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悪魔に私の思いよ届け

 最悪な日から3日が立つ。あの日から悪魔との共同生活。身震いがするし、落ち着けないし。ちっとも休まらない。

 今日は学校が午前で終わる特別な日。柚葉と学校の中にある円形の椅子で待ち合わせ。

 今日の私は三つ編みヘアーで紺色の薄い上着をきて黒のシャツに膝まであるスカートをはいている。

 すると、後ろから足跡がするし聞き覚えあるキレイな美声が…。

 「今日はどうするのかしら、里香。」

 渋々後ろを振り返ると、黒に近い肩より少し長めな髪。全身黒一色の服に身を包み寒さすら感じさせない半袖短パンのアスカ。

 「よ!元気かのう」

 全身薄紫の服をきた中学1年か小6ぐらいの身長のスピア。髪は方までしかない

 かわいいしキレイな2人。てか、ここ学校なんだけど…。

 「あんたら、バレたら冗談じゃ済まないのだけど…。」

 「私達、あんたみたいにそんなへましないし。」

 「いざとなったら口封じじゃ」

  最悪の想定に入れてこの姿なのか。確かに見た目は普通の人間と大差がないし、街の人たちでも紛れたら、見分けはほぼ不可能といってもいいぐらいだ。

 とはいえ言う事殺ることは残虐を具現化したようなもの。

 「本題に戻すとして、何してんの?こんな所で」

 「今日は親友と待ち合わせしてるの。」

「それはこのイスじゃな?」

 「違います!人です」

 アスカが最初の話に話題を戻し今日の私の用事を伝えた。スピアはその用事を茶化す。超絶悪魔のジョークはなぜ鼻に付く言葉を毎回出せるんだ。

 「どんな人なの、名前は」

「いうわけないでしょ。なんであんたらに」

 むっつりした顔で2人の視線をそらした。悪魔は声のトーン一つ変えずに話し出す。

 「お前にそんな権限あるか、まぁ後で恥ずかしいことをさせるからいいけどな」

ほっぺを膨らませて私は振り向き直して2人を睨見つける。息を軽く吐いて頭をこすり話を切り出した。その恥ずかしいことは想像もしたくない。

 「美月柚葉。私の一番仲のいい友人。性格は人と関わることが好きで好奇心高めな人。

 私が幼稚園から中学まで一緒の女性。高校だけは違うけど、たまたま大学は一緒になったの」

 悪魔達はリラックスしながら私を見下ろして聞いていた。

 そこでアスカが考える仕草をしたあとにポロッと一言。

 「里香、無機物なあんたにも友人がいるなんて、その日は隕石どっかに落ちたのかしら」

 後ろの言葉が意味不明すぎてポカンと口を開けてしまった。サラリと聞き流してアスカは続ける。

 「そいつに私達の存在を知らせろ、それがあんたに与えるミッションだ。里香やれ」

変なことのあとにまた…。?え?ギクッとして硬直した。何をいっているのか一瞬飲み込めなかった

 「だから、その親友にアスカとスピアのことを正直に話せっていいたいの。今悪魔と誓いを結んでどんな気持ちなのか。私達のことをどう思うのかとか」

 「率直なこと言ったら私、あんたらに殺されない」

今にでも泣き出しそうな震える声、同じように体も震える。

 アスカはそこについて首を傾げる。私は青ざめる。スピアは頭の後ろで手を組んで考え中。

 「さぁ~どうしようかのう。気分次第じゃな、この要求を断ろうもんならこの建物ごと吹き飛ばしても構わないがどうするかのう」

 見た目中学か小6の子どもとは思えないスピアの内容に絶句。やはりやらない選択肢はなさそうだ。

  首を下に向け、手を膝に置いて俯いてしまった。黙りこくってしまった。すると、アスカが…

 「うわぁ!?」

彼女は私の前に回りこんで 姿勢を落とし、私の顔をしたから覗きこんだ。私の肩に左手添え、右手で私の顔を軽くあげて彼女は目を細めながら囁き始めた。

 「言ったはずだ、対価なしに手に入ると思うなこの泥棒が。お前はもう人としては生きられなくなるんだ、メソメソしてねーでやれ。」

 熱々の鉄板を押し付けられるような奈落の烙印を脳裏に刻むように言い放つ。

