表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人形遊び  作者: 白祈
1/1

すれ違いとメール

感想くれたら嬉しいっす\(^o^)/

少年は、少女に飽きました。少女へ向けられていた想いは、どこかへ消え去りました。そして、少女は泣きます。しかし、次の瞬間、「所詮、人間なんてそんなものだわ」と、満面の笑みを浮かべました。そのとき、少女は人間に飽きたのでした。


「あれ、ユウダイ、もう帰っちゃうの」

「あぁ、ごめんな。今日ちょっと用事があるんだ」

最近、彼氏のユウダイと上手くいっていない気がする。すれ違いが増えたのだ。付き合ったばかりの頃は、あんなに仲がよかったのに…と、時折淋しくなってしまう。でも、そんなことをユウダイに言えるわけもない。彼氏に甘えることのなにがいけないのかと聞かれたら答えられないが、なぜか声をかけにくいのだ。表現し難いが、少し雰囲気が変わったというか…。

「はあぁ……。やっぱり私たち、もうダメなのかな」

ついつい、弱音を零す。なんだか私らしくない気がする。

私とユウダイが付き合い始めたきっかけは、友達関係のことからだった。悩んでいた私を救ってくれたのが彼だったのだ。私はそのときからユウダイに惹かれていった。

でも、よく考えたらユウダイが私を好きになる理由がわからない。話を聞かせられた、という立場なのに、どうして私と付き合うことになるのだろうか。ユウダイは顔も良いし、彼女になりたがっている私より可愛い子はたくさんいるのに。

彼は私の一番の理解者だ。友達よりも、家族よりも。なにも心配することなく、すべてを話すことができる。でも。…私は、彼を理解していないんじゃなかろうか。

ああダメだ、ネガティブな方向に心がいってしまっている。一回落ち込みモードに入ると、しばらく立ち直れないのよね…。そのときはいつもユウダイが気持ちを晴らしていてくれたのだけれど。

「メールしても返信してくれないし、私、なにか悪いことしたのかな」

これ以上暗くなってどうする、とりあえず家に帰ろう。なんだか今日は疲れた。

私は教室の扉を開けた。

「あっ!すみませんっ」

「なんでクラスメイトに敬語なのさ」

ユウダイのことに気を取られてぼーっとしていて、誰かにぶつかってしまった。笑いながら、大丈夫?と聞いてくるのは…えーっと、誰だったかしら?

「あの……?ごめんなさい、名前は…」

「もー、酷いなぁ。僕の名前も覚えていないのかい」

「はあぁ、すみません、誰ですか?」

「アキラだよ、アキラ」

「あぁ~…。アキラくん、ごめんね。ぼーっとしちゃってた」

それだけ言って教室を出る。アキラくんはなにかを言いかけていたが、それを気にするほどの余裕さえ、今の私にはない。にしても、アキラくんって誰だったかな、初めて見た気がするのだけど。

あぁ、やっぱりダメだな。家に帰ったら顔でも洗おう。


***


家に帰って携帯をスクールバックから引っ張り出す。今までは普通の携帯だったが、つい最近スマートフォンに機種変更をした。使い心地はそれなりだ。暇なときなんかはちょうどいい。

「……あ、充電切れてた。えーと、充電しなきゃね」

コンセントに充電機を差し込む。充電が始まり、画面がつくのを私はただ眺めていた。

不意にスマホが震える。メールだ。誰からだろう。

「ユウダイからだ!」

【ユウダイ】

件名:今日はごめんな!

本文:今週の土曜日、映画でも観に行かない?返事待ってる。

今週の土曜日に、映画。これは行くしかない。もう一度あの日のような関係に戻れるチャンスかもしれない!

もちろん行く!と返信をして、土曜日に着ていく服を買うお金があるか、自室に確認しにいく。

「うっ、どうしよう、金欠だぁ…」

当日に使う分のお金も考えると、服にそんなお金をかけられない。

でも、楽しみで仕方がなかった。手を胸に当てて、深呼吸をする。それでもまだ、心臓の高鳴りは抑えられなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