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悪魔の思いを聴く-人生変わる傾聴の魔法

  今日はアスカと2人っきり。スピアは悪魔の世界でいってやることがあると言い残し留守だ。

 だいぶ悪魔との生活に慣れてきた。楓里香の家では黒髪の女性、見た目は淡麗美人な肌に丸い目をしている悪魔が一人。見た目は中学1年生か小6ぐらいの身長、でも頭脳は大人。髪が肩くらいまであり赤茶色の髪をした少女姿の悪魔が一人。計3人で暮らすことに。

 前者の名前はアスカ、後者ほスピア。食費は増えたけど、悪魔たちが自分でそれをだしているので対して私の財布は減ってない。

 前ほど怖くてビクついて生活することはなくなった。

 始めてアスカと2人で過ごす。今日は特に予定もないし、家で本でも読もうかと思っていた。だけど、せっかくだし、アスカと距離とか縮められないかな…。

 なんだかんだいって、家事は手伝ってくれるし、気遣ってくれる。柚葉がいったあの言葉…。

 「ねぇ、本当に悪い悪魔なの?」

生活を通して少し、見る目が変わる。皿も洗う、風呂や部屋の掃除もする。悪魔のくせにそれにふさわしい行動を家ではあまりみない。

 それを感じるのは私をからかう時に見る程度。

 矛盾しまくっていて、時々困る。どっちなんだろうと気になり出すと朝と昼を除いて眠れる(じゃ、よくね?)

 いや、困る。昼の集中力が持っていかれて、それが読書に割けずにその活動に費やすエネルギーが、枯れてしまうのは私の幸福の木が問題だ。

 よし!今日はアスカのことを知り尽くす日にしよう!