 「今日は、アサーションだ。それは人と話す場で相手を攻撃せずに思いを伝える方法だ。親友や人に感情を伝える時に使うんだ。」

 アスカは今日の課題の説明をし始める。

 「いいかな、やることはまず、伝える思いは断言しろ。感情も添えろ。事実に基づいて話せ。端的に言えばこれを今日は意識しろ」

  涙が頬をゆっくりつたう。

 ゆっくりアスカは立ち上がり、去り際にまた囁いた。

 「私達は影で見てるし尾行するから、やってみな。あんたならできるだろうからね」

 そう言い残し、アスカは物陰に隠れた。スピアもアスカの後を追う。

 「お〜い、里香〜お待たせ」

 校門の反対方向から明るく私を呼ぶ声がする。柚葉が駆け足で来る音がした。

 「あれ、涙でているけど何かあった」

 「小説読んでたら泣いちゃった」

 涙がでた時に使える嘘の決まり文句をいうように柚葉にいって誤魔化した。涙を拭いて私達は学校をでた。

  今日の予定は骨董品をみたり、絵の美術鑑賞と自然の中の散歩。見ることばかりで他人から面白いのと思われそうな内容だ。でも、これが私達の楽しい散歩。

 歴史や侘び寂びを堪能することが私達の共通言語化。

  「ねぇ、この有田焼の釉薬キレイだね。」

「そうね、滑らかな艶と光沢最高」

釉薬(ゆうやく)とは陶器などに使われるペンキのような液体のこと。土の器を一度焼いて形を決めてからこいつを塗る。塗ってからもう一度焼くと光沢や模様に変化して美しい器に変貌させる役割がある。

 それはいつもやり方や器を作る時に素材によって変化自在に変わる。

 それを見て興奮することが私達の至高なのだ。

 「里香〜わかる?この波打つ黒色の模様に金色が混ざる芸術性」

「そうね、この美しいウウェーブにシンクロするような釉薬は遺伝子の二重らせん構造を連想させるね」

 「これがわからない人は感性鈍いね」

「間違いないと思うわ」

 お互い興奮さめやらぬ、感情はお互いを刺激する。興奮スパイラル。

  熱い感情交換会を繰り広げていた。それを2時間も。そこを出る時に、柚葉が飲み物を買いたいといった。私は軽く返事をした。私はリュックから水筒を取り出して水を飲む。柚葉が戻って来る。あのことをいうならいまかな…。

「あの…さ…話があるんだ…けど」

「どうしたの?」

「 実は私…」

口が動かない…。話そうとすると手が身震いした。背筋に汗がじわっと出るのを感じる

 「うぅん、なんでもない」

 「?うん、」

 美術館ではまた熱い感情を話し合う。もう一度そこを出る時に悪魔との誓いの話をしたが、また言葉に詰まる。

 そこから少し、本屋によってお互いにどんな本が好きかを話し合った。正直、悪魔の存在を感じることはなかったけど、後ろをつける足音はきこえた。存在感を悟られないようにするのは得意なのかも。

もう一度出るタイミングで声をかけるも、さっきのリプレイになってしまった。柚葉に少し何か伝えたいことがあるけど、言い出せないでいることは伝わったらしいけど。

 もうすっかり夕日が沈みかけている。私達は近所にある自然の森を散歩していた。

  俯きながら歩く私に柚葉が言葉を投げかける

 「どうしたの?里香。今日変だよ」

言われても無理のない言葉。3度ミスミス言えないでいるのだから。

  すると前から見覚えの、ある2人が歩いてきた。

 「タイムオーバー、何してんの?3回ともいえないとはやっぱ里香は誰かにボタンを押してもらえないと動けない無機物ね」

 髪が肩より少し長めで身長175cmぐらい、服装は和服のような上半身に民族衣装みたいなロングスカートのアスカ。

  「本当に里香は臆病じゃな。まるで電気の刺激が怖くて動けなくなった実験室のネズミじゃ」

 罵りがいつもよりきついアスカとスピア。

  私は実験用のラットではないのに…。

 柚葉は手を震わせながら私のスカートの裾を掴む

 「誰?」

 「…悪魔…」

 「あ、く、ま…」

 ゆっくり、復唱する柚葉。いつ前に先回りしたんだ。こいつら。

 「殺してもいいかな、今からここで」

殺気立つ苛立ち、タイミングを計ろうとする。

 「まって!!今からいうわ!

