第三章:煤手(すすて)のドワーフの反撃-1
真理の広間から実践テスト会場へ向かう道中。
アーガスは初めて、迷いを感じていた。
「転生者」としての、科学と論理の上に成り立つその誇り。
それは、あの無情な水晶の浮き筒によって、無視できない亀裂を穿たれてしまった。
単なる「努力」と「方法」だけでは、この世界における「血脈」という名の絶対的な溝を越えられないのではないか。
彼は初めて悟ったのだ。
その迷いは、陽光と硫黄の匂いに包まれた野外闘技場に足を踏み入れた彼を、ますます無口にさせていた。
【第一幕:導火線】
実践テスト会場は、屋根のない巨大な円形闘技場だった。
地面は黒い火山岩で敷き詰められている。
その上には、深さの異なる獰猛な傷痕がびっしりと刻まれていた。
試験官は、背が高く月白色の長髪を持つエルフだった。
立ち振る舞いは優雅で、長衣には塵一つついていない。
だが、宝石のように細長いその両目は、その場にいるすべての新入生を見渡す時、生まれながらの、隠しきれない傲慢さを帯びていた。
彼の視線が、アーガスの質素なドワーフ風の装いと、背後にある不格好な鉄の箱をかすめる。
その優雅な瞳は、気づかれないほど微かに細められた。
待ち時間は長く、退屈なものだった。
アーガスは最も目立たない隅を探して座り込み、再びノートと木炭のペンを取り出した。
分析によって、心の中の挫折感を追い払おうと試みた。
真っ赤なローブを着た貴族の受験生が、一人目として試験場に上がった。
彼は両腕を高く掲げ、劇的な緊張感に満ちた、抑揚のある声調で詠唱を始めた。
「我が呼び声を聞け、虚空をさすらう緋色の御子よ! 汝の怒りの炎を矢とし、我が意志を弦として、眼前の敵を貫け!」
その言葉遣いは詩のように美しかった。
最後の音節が落ちるや否や、空気中の火元素が喜々として集まり始める。
やがて彼の手のひらで灼熱の火球へと凝縮し、唸りを上げて飛んでいき、遠くの的の中心に正確に命中した。
アーガスはこの光景を見て、眉をひそめた。
これは乞い願いだ。
魔法に言うことを聞いてくれるよう、低姿勢で頼み込んでいるのだ。
彼は、姉のアイリーンを救うために思わず口走った、論理と配列に満ちた「呪文」を思い出した。
それは絶対的な理性をもって、混沌としたエネルギーに秩序を与える「指令」だった。
しかし目の前のこの詩は、機嫌をとり、勧誘し、華麗な言葉で魔法元素の応答と引き換えようとしているかのようだった。
彼はノートに書き込んだ。
(詠唱体系、分岐一:祈願文。エネルギー変換効率が低く、安定性は術者と元素の『コミュニケーション』能力に依存する。変数が多すぎる)
続いて、別の受験生は全く異なる方法を選択した。
彼女は目を閉じ、両手を合わせて、長い瞑想に沈んだ。
数秒後。
彼女は勢いよく目を開け、深呼吸をした。
純粋な魔力で構成された、氷のように青い光を放つ複雑な魔法陣が、彼女の前に何もない空間から「凝結」して現れた!
その魔法陣の紋様は基礎ルーンよりもはるかに複雑だった。
縁には霜の花のように美しい、非構造的な装飾模様まであしらわれている。
魔法陣は安定して稼働し、氷の錐を一本発射した。
アーガスの目の中の困惑はさらに深まった。
自身の設計では、すべての回路は、最短経路と最小損耗を追求するための、冷たい直線と鋭角で構成されている。
しかし目の前のこの魔法陣は、優雅な曲線と華麗な装飾で満ちている。
これらの余分な構造は、魔力が流れる経路を増やし、結果として無意味な損耗を引き起こすのではないか?
それら太さの異なる線は、エネルギーの乱流を引き起こし、出力の安定性に影響しないのだろうか?
