか?

単純に、魔大付属生を無差別に狙ったテロを起こすより有り得そうだ。

なにしろ”敵性勢力のテロ組織”は、既に組織の半分以上と推測される19名の人命と、高額と思われる新型設備18機を投入してきているのだ。

単純な恣意行為(=無差別付属生狙いのテロ)ではなく、明確なターゲット(=次世代レジェンド候補)を持った作戦行動と考えるのが妥当であろう。


なら、次世代レジェンドとしての暗殺候補は誰か?

順位としてはこんな所だろう。MPC値を上から並べて見ればいい。

(1)美夜<自分>(闇属性を開花させている・英雄×聖女血統)

(2)月子    (闇属性を開花させている・英雄×聖女血統)

(3)セイネ   (聖属性が開花済み秘匿中・英雄×闇魔女血統とされている)

(4)加藤ショーゴ(門を開く素質がある)(次次世代レジェンドの父候補)

(5)片栗シュン (門を開く素質がある)(次次世代レジェンドの父候補)


聖女血統の自分と月子が闇属性、闇魔女属性とされているセイネが実は聖属性を開花させているのは笑い所かもしれない。自分たちが聖属性、セイネが闇属性を開花させた時は、新しいレジェンドの誕生を高らかに謳い上げる事にしよう。

(4)と(5)に関しては、今の段階では暗殺のターゲットとして動悸が薄く見える。しかし、現時点でカップルの組み合わせは不明だが(4)(5)を父親として(1)(2)(3)が産むであろう子供が次次世代レジェンドと期待されている点を考慮すると、要警護対象と考えるべきである。

なら、暗殺ターゲットとしてファーストアラートは自分(美夜)、月子、セイネ。セカンドアラートは加藤ショーゴと片栗シュンだ。


祖父がこの事に気が付いていて、あえて言及を避けたのはあきらかだ。

何故なら、ターゲットNo1,2であろう美夜と月子に、反撃カウンターアタックを指示した位だから。


つまり、こう予想しているのである。

今回の”事故”は、テストを兼ねた第1陣である。本番はこれから有るので、その前に反撃してその芽を潰せ!!と。


国内の敵性勢力は30人程度。

非合法組織を名乗り特定国の関与は無い、と、これから犯行声明が出されるであろう。が、背後関係は調べるまでも無く明白であろう。

テストを兼ねた今回第1陣の襲撃で19人を投入、全員死去済み。

本番(つまり、美夜・月子・セイネに対してのテロ)である第2陣は、第1陣の19人未満、おそらく10人程度と予想される。


人数の根拠を示す。

第1陣の陣容は、質量兵器操作1名、我が国の防御魔宝減衰に3名、敵国の攻撃魔宝増幅に3名、そして監視網からの遮蔽に12名、合計19名である。

そこから推測される第2陣は、質量兵器操作2名、我が国の防御魔宝減衰に3名、敵国の攻撃魔宝増幅に3名、監視網からの遮蔽は0の合計8名あたりであろう。


敵国は魔宝師に対し、質量兵器、防御魔宝減衰、攻撃魔宝増幅が、どれもが効果の有る事を確認したはずだ。

操作ノウハウも積んだことから、もう時間稼ぎの為の遮蔽要員は不要であるし、又、『黒の閃光』に直ぐ制圧されてしまった事からも、遮蔽の効果は薄い。よって今後の人員配分は0人。

質量兵器は非常に効果が有ったが、たまたま居合わせた聖魔宝の使い手1名によって無効化された。逆説的に言えば、質量兵器の担当が1名だから無効化できたのだ。なら、本番には2名以上。

防御魔宝減衰、攻撃魔宝増幅は、テストで共に3名ずつ投入され、充分な効果を挙げている。ならば本番でも各3名、合計6名が配備されると考えられる。


今回第1陣は、おそらく質量兵器、防御魔宝減衰、攻撃魔宝増幅のテストだったのだ。そのテストの時間を稼ぐため12名の命を遮蔽チームに投入したのだろう。

そして、テストでたまたま本命ターゲットのセイネが巻き込まれてしまった。

聖魔宝の加護でセイネの姿は衛星写真にすら写らなかったのだから、敵勢力が情報を分析するのに相当な時間が必要とは思われるが、この病室が狙われる可能性を排除は出来ない。

美夜が一晩当直をするのはその為である。


さてこの案件は、チーム英雄の戦術級対外秘項目である。

つまり、セイネ(ヒーロー4)に伝えるのは問題ない。


問題は、セカンドアラートの加藤ショーゴと片栗シュンだ。

理由を伏せたまま、当面のガード活動が可能だろうか?