「何今さら?私たちがいなきゃ行動できないの?この大きい石のように動けない女が」

  アスカの怒りの沸点がピークに達している。低く罵倒する声には今すぐやれと煽る雰囲気がムンムンと感じる

  怯える体に喝をいれるように私は深呼吸して堂々とした。

 私は柚葉の手を優しく右手を握って打ち明ける。

 「私、悪魔に誓いをかわしたの。悪魔の力を借りて、自分の性格を変えるために行動することを。だけど、不安でいっぱいなんだ。」

  私は淡々とゆっくり語りだした。柚葉は私の顔を見て真剣にきいている。悪魔は黙ってきいていた。

 「どうやらそれを叶えるための代償に人として生きられなくなるんだ。悪魔の話だと破滅だって。かな…しい…よね」

 声が震え始め、目からこらえてた涙がしたたかに流れてきた

「もし、柚葉が私が悪魔になっても親友でいてくれたら嬉しいな」

 柚葉も情が移ったのか泣き始め震えばせながらに言葉をいった

 「何いってんの、私は…柚葉は里香が悪魔になっても親友だもん!」

そういって彼女は私に抱きついた。私もそれを返すように体を抱いた。

  「いい話じゃな」

 「感心してる場合か」

 悪魔が小言を呟く声がするが私達は数分その愛おしい程の関係を分かち合うように抱き合っていた。

 少し落ち着いて、互いになみだを拭いた。これで大丈夫と思い、アスカの方を向いた。

 すると…

 「処刑ね」

 え?

 突然アスカの顔の前や後ろ、そして私達の後ろに紫に光る剣が無数に出現した

 周りを見渡すと剣に囲まれて逃げ場が淘汰された。

 「アスカ!?話が違うわ、打ち明けたら、殺さない約束でしょ!!?」

 脳は一瞬のうちに絶望に追い込まれた。私達は後退りするが、後ろに気を付けながらなので、1本しか逃げれてない。アスカは完全に本気で殺すつもりだ。人を人としてみないでみくだすライオンのような目。

 アスカが右手を振りかぶり

 「しね」

 次の瞬間浮かぶ剣は私達めがけて襲いかかる。

 「ギャァァァ!」

 私達は咄嗟にしゃがみ込む。頭を両手で守り胸を丸くさせると同時に目をつぶった。

 

 …


 目をそっと開けると刃は何本かは地面に突き刺さっていた。数本は直前で止まっていた。

 

 あたりは日が沈んで薄暗い神妙な世界が演出されていた。


 ぷっと前からこぼれる不敵な笑い

 「あぁ~面白い!最高に気分が高ぶるわ〜♪冗談なのに。最高のリアクションね」


 剣が地面に突き刺さった状態をみてゲラゲラわいだすアスカ。

 「しあげじゃな」ニタニタした顔でスピアは軽く言い放ち、指を鳴らす。

 放心状態の私達の周りにあった剣が光出す。

 きゃー!

 私達は目をつぶって光の爆発と閃光が飛び散る。

 それらが静かになるのを耳で確認して目をあけると…

?!

 辺りは一面幻想を通り越した芸術的な空間にはや変わりしてた

 見渡す限り、ホタルのような光が飛んでいる。地面は光の花が咲いていて、小学生が描いたような動物達が、その空間をまう。

 「うわぁ、キレイだね!」

「そうね、悪魔ってこんなサプライズするのね」

 もう意味がわからないし、カオスとはこのことだ

 アスカは腹を抱えて満面の笑みを爆発させていた

 「あ〜おっかしいの!今日のMVPだわ」

「なんじゃ、それ?暗号かのう?」

 訝しげに思うスピアの質問をガン無視して笑い続ける

 「最高すぎてドーパミンが止まらないわ」

 「アスカ〜会話になっておらんよ」

 悪魔の2人は楽しそうに会話をする。ゆずはは安堵の息を吐いて、私の体を擦りながら、ゆっくり言葉をはいた

 「ねぇ、大丈夫?落ち着いた?」

「う…うん…」

動揺が消えない。震えた声を私は漏らした。

 「ねぇ、周り凄いキレイになっているよ。芸術の結晶を表現してるみたい」

 「そう…ね…。本当に殺されるかと思った。…」

 速めにゆずはは感情が落ち着いたようだ。

 