彼は再び疑問を書き留めた。
(図形体系、分岐一:装飾性優先。その安定性の代償は、極めて高いエネルギーの浪費であるようだ)
彼はこれら二つの全く異なる魔法発動体系を見て、初めて、この世界の魔法文明に対する真の好奇心を抱いた。
(……おかしいな、なぜ彼らはこの二つを組み合わせないんだ? それに、どちらも不必要な『変因』を導入しすぎている……結果として出力が極めて非効率的になっている)
「次、アーガス・アイアンソーン」
エルフの試験官の声が、アーガスを現実に引き戻した。
その声は氷のように冷たかった。
彼のドワーフ風の名を読み上げる時、その語気には、まるで舌の先に油汚れが触れたかのような、ほとんど気づかれないほどの嫌悪感が混じっていた。
アーガスはノートを閉じ、立ち上がり、試験場の中央へと歩いていった。
「第一のテスト、範囲性防御魔法」
エルフの試験官の声には、複雑で重々しい響きがあった。
「自分自身に対し、継続的に効果を発揮する防御のオーラを展開しろ」
アーガスは頷いた。
彼は「曙光」の手袋をはめた左手を、軽く持ち上げた。
手慣れた様子で、腰の革袋から黒鉄で作られた薄いカードを取り出し、人差し指の関節にあるスロットに押し込もうとした。
ちょうどその時。
鋭く傲慢に満ちた声が、突然受験生席から響き渡った!
「待ってください! 試験官様! 彼、魔導具を使おうとしています! 入学テストでそんなこと許されるんですか?!」
声の主は、あの白鷺一族のエルフの少女だった。
彼女は立ち上がり、白くすらりとした指で遠慮なくアーガスを指さす。
その顔には不正者を捕まえた時の、正義感と優越感に満ちた冷たい笑みを浮かべていた。
すべての視線が、瞬時にアーガスの手にある、少し醜く見える黒い革手袋に集中した。
エルフの試験官の眉が、すっと開いた。
常に少し疎遠な雰囲気を漂わせているその優雅な顔に、初めて、「やはりそうか」という、隠しきれないほどの嘲笑の笑みが浮かんだ。
彼はゆっくりと前に歩み寄り、商品を検分するような、いささかの温度もない眼差しでアーガスを睨みつけ、冷たい声で言った。
「ドワーフというのは、やはりそういった粗野な鉄器に頼ることしかできないのか? お前の手にあるものを説明しろ。猶予は十秒だ」
アーガスは顔を上げ、疑問と敵意に満ちた数十の視線を真正面から受け止めた。
彼は慌てることなく、ただ事実を述べるだけの穏やかな口調で答えた。
「これは私が自分で作りました」
「ハッ」
エルフの試験官は喉の奥から、嘲りに満ちた短い息を吐き出した。
「自分で作っただと? だろうな。汚らしい溶鉱炉から出てきた、油まみれのガラクタだ」
彼はアーガスを上から下まで値踏みしたが、その目はまるで田舎の工房で作られた、三流の粗悪な模造品を見ているかのようだった。
「よかろう」
彼は退屈そうに手を振った。その語気には施しを与えるような傲慢さが満ちていた。
「自分で作ったというなら、その醜い代物は、お前の体の一部として扱ってやろう。始めろ、『煤手のドワーフ』。これ以上、皆の時間を無駄にするな」
「煤手のドワーフ」。
アーガスは反論しなかった。
彼はうつむき、親指の爪を、左手のあの粗末な革手袋の縫い目に深く食い込ませた。
革の下には、少しチクチクする粗麻布の裏地が敷かれている。
それは母が目を真っ赤にして縫い込んでくれたものだ。
手袋の裏側の鉄板の縁には、平らでない欠けがある。
それはトールが厚さを極限まで削るために、グラインダーで爪をごっそり削り取られてしまった後、血痕を残した場所だ。
彼は指先が微かに震えるのを感じた。
アーガスは、煤の記憶にまみれた左手をゆっくりと持ち上げた。
人差し指を曲げる。
カチャッ。
冷たい鉄のカードがスロットに押し込まれる。
これは決して「醜い代物」などではない。
これは彼の家族が、彼のために作り上げた「曙光」なのだ。
冷たく、音のないドワーフの怒りの炎が、初めて彼の胸の中で静かに燃え上がった。
【あとがき】
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次の章も、全力で鍛えます。




