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【第三幕:ただ、姉さんを救いたいだけなんだ!】(挿絵あり)

 彼が口を開き、あの「エネルギー効率パフォーマンス」と「構造的安定性スタビリティ」に関する、最も優雅で最も安全な、あらかじめ用意していた答えを述べようとしたまさにその時。


 氷のように冷たく、月長石のようにいささかの温もりも持たない声が、先回りしてこの茶番劇に最終判決を下した。


「なぜなら、彼はそもそも学ぶためにここに来たわけではないからです」


 聖白学院の席で、純白の祭司服を着た、厳粛な表情の中年女性の祭司がゆっくりと顔を上げた。

 彼女の視線は最も鋭利なメスのように、アーガスの魂を完全に切り裂こうとしているかのようだった。


「彼は、冒涜するために来たのです」


 女性祭司はアーガスの入学申請書を見つめていた。

 その声は冬の教会の聖歌隊のように空虚でありながら、審判の冷気を孕んでいた。


「申請書には、あなたの姉が、高位の『暗影の浸食』と『魔鋼蠍まこうかつの猛毒』という二重の侵食、さらには多くの未知の呪いを受けたことで、脊髄神経に永久的な損傷を負ったと書かれています」


 彼女の視線が羊皮紙から上がり、アーガスを直視した。


「そしてあなたは、『独自に編み出した』前代未聞の治療法によって、彼女を死の淵から救い出し、ただ麻痺の後遺症を残すのみに留めたと主張している」


 アーガスは頷いた。

 彼の喉は突然、ひどく渇きを感じた。


 女性祭司は笑った。その笑顔にはいささかの温度もなかった。


 エルヴィラはこの時、アーガスを見ることはなく、ゆっくりと視線を外し、他の代理人たちの表情を面白そうに観察していた。


 最初の意気込みから一転し、今や冷水を浴びせられたような納得と恐れの表情へと変わっていく様。

 彼女は演劇を鑑賞するかのように、熱狂から恐怖への微妙な変化を一人一人細かく捉えていた。

 その血のように赤い瞳が暗く輝く。


 これこそが、真に面白い部分なのだ。


「嘘っぱちです」


 女性祭司はその言葉を事もなげに吐き出した。


「古い聖典には既にこう記されています。凡人の肉体が深淵の暗影と猛毒に同時に侵食された場合、その魂の回路は永久に汚染され、切断されると。それは神々からの最終審判であり、凡人の医療や魔法技術の絶対的な限界線なのです」


 彼女の眼差しが鋭さを増す。


「このような神罰を覆そうとするいかなる行為も、神の威厳に対する最も冒涜的な挑発に他なりません」


 この言葉は、先ほどまで激しく奪い合っていた数人の代理人の頭に、冷水を浴びせるようなものだった。

 彼らの顔から熱意は急速に引き、代わりに、合点がいったという思いと、騙されたという苛立ちが入り交じった表情が浮かんだ。


 アーガスの心には一抹の波立ちもなかった。

 彼の地球のエンジニアとしての「論理脳ロジカルブレイン」は、わずか〇・五秒の間に、最適な対応戦略ソリューション計算アウトプットしていた。


 彼はすぐに立ち上がり、感情を交えずに、最も厳密な学術用語を用いて反論すべきだった。


 彼が行ったのは「治療」などではなく、魔法粒子学マナ・パーティクルスに基づいた「悪性構造の剥離と物理的再構築デコンストラクション・アンド・リビルド」の実験であり、洗浄、鍛造の粉砕、神聖な光などを組み合わせたものだと説明するのだ。


 彼はあの息詰まるような救命劇を、冷徹で、データと論理ロジックに満ちた一本の論文としてパッケージ化する。

 それによって、深藍学院と岩黄学院の承認を得ることができるだろう。


 それが最も安全で、最も理性的な選択オプティマル・チョイスだった。


 しかし……。


 女性祭司の声が突如として甲高く響いた!


「基礎魔法すら正確に制御できないような田舎の見習いであるあなたが、教皇でさえ成し得ない奇跡を成し遂げたと妄言を吐くのですか? あなたがそのような穴だらけの、神を冒涜する物語をでっち上げた唯一の目的は、我々の同情を買い、この聖白学院に入り込み、あなたのような者には到底触れる資格のない神聖な知識を覗き見ることにあるのでしょう!」


 彼の家族の苦難と、彼がすべてを懸けた努力を、いとも簡単に「同情を引くため」だと定義づける。

 その軽蔑的な眼差しは、真っ赤に焼けた鋼の針のように、アーガスの瞳の奥深くに激しく突き刺さった。


 膝の下に置かれた彼の手は、無意識のうちに拳を強く握りしめていた。

 爪が掌に食い込みそうになるほどに。


 記憶の深淵から、一つの情景が制御不能なまま浮かび上がってきた。


 アイリーンはいつも強がって上半身を真っ直ぐにし、何事もなかったかのように笑って彼と雑談していた。

 しかし夜の帳が下り、窓の外から冒険者たちの歓声が聞こえてくると、彼女の目はひっそりと翳るのだった。


 その抑圧された渇望はどんな呻き声よりも胸を刺す。

 彼女は立ち上がりたいのだ。外へ出て、顔を撫でる風の感触を再び感じたいのだ。


 彼は、姉が今もなお、再び部屋の扉から足を踏み出すことを強く望んでいることを知っていた。


 それなのに今、こいつらはそれが「嘘」だと言うのか?

 「同情を引くため」だと言うのか?


 彼のドワーフの血脈に属する、頑固で、一切の道理をわきまえない「ドワーフの魂」が。

 この瞬間、轟然と爆発した(エラーを吐き出した)!


