第二章:測定不能な凡庸 ——世界樹の下、凡鉄を以て神の天秤をハックする-1
【第一幕:あの、魔導具が壊れたみたいなんですけど】
アーガスの姿は、石畳の小道の中でひときわ孤独に見えた。
彼は周囲の華麗な環境とは全く場違いな鉄の箱を引きずりながら、貨物通路の狭い石畳を歩いていた。
この道は曲がりくねっており、まるでその上を歩く者に己の身分を思い知らせるために意図的に作られたかのようだった。
壁一枚を隔てた対比は、寒気を覚えさせるものだった。
壁の向こうからは絹が擦れる柔らかな衣擦れの音や、貴族たちがわざと押し殺した忍び笑いが聞こえる。
その音はまるで、羽毛が絹布を撫でているかのように聞こえた。
一方、彼の側には、鉄箱のローラーがでこぼこの石板の上を転がる時に発する鈍い衝突音しかない。
その一音一音が、お前はここに属していないと彼に警告しているようだった。
空気中には清掃用魔薬の鼻を突く匂いが充満している。
その匂いは、病院の廊下の消毒水を思い出させた。
彼は自分自身の従者であり、同時に自分自身の主人であった。
石畳の小道の突き当たりには、みすぼらしいほどに質素な木の扉がある。
それを押し開けると、目の前の世界が突然開けた。
狭い通路の圧迫感は瞬時に消え去り、代わりに広々としたエントランスホールが現れた。
ここは二つの世界の交差点だ。
複雑な模様が彫刻された中央大通りが、ここで強制的に従者用の通路と合流している。
まるで二つの川が、不本意ながら混ざり合うかのようだった。
アーガスがその身分を示す扉から歩み出た瞬間。
何人かの貴族の新入生たちの視線が、一瞬にして彼をロックオンした。
彼らの顔に浮かんでいた笑顔は、急速冷凍された水滴のように瞬時に凝固した。
その種の眼差しを、アーガスは何度も見てきた。
「ここにいるべきではないもの」を見た時の、困惑から合点がいったような驚きと嫌悪へと変わるその目。
校門にいた時よりもさらに露骨で、全く隠そうともしていなかった。
しかし、アーガスは背中に刺さるようなそれらの視線を意に介さなかった。
彼はただ黙って列の最後に続き、存在しない影のようだった。
生徒会の制服を着た上級生が、すべての新入生に早く進むよう苛立ちながら促していた。
その声には、服従されることに慣れきった傲慢さが漂っていた。
「早くしろ! 全員中に入れ! 『真理の広間』の適性検査がすぐに始まるぞ!」
制度による強制力が、一時的に階級の差異を平らにならした。
アーガスは人の波に従い、ついに「真理の広間」と呼ばれる巨大な円形ドームへと足を踏み入れた。
広間の中央には、巨大な菱形の水晶が静かに宙に浮き、微かな内なる光を放っていた。
その下方には複雑な真鍮の台座が接続されている。
六本の水晶の指針が、それぞれ六つの基礎魔法属性の目盛盤に対応していた。
どの指針も羽毛のように繊細だが、運命を決定づける力を秘めている。
華麗な絹のローブをまとったエルフの貴族少女が、優雅に水晶から手を引いたところだった。
彼女の動作はまるで舞踏のようで、すべての細部に生まれながらの気高さが表れていた。
「光属性、四十七。水属性、四十二」
試験官が高らかに宣言した。
その語気には、隠しきれない称賛が混じっていた。
広間に羨望の歓声が響き渡り、それらの声は波のように次々と押し寄せてきた。
「さすがはエルフの白鷺一族だ……」
アーガスは静かにこのすべてを観察していた。
彼の注意力は、人々を熱狂させるそれらの数字にはない。
指針が滑り落ちる際に魔力の残留によって生じる微細な震えを、専心して分析していた。
彼の目には、それが解析を待つ異世界のコンピュータシステムとして映っていた。
「次、アーガス・アイアンソーン」
試験官の声が彼を現実に引き戻した。