いっそ、ヒーロー0候補として、戦術チームに組み込むか?


そしてそれをセイネが認めるか?

現状では魔宝能力的に桁違いに魔宝力が劣る彼等2人をチームに入れることで、かえって彼等に危険が及ぶのではないか?


明日、セイネが目を覚ましたら話し合おう。

蘇生魔宝のおかげで、もう身体には問題無いはずだ。単に、元々身体が弱かったため検査と休養を兼ねて1週間の入院となっただけなのだ。

麻酔さえ切れれば、頭はしっかり働いてくれるだろう。


美夜は明日、セイネを看病する名目で1日学校を休むことになっている。

話し合う時間は充分取れる。


 ===


「おはよう、美夜」


「おはようございます、セイネさん。昨日の事はしっかり覚えていますか?」


「うん、少し麻酔でぼーっとしていたけれど、事故による自分の身体の事、人的被害が無かったことは認識している」


「それはよかったです。では、車椅子を用意いたしますから、洗顔と歯磨きに参りましょう」


「あ、うん、お願いします」


145cmのセイネは、160cmの美夜に支えられ、ベッドから車椅子に移る。生理食塩水だろうか、身体に水分を補給する管が左腕に、股間からだと思うけど体から水分を取り出す管も絶賛装備中で、そのパックは車椅子の足置きに乗せられている。股間の管は一刻も早く外してもらわないといけない。

色々と情け無い姿で点滴スタンドごと車椅子で洗面所まで美夜に運んでもらう。歯は右手1本で研けたのだけど、顔を洗うのはムリだった。左手に刺さった点滴の針が気になり、上手く動かせないのだ。これ又情けないけど、顔は美夜に濡れタオルで拭いてもらう。


セイネは考える。

うん、さっぱりした。

これで、色々チューブを繋いだまま洗髪とかシャワーが使えれば最高なんだけど、さすがにそれは無茶だろうね。

それと、昨夜から食事が取れていないので今朝の朝食は少しだけ期待しているんだ。

まさか「おもゆ」って事はないよね・・・


 ===


「絶望した!、今朝の朝食に絶望した!!」


朝食のおもゆを嘆くボクに、美夜の対応は冷静だ。

「はいはい。退院できたら、いくらでも美味しいもの作ってあげますから。退院できたならね」


何?、美夜、その言い方。

ボク、すぐにでも退院できるんじゃないの??

流石おじい様の蘇生魔宝、体のおかしなところなんて、まぁ色素異常とか代謝異常とかホルモン異常とか、普段からおかしな場所を除けば完治したも同然なのに、まだ病院で寝ていないといけないの?

質素な朝食も済ませたし、もう帰ろうよ。


「では、セイネさん」


「は、はいっ」

何だか美夜の様子が怖い。


「今回の”事故”に付いて、チーム英雄メンバーとしての意見交換を行いたいと思います」


「え、えぇっ?!こんな病院なんてオープンな場で・・・」


「いいえ。この病室は”英雄”権限で占有されています。局長級でも入室は出来ません」

つ、つまり、大学付属病院でありながら、大学学長や病院長すら入室出来ないって事なのね・・・

普段過ごしている英雄の森の中の家、闇魔宝で遮蔽されてボク等4名以外は近付く事さえできないあの家の中と同じ扱いなのか。


と、言う事はチーム英雄の戦術級対外秘となるんだな。察しの悪いボクでも流石にその程度は分かる。


「では、ここの警護は”英雄”か”白の悪魔”が?」


「いいえ。警護担当は”流星喰い”です」

美夜の右手に3石、左手に3石、首に1石、両耳に2石、全力全開用の石が輝いている。

美夜の装備した準レジェンド級の魔宝石からh、美夜の相当な覚悟が滲み出していた。

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