強敵!
結局は綾音の気持ち分かってあげられなかったな…
綾音と別れた後、一人歩きながら考えていた。
夜空を見ながらふと思う。綾音の気持ち……。
家に着きベッドに横たわり目を瞑った。頭に浮かぶのは綾音の事ばかりだ…。
明日にはいつもの綾音に戻ってる事を願い眠りについた。
朝になり、珍しく寝坊しなかった俺は自転車で爽やかな風を浴びながら学校へ向かった。
教室の前でふと思う…“綾音…今日は大丈夫かな……大丈夫 大丈夫!笑顔で行こう!”
俺は笑顔で教室に入り『おは…』バシッ!
後ろから誰か頭を叩いてきた。
『楓、おはよ!今日早いね!』
『綾音!い、いてえなぁ!』
いつもの綾音に戻ってる…。良かった。
俺は安心したせいか思わず顔が緩んでしまった。それを逃さない奴がいた…裕也だ!裕也は席を立ち上がりゆっくりと近づいてきた。
『楓?おはよ〜!ちょっといい?』
『あぁ…どしたん?』
理由なんかわかってるって…白々しい自分が恥ずかしくもあった…。
裕也に連れられ廊下にでた。俺は壁に寄りかかり、そしてしゃがみ込んだ。裕也は窓から外を見ながら喋り始めた。
『良かったじゃん?綾音と仲直り出来てさ。』
俺は裕也を見上げた。ふざけてくると思ってた分、余計驚いた。そして裕也の表情はとても優しかった。
『あぁ…凄く良かったよ。』
自分でも驚く程に素直な気持ちが言葉に出た。裕也だからかな…。
『んで…何、顔緩めてんの?』
俺は耳を疑った。“あれ?今の…裕也が喋ったんだよな…”思わず裕也の顔を見上げた……やらしい笑顔で俺を見ている裕也…やっぱりな…。
まぁ、これが裕也の性格だからしょうがないかな?
『結局…綾音と付き合ったりしないのか?』
『なっ!何だよいきなり!』
キーンコーン
カーンコーン♪
『お!チャイムだ!裕也、教室入るぞ!』
『おぃ、楓!』
俺は急いで教室に入った…急いで裕也から逃げ出したって言う方が正しいかな…。チャイムに救われた…。
『皆、おはよ!出席をとるぞ!』
裕也の奴…いきなりどうしたんだろな…。外を見ながら考えていると…
ツンツン…ツンツン…
綾音がペンでつついてきた。俺は小声で『どしたん?』て…。
『裕也君から…手紙…。』
『へっ?』
恐る恐る裕也を見た…あの笑顔…。
恐る恐る手紙を開け内容を読んだ。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
お昼休み屋上で待ってるね☆
絶対に来てね☆
裕子☆
〜・〜・〜・〜・〜・〜
裕子って!思わず吹いてしまいそうになった!笑いをこらえるので精一杯。でも、おかしくもあり怖くもある文章…。
『楓?どうしたの?』
『いや…綾音は知らない方がいい…。』
『また秘密!』
綾音の顔つきがみるみる変わり…少し怖い。
俺はすぐに目を逸らし前を向いた。後ろから…
『楓〜。楓く〜ん…』
グサッ!
『いっ!』
シャーペンで楓の背中を刺す綾音。楓は綾音と裕也、二人を敵に回す事になった…。