瞬間、広間全体の焦点が彼に集まる。
その感覚はまるでスポットライトの下に立たされ、無数の目に検査されているようだった。
周囲から抑えきれないひそひそ話が聞こえてきた。
「ドワーフの……混血? 珍しいな!」
「あの服の身なりからして……平民だろう?」
「おそらく岩黄学院の特待生の職人見習いじゃないか?」
アーガスは深呼吸をして、前へ進み出た。
彼がその冷たく巨大な菱形の水晶に手のひらをそっと当てた時、世界全体が静まり返ったようだった。
彼は目を閉じた。
それは精神を集中させるためではない。ある特殊な状態に入るためだった。
彼の今の目的はテストを受けることではなく、突破することだった。
まるで一人のエンジニアが、夢にまで見た異世界のコンピュータについに触れ、その実行原理(動作ロジック)を読み取ろうとしているかのようだった。
彼は蜘蛛の糸よりも細い魔力の流れ(ストリーム)を一本放ち、水晶の内部へと慎重に浸透させていった。
このプロセスには極限の精密制御が必要であり、それは最も細い針と糸で卵の殻に刺繍をするようなものだった。
彼はその複雑なエネルギー回路を追跡し始め、その核心設計を少しずつ解析していった。
すぐに、彼は理解した。
この魔導具の原理は実は非常にシンプルだ。
それは六種類の異なる網目を持つ精密なフィルターのようなものであり、いくつの魔力粒子がそれぞれの網目を通過できるかを計算しているのだ。
彼がこの「技術分析」を行っていると同時に、広間にはもはや隠そうともしない軽蔑の笑い声が響いていた。
「おい、あいつ何やってるんだ? 指針……爪の先ほどでも動いたか?」
「なんてことだ、あんなに惨めな魔力出力は見たことがない……あいつは水晶をマッサージでもしてるのか?」
これらの嘲笑の声は蚊の羽音のように、空気中でブンブンと鳴り響いていた。
試験官の顔色も最初の苛立ちから、嫌悪と哀れみが入り交じった冷淡さへと変わった。
その表情はまるで、街角の乞食を見ているかのようだった。
ちょうどその時、高く澄んだ、しかし気怠げな声が響き、遠慮のない催促を放った。
「ちょっと! そこの鉄箱を引いてるやつ! 寝てるの? 後ろにまだ大勢並んでるんだけど!」
生徒会の金髪の少女が眉をひそめ、苛立った様子で手にある名簿で傍らの石柱を叩いていた。
この突然の呼び声は、一本の針のようだった。
アーガスの高度に集中した精神世界を、激しく刺し貫いた。
彼はハッと驚き、精密に制御されていた魔力の流れが瞬時に制御不能に陥った。
彼の魔力は決壊した洪水のように、一瞬にして猛然と流れ込んだのだ!
次に起きた出来事を、誰も説明することはできなかった。
轟音もなく、いささかの音すらもなかった。
次の瞬間、全員が唖然として見つめる中。
魔導具の台座にある異なる属性を示す六本の水晶の指針が、突然、全く不規則に狂ったように震え、乱回転し始めた!
それらは強い電流を浴びた六匹の昆虫のように、極めて高い周波数で「ゼロ」と「百」という二つの極端な目盛りの間を狂ったように跳ね回り、明滅し、痙攣した!
宙に浮く水晶は耳を劈くような「ジジッ」という音を発し、内部では混沌とした雑色の光が点滅している。
まるで、間もなく焼き切れる古いブラウン管テレビ(モニター)のように見えた。
「魔導具が……焼き切れたのか?!」
「どういうことだ? これは魔力の暴走じゃない、まるで……何らかの未知の干渉だ!」
試験官は勢いよく立ち上がり、その顔には信じられないという色がはっきりと浮かんでいた。
彼は三十年教鞭をとっているが、これほど奇怪な現象は見たことがなかった!
魔導具の最下層の回路から、解析不能なエネルギー流によって完全に「汚染」されてしまったかのようだ!