  「ねぇ、アスカ。今日一緒にどんなことをしようか」

「いきなりどうしたの」

 私の部屋で勝手に本を立ち読みするアスカに誘いをかけてみたけど、アスカの表情には嫌いな食べ物を目にしたような渋い顔をした。

 「だから、今日は2人きりでしょ。一緒に出かけたいの。お願い」

 私は両手を合わせて、もじもじしながら話す。ちょっぴり勇気いることだし、すごくソワソワする。

 「…どういう風の吹き回しか知らないけど、別にやることないし付き合ってあげてもいいわよ」

「え!いいの、やった。ありがとう」

心が軽やかになる。ダメ元で誘ってみたけど、なんとかなった。

 「でも、一つ条件がある。今日は"傾聴"について特訓することよ。何もなしとかつまらないわ」

う、そうくるか。まぁいいか。今日はこっちから頼んでるし。

 こうして私の密かなミッションと与えられたミッションはじまった。

  「傾聴とは相手の思いや考えを聴くテクニックで人間がいる場所ならどこでも使える。」

住宅街を歩きながらアスカはその傾聴とやらの意味ややり方を説明し始める。

 「へぇ〜。誰にでも使えるなら便利ね。」

 「信頼とかやらを作るのにも使える。仲良くしたい人がいるとか、説明してる相手の懐に入ってみたいとかにも効くのよ。」

 そんなメリットがあるのか。頷きな、アイコンタクトを取りながら聴く。

 「要するに人と人を結ぶための接着剤のような役割が傾聴ということね」

 「そういうこと、本読んでるだけのことはあるのねぇ」

「えへへ」

悪魔の甘味な言葉は照れるな。

 「それでどうやるの」

 「焦らないの」

可愛くなだめられた。

  「今からやるから、みてなよ」

 「今?」

「人生を変えるなら今が最速よ」

 そう軽く返事をしたアスカ。歩きながら会話は続けるけど、そのテクニックが気になり始めてモヤつく。

 「私にきいてみたいこととかないの?」

「いっぱいあるよ、ないわけないでしょ!」

 まさかアスカから悪魔の興味を聞き出してくれるとは思えかった。いきなりの質問に戸惑いを隠せない。

 「じゃぁ、遠慮なく。悪魔って何?」

 「悪魔とは残虐な行いをする存在といえばいいかしら。人でも動物相手でも心を踏みにじることを何とも思うことのない怪物。」

きいてみたけど回答はおぞましいことこのうえない。

 「それが悪魔なの」

彼女は黙って頷いた。アスカは聞く耳は持ってくれる優しい一面。首を回しながら、悪魔とは反対な側面を持つ彼女にふりまわされる。

 「あなたは大悪魔、スピアは超絶悪魔なんだよね。違いって何?」

 彼女は私の言葉を遮らずふむふむと相槌を打ち、さっと答えた。

 「違いは人間味があるかどうか。」

 「それだけなの?」

 「そうよ、細かく見るとまだあるけど、漠然ととらえるならそれだけでいい。これはまた別の時に」

 はぐらかされた。いきなり踏み込んだことをきいたからか。彼女はスタスタと歩き、追いつくように私も歩く。

 商店街のカフェによりお茶をする

 「どんな食べ物好きなの?」

「どんな食べ物ねぇ〜。煮込みかな」

悪魔とはいえ食べ物は食べるのか。しかも、煮こみ料理。意外さに笑い声がクスッと漏れる。

 「見た目も発言も人っぽい所あるじゃん」

「悪魔なんですけど、私…」

 机に肘を置き、手に顎を乗せて照れたのかほっぺを赤くしてそっぽ向いた。

 柚葉の見解は…まさか…?でも、まだわからない。

 「あんたはどうなのさ」

 「えっと…私は苦いチョコとか、渋いお茶とか…。それらのしみじみと時間差で感じる香りやほろ苦い味が好きだから…」

 突然ボールが打ち返されて咄嗟にでたのはよく食べているスイーツだった。アスカはそこに言葉を添えた。

 「里香はチョコやお茶に含まれる苦みを食べると口の中で止まらない苦みをおいしいと思ってことよね?」

私の言葉を言い直すように言語化してみせたアスカ。良かった、私の思いは悪魔にも伝わったみたい。

 「これが傾聴よ」

「え?どういうこと?」

意味がよくわからないような…わかるような…。

「今、アスカは聞く人としてはよくやっているようなことしただけじゃないの?」

 「たとえば?」

「人の話を最後まできく、相槌を打つ。人の話したことについて質問して中身を知ろうとして、私の気持ちを理解してくれた。」

さっきのアスカの行動をぶつけてみた。誰もがやりそうだけど…。

するとアスカは机に置いてくれていた水を一口運んだあと言葉を発した。

 「毎回できてるのよね?」

「 え、それは…」

「ほら、できてないじゃん」

 図星を突かれた私唇をへの字にした。

 「傾聴はムズい。でも、ゆっくりそれらを意識してやりな。飛行機を飛ばすにはパーツを磨かないと無理よ。」

 私は肩を落として俯いた。思い上がっている自分がいたたまれない。

 「誰にでも起こることよ、気にしないの。そんなことをしてるとこの机みたいに変身させるわよ。」

「やめてよ!」

 「ほら、元気じゃん。そのコーヒー飲みほしな、好きなものを粗末にすんなよ」

 くっ、まんまとはめられた。でも、なんだろう。今ので落ち込んでたのが吹き飛んだ気が…。

 アスカはクスッと笑う口を押さえるように隠す。私は残ったコーヒーを勢いよく飲みほしてカフェをあとにする。


 夕日は落ち始めていた。今は3時ぐらい、今日の内々なミッションはほんの少ししかできていない。

 あのあとアスカと話したのはまた傾聴の話。今度は非言語を観察してそれを言語化しなさいとアスカは話してた。そして、事実、感情、欲求、要求の順番でやれといった。

 だけど、それってどうやるのよ。私はその時首を傾げた。

 

 スーパーで買い物をしてる時にふいアスカが話しかけてきた。

 「たとえば、目の前にあんたの好きな、お茶のパックが売ってたとしよう。」

「てか、ここお茶コーナーの前だし」

さり気なく仕向けられた?…。アスカは話を続ける。

 「里香はこれを買える思いを感情でいう。あなたは今どんな思い?」

 「え?そりゃ嬉しいけど…」

 なんか、家電製品の説明書をなぞるように私はやらされている気が…。てか、自分で無機物扱いしてしまった!人を動けない認定しやがった美少女悪魔の癖が…。

 「そこで、欲求を伝える」

「欲求って言われてもどう言えばいいかわからないわ」

 欲求ってなんだろう。考えてみたがピンとこない

 「じゃ、ヒント。あなたはそれを飲んでどのようになりたいの?

「やすらぎたい」

「それでいい」

 随分あっさりに答えをめくってくれた。なんだかんだいって優しいかも…。

 「あれ?」

「私、お金チャージするの忘れたみたい」

 「じゃ、おろしに行ってからね。お茶を茶々と買えないぐらいお金を持ってないなんて、ちゃんとしてないわね」

 「"ちゃ"でまとめんな!いくよ」


 こうして私達は銀行にわざわざ行く羽目に。

 でも、この後に目を見張ることが起こるなんて…


  私は銀行からお金をおろして帰ろうとした時だった。

 入口の方からドタドタとした音が響く。

 ばぁん!

 「今すぐひれ伏せ!動くな!金を出せ!周りにいる連中は真ん中に集まれ!手を挙げろ!」

  銃声音?!黒尽くめの男5人が襲撃してきた。

 手に力が入らない、私は平静を保とうとする。

 私とその場にいたお客さん、従業員は指示に従う。アスカはというと…!?