 違う……。


 どうして俺がお前たちに、俺の工芸クラフトを説明してやらなきゃならない?

 お前たちにはその資格すらない!


 お前たちは、俺が家族を救うという唯一の信念を全否定した。

 それはどんな屈辱よりも許しがたいことだ!


 彼は勢いよく立ち上がった。

 その突然の動作により、彼の下にあった木製の椅子が後ろに擦れ、耳を劈くような摩擦音を立てた。


 その音は、この冷え切った審判室の中でひときわ不快に響いた。


「俺の信念を……!!」


 彼は全身の力を振り絞り、胸が張り裂けるような、若者特有の咆哮を放った。

 その声には、絶望の淵に立たされた怒りと、最愛の者を守り抜くという決意が入り交じっていた。


「俺がここに来たのは、あんた達が言うような何者かになるためじゃない! 姉さんの足を治せる魔法を学ぶためだ!!」


挿絵(By みてみん)


 魂の底から発せられた、ドワーフの血脈に属するその頑固な咆哮。

 それは真っ赤に焼けたリベットのようにこの冷たい審判室に深く打ち込まれ、瞬時にして、当惑と理解不能に満ちた波紋を引き起こした。


 聖白学院の、あの純白の祭司服を着た女性祭司が、最初に衝撃から立ち直った。

 彼女は笑った。その笑顔にはいささかの温度もなく、予言が的中した後のような冷たい哀れみだけがあった。


 彼女は勢いよく立ち上がり、細い指で大門の方向を指し示した。

 その顔は、信仰の守護者としての冷たい怒りに満ちていた。


「私は宣言します。聖白学院は、動機が不純で嘘にまみれた冒涜者を一切受け入れません! 今すぐ、直ちに私の目の前から消えなさい!」


 宗教的な審判の色合いを帯びたこの宣告は、見えない重いハンマーのようにアーガスの胸を激しく打ち砕いた。

 彼が家族を救うためにすべてを尽くした「奇跡」は、この瞬間、彼の人格に対する「汚点」となってしまったのだ。


 続いて、深藍学院の代理人である、片眼鏡をかけた厳格な雰囲気の中年学者が、鼻梁のレンズを押し上げた。

 「臨床的配慮」に満ちた穏やかな口調でゆっくりと話し始める。


「坊や、君の気持ちはよく理解できるよ」


 彼の声は、カビの生えた本が山積みになった資料室のように響いた。


「家族を救いたいというその思いは非常に尊い。だが、だからこそ、我々は君にその執着を持ったまま、自分自身を傷つけるような間違った道を歩ませるわけにはいかないのだ」


 彼は手元の記録簿を閉じ、患者に最終診断を下すような口調で締めくくった。


「私の分析によれば、君と君の家族は、親族が重傷を負ったという現実を受け入れられないがために、集団的な『英雄的幻想』を生み出している可能性が高い。君は取り返しのつかない悲劇を、無意識のうちに、治癒可能であるという偽りの希望として投影しているのだ。それに対する君の執着は、不健康であり、導かれるべき心理的トラウマなのだよ」


 彼は少し言葉を切り、声はさらに柔らかくなった。


「我々、深藍学院が追求するのは絶対的な論理と理性だ。精神状態がそれほど不安定な学生は必要ない」


 聖白学院は、彼の「誠実さ」を否定した。

 深藍学院は、彼の「理性」を否定した。


 赤紅学院の代理人は、自分が興味を持っていた「戦争の兵器」の原石が、実はただの空想ばかりの「狂人」だと分かると、顔から最後の一抹の興味すら消え失せた。

 彼は苛立たしげに「チッ」と舌打ちし、真っ先に立ち上がると、振り返りもせずに憤然と席を立った。


 残りのいくつか学院の代理人たちも、次々と「不適格」を理由に遠回しに拒絶の意を示した。

 彼らが席を立つ動作は一糸乱れず、まるで訓練された役者たちが、すでに結末の決まった茶番劇から迅速に退場していくようだった。


 世界全体が、この瞬間に彼に対して扉を閉ざしたかのように思えた。


 姉のために燃え上がった唯一の希望の炎は、「権威」と「常識」という名の冷たい泥水によって完全に消し止められた。

 アーガスは足元から這い上がるような寒気を感じた。


 結局、この盛大な「審判」に残されたのは、最初から最後まで眉をひそめていた岩黄学院の代理人と、そして……。


 隅の方で、ずっと一言も発さなかった灰色学院の院長、エルヴィラだけだった。


 彼女は手で顎を支えながら、目の前のこの荒唐無稽な茶番劇を面白そうに眺めていた。

 その血のように赤い瞳には、まるで見慣れない新しいおもちゃを発見したかのような、病的な光が点滅していた。


 岩黄学院の代理人は重くため息をつき、立ち上がってアーガスの前に来た。

 その大きく分厚い掌で、アーガスの痩せた肩を叩く。その掌は温かくて厚みがあった。


「坊ず」


 彼の声には同族への温情が込められていた。


「もしお前がまだ望むなら、我々岩黄学院の扉はいつでもお前に開かれているぞ」


 アーガスのとっくに冷え切っていた心に、その突然の温もりが微かな波紋を起こした。

 しかし彼は、ただゆっくりと首を横に振っただけだった。


(……無駄だ)


 彼の冷たい内心の独白には、現実に打ちのめされた絶望が満ちていた。


(ドワーフの工芸クラフトじゃ、姉さんの魂のバグは修復できない)


 彼はもはや、口を開く力さえ失っていた。

【あとがき】

応援や★★★★★評価、ブックマークが、この物語の火力になります。

次の章も、全力で鍛えます。

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