誰もが魔導具の不気味な機能不全にパニックに陥る中。
生徒会の金髪の少女だけが、アーガスの顔に浮かぶ極めて不釣り合いな「冷静さ」と「当たり前」という表情を鋭く捉えていた。
海水のように青い彼女の瞳はもはや気怠げではなく、また驚愕でもなく、面白いおもちゃを見つけた時に似た好奇心に満ちており、まるで研究者が興味深い実験サンプルを発見したかのようだった。
騒ぎは試験官たちによってすぐに強制的に鎮められた。
計器が一時的な機能停止に陥っただけだと確認した後、試験官は極めて複雑な眼差しでアーガスを見た。
そこには疑念、深刻さ、そして深く隠された一抹の恐怖があった。
彼は絞り出すように口を開いた。
「……君の魔力は……おそらく混じり気がありすぎて、魔導具の回路と衝突を起こしたのだろう。これは計器の故障とみなし、成績は無効とする。少し待て、予備の計器でもう一度測定する」
係員が迅速に予備の「啓示の水晶」を運んできた。
計器の交換が終わると、試験官の声は気づかないほどの震えを帯びていた。
「……今回は、魔力の放出を抑えるんだ。もっとゆっくり、安定させて。ゆっ……くり……とな……!」
アーガスは頷いた。
その真新しい水晶を見つめながら、彼は初めてエンジニアとしての申し訳なさを少しだけ感じていた。
それはまるで、プログラマーが、コードが複雑すぎてシステムをクラッシュさせてしまった時の、あの複雑な心境のようだった。
彼は再び手のひらを水晶に当てた。
今度は、「曙光」の手袋を通して、自身の魔力粒子流に絶対的な「流速」を設定した。
彼は出力を中程度のレベルに抑えようとした。まるで水道の蛇口を調節するように。
そして、彼は魔力を解放した。
今回の光景は、さらに人々の理解を絶するものだった。
震えも痙攣もない。
六本の水晶の指針が、これまた全員の理解を超える完璧な同期をもって、「同時」にゆっくりと安定した上昇を始めたのだ!
それらは同じプログラムを書き込まれた六つの精密機器のように、一糸乱れぬ全く同じ速度で上へと登っていく。
どの指針の動きも寸分の狂いもなく、まるで見えない手に正確に操作されているかのようだった。
そして、全員が息を呑んで見つめる中。
六本の指針は同時に「六十点五」という目盛りに到達した。
整数と整数の間にあるその正確な位置で、完全に静止したのだ。
一分多くもなく、一ミリ少なくもない。
六本の指針は金縛りの魔法にかけられたように、時間さえも凍りついたかのように静止していた。
水晶の内部では、純粋な光がかき混ぜられた星雲のように、安定して回転する渦を形成していた。
真理の広間全体が水を打ったように静まり返り、呼吸の音さえもはっきりと聞こえるようになった。
最初の狂ったような震えが「魔力の混濁」による計器の機能停止として説明できるのなら。
今回の神業のような正確な同期静止は、このテストをその場にいるすべての魔法使いの常識に対する公開処刑へと完全に変えてしまった。
試験官はその結果を呆然と見つめ、額にびっしりと冷や汗をにじませていた。
これは新しい魔導具であり、壊れているはずはない。
だが、それが示しているのは、記録できるような「数値」では到底なかった。
それは悲鳴を上げ、自分なりの方法ですべての人に伝えているのだ。自分にはこの物体を測定できないと!
彼は震える手で筆を取り、羊皮紙に「全属性適性の疑いあり、読み取り不能」と書き込み、その言葉の横に巨大な疑問符を力強く描き込んだ。
何しろ、有史以来、このような不気味な現象は一度も起きたことがなかったのだから。
規則マニュアルの第三十七条によれば、計器が安定した数値を出せない状況が発生した場合、それは「テスト異常」として分類するしかない。
「……チッ、どんな化け物かと思えば、ただ計器が壊れただけじゃないか」
「本当よね、何がすごいの? ただの運がいい田舎者じゃない」
「あいつの魔力が濁りすぎていて、計器と何か異常な反応を起こしたに違いないぜ」
アーガスは自分を取り巻くこれらの声を聞きながらも、内心は水のように穏やかだった。
彼から見れば、これらの声は単なる背景雑音に過ぎなかった。
彼は逆に、心の中で冷静にメモ(ログ)を残していた。
このいわゆる「適性」計器は、むしろフィルターに近く、真の属性適性ではなく、魔力の通過率を測定しているのだ、と。
もし自分の推測が正しければ、この世界は魔力を粒子ではなく流体として処理している可能性があり、だからこそこのようなテストの無効化が起こるのだ。
だがこれはまだ仮説に過ぎず、実証に欠けている。
入学後の基礎授業で検証しなければならないと、彼は自分に言い聞かせた。
そう考えると、彼は逆にエンジニア特有の期待感を少し抱き始めた。
次の魔力総量テストは、自分により明確な参照点を与えてくれるかもしれない。
【あとがき】
応援や★★★★★評価、ブックマークが、この物語の火力になります。
次の章も、全力で鍛えます。




