第五章:熱膨張と収縮(サーマル・ショック)――クールな先輩(?)と共に、炎の魔獣を物理で鎮圧する-4
【第四幕:名乗るほどの者じゃない。任務完了で立ち去る裏方】
アーガスの怒号を聞き、リナの目に驚きの色が走った。
彼女は一瞬で、アーガスのその狂気に満ちた、魔法使いには全く属さない「職人」の論理を理解した。
表面の炎を消火するよりも、物理的構造の「コア」を直接破壊するのだ!
この判断は、いかなる教科書の理論よりも直接的で、そして致命的だった!
彼女はいささかの躊躇もなく、即座にこの異端からの、最適な戦術解を採用した!
彼女は残されたすべての水系魔力を細長い高圧の水柱へと圧縮し、一か八か、火の獅子の胸部へと轟然と放った!
それと同時に、アーガスは片時も躊躇することなく、一歩前に飛び出した。
だが彼は火の獅子を攻撃するのではない。
「曙光」の手袋をはめた左手を、リナがまさに魔法を発動しているその腕に、重く押し当てたのだ!
彼は補助しているのではない。
リナの魔法に「付与」しているのだ!
リナはただ、氷のように冷たく、純粋で、極限まで圧縮された魔力の流れ(ストリーム)が、アーガスの掌から瞬時に注入されるのを感じた。
それは自身の魔力回路に沿って、あの水の巨大蛇の体内へと流れ込んでいく!
見ると、巨大蛇の体表に、瞬時にして氷のような青色をした、水晶の鎧のような奇妙な光が浮かび上がった!
それは氷ではないが、氷よりも冷たい!
それはアーガスが工学の論理を用いて強制的に歪め、改造した後に誕生した、専用の「焼き入れ(クエンチング)」ツールだった!
「付与」された水の巨大蛇は、極限の深寒を纏った徹甲弾のように、火の獅子の溶岩のコアに正確に命中した!
リナの高圧水流が「冷却」を担当し、アーガスの「鍛造魔法」から改造された「焼き入れ剤」が、温度差を物理的限界に到達させる役割を担った!
極限の温度差――「熱膨張と収縮」の作用により。
火の獅子の溶岩の骨格は内側から壊滅的な構造的崩壊を起こし、瞬時に無数の炎の星屑となって砕け散った!
外部の炎は支えを失い、無念の悲鳴を上げて、完全に消火した。
全員の視線がリナに集中した。
教授たちは次々と前に歩み寄り、魔力の透支によって震える彼女の両手を検査した。
生徒会の幹部たちは、まだ恐怖に震えている新入生を慰めるのに忙殺されていた。
広場全体の焦点は、この危機を挽回した英雄の上級生にしっかりとロックオンされていた。
アーガスはリナが無事であることを確認した後、それ以上そこにとどまることはなかった。
彼は群衆の騒ぎと視線が外れた隙を突き、任務を完了した幽霊のように、黙って広場の縁に沿って退いた。
その姿は補助生寮へと続く影の小道の中へと徐々に消えていった。
リナは人々に囲まれる中、顔色は徐々に回復していたが、心の中ではまだあの瞬間の衝撃を反芻していた。
彼女が振り返った時、視線がふとアーガスの立ち去った方向に落ちた。
だが、影の中で徐々に遠ざかる背中が見えただけだった。
その青い瞳が微かに揺れ、彼女自身でさえ見分けるのが難しい複雑な感情が映し出された。
驚き、困惑、そして一抹の名状しがたい興味が。
【あとがき】
応援や★★★★★評価、ブックマークが、この物語の火力になります。
次の章も、全力で鍛えます。




