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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

気まぐれ企画 異世界で子作り無双したら、そこに永久追放になった件

作者: 赤川ココ
掲載日:2025/12/17

彼らは、諸悪の根源です。

 見慣れた空を仰ぎ、神威(かむい)は嘆く。

「ああ、何でこんなことに……」

 それに答えたのは、一緒に来てくれた狐の女だ。

「そんなの、考えるまでもないでしょ? あなたが、見境なく種をまき散らしたせいで、この世界の均衡が崩れちゃったのよ」

「っ。だってさ、あの世界じゃあ、お前の出産数を、上回ることが、出来なかったんだよっっ」

「……そう、それね。私も反省してるわ。何であんな賭けを、提案しちゃったのかしら……」

 お陰で、事情を知った育ての子供にも、周囲にも激怒され、神威は命の危機に晒されてしまった。

 必死で命乞いをして、その賭けを提案した女狐も一緒にと言い募るのも宥め、女が一緒に行くことで話を収めさせた。

「……お前も、酷いよ。賭けの提案者、本人の癖に」

「それも、仕方がないでしょ。(みやび)狭霧(さぎり)には、私に伴侶がいる事実を、知らせてないんだから」

 不服そうな神威は、彼の他の血縁より、やたら子供っぽいところがある。

 そこが、狐の心を鷲掴んでいるのだ。

 むっとりとして黙り込んだ男に、女は微笑んだ。

「でも、今回はあなたが勝利というのは、変わらないわ。女性が苦手なのに、よく頑張った」

 本気の誉め言葉に、神威はぱっと顔を輝かせた。

 本当に、可愛い。

「本当に、頑張ったんだよ。人間の女性は怖くて、あの一度きりだったけど、こっちの女性は殆ど獣型でさ、その姿に化けて営めば、全く気にならなかったんだ」

 そうなれば、後は簡単だったと自慢気な男は、勢い良く続けた。

「まさか、ゴーレムとも子を授かるとは思わなかったからさ、本当に子沢山になったんだよ」

「……」

 ?

 もしかして、魔王として君臨しちゃった?

 女の顔が、笑顔のまま固まった。


 女が男の子どもを産み、別な男と育てていると知った神威が、住処に突撃してきたのは、いつだっただろうか。

 女と同じ狐の女との間に、子を儲けてしまったが、その女が自らを封印してしまったせいで、世に出せる状態じゃなくなったため、丁度神威を誘惑して成功した女に、白羽の矢が立ったのだ。

 女としても、神威に子育てできるのか不安があったため、伴侶として一度は彼と、と思っていたにすぎないから、子育てに慣れたその男と協力できるのはありがたかったし、何より自分の腹から生まれた、全く別な女の子供たち二人も、それはそれは愛らしかったし、それなりに幸せに暮らしていた。

 生まれた子供の四人のうち、男の娘一人は人間の姿のまま生まれ、人と同じくらいの成長を始めた。

 その娘が、ハイハイできるくらいになった頃、神威が突撃してきたのだった。

 賭けを提案した後、別れる段になって、己の子をあやしたいと頼む伴侶に許可を出したが、その乱暴な揺らし方に激怒した男が、神威を一晩動けなくなるまでぼこぼこにしていたのは、いい思い出だ。

「死んだら、もう終わりだけどな」

「死んでいれば、ね」

 鼻を鳴らす伴侶に頷くが、最近まで神威の従兄弟によって当人が蘇っていた事を知る女は、数年前に今度こそ跡形もなく荼毘に付されただろう男が、何かしらの痕跡を残しているのではと疑っていた。

 完全に、気配は断っているから、血縁たちと係わる気はないのだろうが、あの男を伴侶とする女が、平然と人間世界に馴染んで生活しているさまを見ると、探してしまいたくなる衝動が起きてしまう。

 だから、この追放は、女にとっても好都合だ。

「あなたと夏生(なつお)の子も、所帯を持って忙しくしているし、狭霧もそろそろ、解放してあげないといけなかったから、丁度いいわ」

 女は軽く言いながら、あれは驚いたと内心思っていた。

 実の息子たちには、出来るだけ近づかぬよう気を付けてはいたが、世話になった男の二人の子供は、目の届くところで見守りたいと願っていた女は、長男だった子供の生存と所在を知っても、突撃して名乗ることを、躊躇っていた。

 そしたら、神威が何故か、狭霧の姿で女とねんごろになり、子を作っていたのだ。

 驚いたが、狭霧が身に覚えのないその子を自分の子としたことにも、心底驚いた。

 当時知り合った、術師の家系の女の手を借り、狭霧に伴侶がいることを知った時、ちょっと楽しいお遊び感覚の計画を、思いついてしまったのだ。

 その遊びも佳境を迎えて、狭霧の子として育った娘も、幸せな人生を進んでいる。

 実の息子たちも、雅も今回の事には反対していたし、狭霧も亭主目線で反対していたが、女はもう決めていた。

 こちらでもう一度だけ神威と子を作り、今度こそ二人で子育てしようと。

 そう決めていた、のだが。

「……神威」

「ん? どうした? 寿(ことほぎ)?」

 女の微笑みにつられて、笑い返す男に、寿は提案した。

「まず、この世界の子供たちの認知から、始めましょう?」

「ええー」

 嫌そうな神威を見ながら、女は覚悟した。

 凌を始めとした連中が今、男の子供たちを抹殺するべく動き始めている。

 均衡を乱す子供たちは仕方がないが、それ以外はきっと取り逃がすはずだ。

 その子たちを、真っ当に育て上げるのが、自分たちの使命だ。


 

 


色恋も、周囲に迷惑をかけてはいけないですね。

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