第15話:ガールズトーク -私達の旦那様候補ー(中)
2階のリビングで3人、美夜の入れたお茶でノドを潤した。
「そもそも公立中学に敵性勢力がスパイを潜入させ、卒業アルバムと卒業証書を餌にセイネ君に接触を図ったと言う説明、おかしいとは思わなかったの?」
月子の質問に答える。
「どこが?」
「『背後組織はまだ不明だけど敵性の可能性があるエージェントが公立の教育機関に入り込んでセイネ君を狙った』そう、おじい様はおっしゃったわ。おじい様が本気で調査して『背後組織はまだ不明』って、セイネ君の身柄が掛かっていたら考えられると思う?」
「なる程」
「セイネ君を一高に呼んだのは、私が加藤君をセイネ君に逢わせたかったから。そう説明した後なのだから、その程度は想像が付いていたと思ってたわ」
月子は容赦ないな。
いや、でも話を本筋に戻そう。
「そんな事より、ショーゴ君がボク達の旦那様候補ってどう言う意味なのかを知りたいんだけど」
美夜が月子と顔を見合わせ、オヤオヤって困った表情をした。
「セイネさん、その話をする前に、前提条件の認識のすり合わせの必要を感じます。引き篭っていた2年間、セイネさんはアンテナをひたすら自分の内側にだけ向けていたようですので」
あれ、美夜も容赦ないな。
美夜が続ける。
「先の東南戦争で、わが国は3人のレジェンド級魔宝師を見出しました」
「1人目は男性。敵国からの防御不能のミサイル完全飽和攻撃を1人で防いだ『英雄』東郷 神聖です。ミサイル単価は1発1億弱から衛星ミサイルだと200億円です。平均1発10億円×約1万発=10兆円を投入し敵国が30年かけて作り貯めした戦略ミサイルは15分で消滅しました」
「2人目は女性。遠距離攻撃がだめなら近接攻撃をと、絶対防御の3重イージスシステムに守られた空母2、イージス艦9から成る敵主力艦隊を、イージスシステムの作動速度を超えた超絶速度で単騎突入し、敵国が半世紀の時間と50兆の戦費を投入した大艦隊を60分で撃沈した『黒の閃光』フェイトソン・テストロッテです」
「3人目も女性。攻めがダメでも守りがあると、敵国が絶対の信頼を寄せた防衛の要、1世紀の時間と50兆の予算を投入して作った鉄壁要塞都市を、常識外の超長距離射撃、レーダー探知の外、水平線のむこうからの弾道射撃1発直撃で砂に沈めたという『白の悪魔』タカマチ ハナノです」
「お伽話や神話のようにも聞こえますが、この3人はとある学校で、客員教授とか学長とかやっている実在の人物です」
まぁ、その位は有名なので知っている。何人かは会った事もあるし・・・
「うん、それで?」
美夜が続ける。
「世論の流れは、国防はこの3人に任せれば問題ないとみなすようになりました。空からの攻撃を防ぎ、海を来る艦隊は撃沈し、陸に要塞を作られても破壊できる、からです。この3人が存命のうちは問題ありませんが、時が過ぎ3人が居なくなった時をどうするか、真剣に議論されました。」
うん、そうだろうね
「レジェンド3名のうち2名は女性、さすがにもうお子様は望めません。残る1名東郷は子を成し、幸いにも直系の孫の男子2名がレジェンド級魔宝師に匹敵する魔宝力を見せたのです」
懐かしい話だな。
「現国防の要のレジェンド3名が存命のうちに2名を育成し、2名の東郷孫を次世代の国防の要とする、次次世代を考慮して東郷の外孫、桐生院姉妹を妻にあてがい血の濃い子孫を残すことで国家100年の安寧を政府首脳・軍部首脳は目論んだのです。セイネさんとカノンさんにレジェンドクラスの石が贈られたのは、そのような国防上の理由からです」
知らなかった・・・
「ところが、あの魔宝事故が起きてしまいました。政府内部資料では、『所有の刻印』の戒め発動により、1名死亡、1名遷延性意識障害、まぁ俗に言う植物人間の事ですね、そうなっています」
ここで月子が口を出した。
「セイネ君、2億円のミサイルを迎撃するのにいくら掛かるか想像つく?」
「いや、分からないな」
「数打てば当たる方式で、1発を10発のミサイルで迎撃するなら20億円必要ね。おじい様が1人で迎撃した10兆円のミサイルは、本来なら100兆円投資していないと迎撃できない規模だったのよ」
「すごいな」
「大まかにレジェンド1人で国防費が100兆円浮く計算ね。今は3人居るから300兆円」
「・・・」
「レジェンドの後継者が育ちそうだったから節約できる見込みだった防衛費300兆円を、このままだったらどこかから捻出しないといけなくなるわけね」
美夜が引き継ぐ。
「幸い、3人のレジェンドは見た目はまだ20代でも通用する若さを保っています。強力な魔宝が細胞を活性化させているのかもしれません。これなら3人の存命中に、次次世代の育成が間に合うのでは、と政府首脳・軍部首脳は考えたのですね。次次世代のレジェンド候補には、世論と敵国にアピールするため、・東郷・テストロッテ・タカマチの名を継いでいる必要があります。残念ながら・テストロッテ・タカマチの名を継ぐ子供が生まれる事は期待できません」
さて、と言った感じで美夜が語る。
「セイネさん、あなたはの正体はおじい様の隠し子の娘、と、既に戸籍を改ざんしてあります」
いや、改ざんしなくても直系の孫なんですけど・・・
「男性のセイネさんは魔宝師としては終わった存在となっています。ですので、東郷の名受け継ぐおじい様の直系は”隠し子の娘であるセイネさん”1人です。ですからセイネさんには魔宝の才能ある方と結婚し、次次世代のレジェンド候補を産んで頂く必要があるのです」
美夜が一息つく。
「セイネさんは女性になって2年。子供を産めるかわかりません。そこで私と月子が側室として嫁ぎ、万が一に備えます。私と月子が産んだ子は、セイネさんの養子として東郷の姓で育てられます。私も月子も幸いにしておじい様の直系です。血の濃さだけであれば問題御座いません」
・・・何か凄いことになって来てないか?
「セイネさん、この家は後宮なのです。1階は守護者であるおじい様の領域です。2階が私たちと未来の旦那様の領域です」
美夜が続ける。
「2階の一番広い空き部屋はキングサイズのベッドが用意されています。私達3人一緒に可愛がってもらう事もできます。私達の個室のベッドはセミダブルになっていますから、1人ずつ可愛がって頂く場合は個室を使います。お風呂が4人一緒に入れる仕様なのもその為です。2人きりで利用する場合、体の全てを晒せる様バスタブを縦につかって体を伸ばして入ります」
うわっ、知らぬ間に本当に後宮に住んで、ハーレム要員の1人になっていた。
・・・国防上必要なんだよね
・・・でも
でも、相手はショウゴ君なの?美夜だと2つも年下だよ。
シュンだといけないのかな?
第一、相手の意向はどうなの?ボクみたいなチビッ子で発育不良、貰ってくれるのかな?
ねぇ、ショウゴ君、どうなの?




