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第三章 一人

 屋上でなに話してたんだろう…。


 そういえば、たまにいなくなる時あるよな…。


 ………で


 優希と話したくなった時は屋上で逢うのか?


 ……えで


 最近…いなくなる時多いよな…。


『楓!』


『…え?あぁどうした?』


『……もぅいい。』


『何だよ、怒るなよ。』


 頭の中は裕也の事でいっぱいだった。


『もぅ桜も枯れちゃってすっかり夏っぽくなってきたね。』


 綾音はニコニコしながら話し掛けてくる。


『もぅ夏か…。』


 そういえば虫の鳴き声、ちょっとせっかちな蝉。空を見上げれば低く飛ぶ入道雲。


『今年は暑くなりそうだな!』


『うん。』


 日差しの強い日の紫外線を浴びたアスファルト。陽炎が浮かび上がる道。そんな道を綾音と話しながら歩いていた。


 暑くなるにつれ話す話題は旅行や遊びに…


『ねぇ楓?休み入ったら山…行かない?涼しいらしいよ?』


『お!山いいね。』


 口では楽しく振る舞っていても、心の中では……。


 綾音と二人沢山の話をしていた。でも、さっき話してた会話…なにを話していたんだろう…。なにか頭のどこかに住み着き隠れていて綾音との会話に集中出来ない自分がいた。


 足元を見ながらただ歩く。そんな時…


『楓、今日はもぅいい!お家そっちでしょ?ばいばい!』


『家まで送るよ。』


 綾音は少し不機嫌そうに睨みつけてきた。


『今日の楓…嫌だ!』


『なっ!何だよいきなり!』


『私は…私は大丈夫だよ!』


 綾音は怒りを爆発させる様に走り去ってしまった。



 なんだよ…





 俺は海沿いのベンチに座り一人海を眺めていた。


 綾音の事、裕也の事……。考えれば考える程わからなくなる。


『あ〜わからねぇ!』


 頭をかきむしりながら悩む。子供の様にがむしゃらに悩んだ。結局何も解決する事なく、ただ時間だけが過ぎていった。



 日も暮れはじめ辺りも薄暗くなってきた頃、携帯が光っていた。裕也からのメールが届いた。




 これから家行ってもいいか?




 いきなりのメール。夜、裕也と会う事にした。



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