電車の旅
綾音の天使の様な囁きに気持ち良い目覚め…。
今日は、皆と海に行く…。待ちに待ったイベントの日。
綾音を自転車の後ろに乗せ、待ち合わせの駅へと向かっていた。
『裕也達…怒ってるかな?』
俺は自転車を漕ぎながら綾音に話し掛けた。
『怒ってるに決まってるじゃん!もぅ!』
『だよな…。』
このまま家に帰りたい心境だよ。
待ち合わせより三十分遅れで駅に着いた俺達は、急いでホームに。
切符を買い、改札口をくぐった。すると裕也と優希はベンチに座って待っていた。
『待たせてごめん!』
俺は額に汗水を垂らしながら素直に謝る。
『おぅ!どうした?何か合ったかと思ったよ!』
あれ?怒鳴られるかと思えば、逆に心配させてしまった。
『綾ちゃん!良かったね、裕ちゃん。』
『そだね!』
二人を見てて思った。楽しそうだな…って。
俺も綾音と楽しくいられたら…。そんな雰囲気ではなかった。
電車が来ると、三人は荷物も持たず電車に向かった。
『あれ、荷物は?』
『頑張れぇ!』
裕也は笑顔で乗り込んだ。優希も沃さと後を追うように乗り込む。
ホームに残ってるのは俺と綾音だけ…。綾音も俺の事を見ない…目を合わせないで電車に乗り込もうと…
『綾音…。』
俺は多分今にも泣きそうな表情をしていたんだろう。見るに見かねて綾音が戻って来てくれた。
『はぁ〜…楓はもぉ。持ってあげるから行くよ?』
綾音は優希の荷物を持って電車に乗り込んだ。
『ありがと。』
俺も裕也の荷物を持って電車に乗り込んだ。ただ、裕也の荷物…ヤケに重いんだよな…。
なにはともあれ無事出発する事ができた。
電車の座席はボックス型で、騒ぐにはもってこいの場所。他の客もポツリポツリしかいないし迷惑もかからない。最初のうちは『騒いじゃダメだよ!』って…結局大騒ぎ!
皆でお菓子を出し合っていると、裕也がバックを探り始めた。皆、お菓子か何かだと暫し沈黙が続いた。でも、出てきたのはキンキンに冷えたビール!荷物が重かったのはそれね…。
『おい!裕也それ酒だろ?いいのか?』
俺は正直驚いた。ていうか綾音も優希も…。まるでビデオの一時停止みたいに動かなかった。
『裕ちゃん…。』
裕也は周りの目も気にせず、せっせと缶にティッシュを巻き“プシュ!”。
……かなり慣れてる。
『んにゃぁうまい!』
…んまぁね。若干一名変な奴がいるけど、どうにか目的地に到着する事ができた。