 彼女も指示に従った。私は何かの見間違いではないかと疑った。それはなんといえばいいか…。

 いや、そんなことは今は後だ。

 強盗犯は真ん中に集めた銀行員の一人に金庫から金を出すように指示を出す。

 スマホは犯人たちに没収され、外をみるやつ1人、私達をみはるやつら2人、金を出すように指示したやつとそれを詰め込んでいる2人の3つのグループに分けられる。

 私達をみはるやつが金を詰めている従業員の方を向いたとたんアスカが顔を私の耳に近づけてきこえるかギリギリの声で囁く

 「黙れ、きけ。打開できる。今日のテストだ。相手、観察。相手感情みろ、要求きけ。合図おくる。それまで黙れ。話したら殺す。」

 一言一言が聞き取れたけど、できかな…。相変わらず怖いいい方だけど全部後回しだ。

 

 そういって彼女が口を開く

「あんた達の目的は?」

拳銃を持った大柄な男が反応する。周りに集目られた客や銀行員さん達はアスカの方をみていた

 「なんだてめぇ?そりゃ金だよ、そんなこともわかんないのか。全く俺よりもバカなんだろうな」

男は挑発めいた言葉をアスカに向けてはいた。その声から私は焦りと自信の感情があるように思えた。

「えぇあんたよりバカかもね〜w、紙にモテモテのあなたは神からはだいぶ嫌われてるのに気づけない哀れな人ねwww」

  アスカは不気味の笑い声が混じるようにいった。

 周りの空気がピリつく。それをきいた目の前の大柄らな男は怒り、アスカを壁にいくように指示した。

 張り裂けそうな心臓の鼓動、私は相手が悪魔とはいえ心配でしかない。壁に立たされたアスカは拳銃を向けられた。

 その鼓動がさらに速くなっていた。

 「言い残すことはないか?!ねぇーちゃんよ!」

 荒々しい声が響く。見張り役、周りの人々はアスカに視線が集中する

 その時だった、私の体を見渡すかのように視線を送った。アスカは拳銃を向けられながらいった


「あんたにいうことはないけど、最後にそこの青い服をきて青いズボンの女に言いたいんだけど」

私の名前を呼ばずに名指ししたアスカ。ぎょっとした。

 「かわいそうに道連れか?」

 「えぇ~、そうね。」

最低!裏切り者!やっぱ人でなしだったんだ!腹で煮えくりかえる思いが爆発しそうだ。殺してやりたい。周りにいた5人は私を嘲笑した。そいつらと一緒になって笑うアスカ。

 こんな時になにするの!。泣き出しそうな思いも交じり今日も脳内はめちゃくちゃ。後で平手打ち食らわしたい。

 その時だった

「そうね〜我慢の限界きたからもういいかしらそこの女。"速くたてよ、こいつのことを今すぐ蹴り飛ばして反撃したいから"」

 私は悟った。"合図がきた"!。

 渾身の力をもって素早く立ち上がり、アスカに拳銃を向ける男に全ての怒りをぶつけるように体当たりを食らわせる。

 「ぐはぁ!?」

 その男まえによろけ倒れた。私もその勢いでそいつとは別のところに体を打ち付けてしまった。

  周りの人は騒然とした!犯人たちも驚嘆を漏らす

 その瞬間目の前から殺気を感じる。

 ゴォん

 鈍い音が倒れた男から聞こえてくる。背中にパンチを食らわせたアスカ。

 彼女のガムテープで縛られていた手が解除されていた。いや正確には魔法でほどいたのか。

 「何しやがる!」

 私達を監視する男が声を上げる。

 バン

拳銃を発砲する音が聞こえ、体を起こして犯人たちがいる方向を見る。するとアスカが華麗に銃弾をよけ、そいつに殴りかかる。

 ビリ。

 私達の手に巻かれていたガムテープは全て解かれていた。同時にそいつは気絶した。

  「警察に連絡できる人はさっさとしろ!死にたくないなら、そこにいるやつらをこれで縛れ!」


 彼女からどこから取り出したのわからないロープを投げ渡された。

 リカ!と私の名前を呼び、「あんたもやれることやれ!金のバッグを集めるぐらいできるだろ!」

硬直してしまった体に電流が流れるようにハッとしてすぐに行動に出た。

 残りの1人が外に逃げようした時、何かかわからない紫の閃光が飛んでいくのが見えた。それが犯人にヒット。そいつは前にぶっ倒れて、気を失った。


 数分後、警察がきて全員逮捕。ひとなんさったので私は胸をなでおろした。負傷者0。

 

 向かう途中アスカと話をした

「ありがとう。助けてくれて」

「救助のうちにすらあんなの入らないわ」

 ツンデレなのか?ほっぺが赤い。

 「全員無事で良かった、悪魔なのに人、殺さなかったね。」

「無慈悲な殺人はしない主義なの、私」

 その言葉には温かいココアのような苦味と甘みがあるように思えた。

 「やっぱり"優しいね"アスカ。」

すると私の肩を軽く触り振り返ると

「私は悪魔だ忘れるな、この電信柱。」

 う…。

 家に帰ると、スピアが出迎えてくれた。

「遅かったな〜、どこをほっつき歩いていたのじゃ?w」

 「銀行強盗に巻き込まれたの」

すでに察しているような尋ね方にムットする。

 悪魔はこういう奴らばかりなのか

 アスカも家に上がり、夕飯の支度をし始めた。


 それにしてもわからない。なぜ、アスカはあそこで人じちを"全員"助けたのか…


 あの悪魔が…これだけが謎であった

 


第三話終



 

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