 笑いまくったアスカは落ち着いたのか、私の視線まで膝を落として顎クイを私にしながらいった

「かわいすぎて惚れちゃいますw」

 私は心のどこかに置き去りにしていた感情を爆発させて言葉炸裂

「もう!!いきなり何すんのよ!!この変態悪魔!?」

「変態な悪魔で〜す。何か?w」

 彼女の小馬鹿にする態度はいっさい妥協がない。

 私は顔がもう泣きじゃくった子どものように、なっていると思いながらも言いたいことをいってスカッとした

 スピアが「わらわはどちらも同類の変態な悪魔とみなすけどな」と畳み掛ける

 「そこ!茶化さない!」声がアスカと同時にハモるように声をだした。

 ニヒヒ、左口角が上がりながらスピアは軽い笑い声をだす。

 その光景をみていたゆずはは突然「くふふふ」と笑いをこぼす。

 それに気づいたのか2人の悪魔は視線をそこに移して見つめていた。

  私も柚葉をみて何に笑っているのだろうと疑問に思った。

 「あっごめん、3人をみてたらお笑い芸人みたいな、劇をしてたから面白くて」

  私の前にいたアスカは体をゆずはの前に移動して、静寂を身に着けたかのように問いかける

「ねぇ、名前は?」

 「ゆずはです…」

 「ふ〜ん。あなたがゆずはね、私は悪魔のアスカ」

 静かに名前をいった。アスカは頷いて少し微笑んだ。

 すると、アスカは体を前のめりにして近づいて、彼女の体に触れるぐらいまで迫った。

 「えっちょっ…」

 困り顔のゆずはは後ろに両手をつき、上半身が斜めった。アスカはその表情を保ち、左手を彼女の背中に手を回して支える。

 ゆずはは戸惑いと照れくさい感情が、混じった表情をしている。

 私も何をする気なのかわからなずソワソワした。困惑に襲われる。


 一瞬の出来事だった

「ちゅ」

 アスカは彼女の左頬にキスをした

 ゆずはは顔が真っ赤にして羞恥心極まりない思いがやかんの土鍋の沸騰のように湧き出た。

 私は思わず声をあげた。

「な、なんの…つもりなの…?」

ゆずはは質問した

「軽い挨拶よ、それと私からの"プレゼント"」

 「ゆずはを悪魔にしないでよ!」

「悪魔になんかしないよ〜、悪魔と関われる証をつけただけだから」

 アスカはすっとたちながらいった。私は親友まで巻き込みたくない!そう強く思う。

 「悪魔からキスがもらえるとはあんたは幸運じゃな」

 スピアはからかいながらいう

「そう…なのかなw」

「間に受けてはだめよ!ゆずは!」

 ほんと神経がすり減りそうだわ…。隣で膝を落としていたゆずはが私の耳にボソボソという

 「ねぇ、この悪魔たち…"本当に悪い悪魔たちなの"?」

「…は?…う〜ん…。」

 「最悪の悪魔だ、お前らが考えるような天使じゃないぞ、勘違いしてるな?」

 低く轟く声が聞こえた、まるで殺意が感じられるような重い声

 

正面を向くと私達をみおろすスピア。恐怖を感じさせる威圧におののいて、数分前に落ち着いていなかった怖さが私たちに蘇った。


 「と、脅かしはこの辺にしといて、夕暮れだしそろそろ家に帰ろうかのう」

「そうね、もう夜になるわ」


気がつけば、日が落ちていた。空は紫がかった空模様になり、街の電灯がつき始めていた。


 「2人とも立てる?」アスカが優しく声をかける。

 誰のせいでこうなったんだ、元はあんたらがきっかけというのに…。

 「ほれ、たて。かわいい足が砂利まみれじゃなww」

 また、口角を上げながらニヤニヤという。すると悪魔の2人が悪魔らしからぬ行動を私達にした


 人外者たちは手を前に差し出した


 え?!。私は開いた口がふさがらなかった。

 ゆずはは顔色を変えずスピアが伸ばした手を取って立ち上がり、私はアスカの手を握り立ち上がった。

 なんなんだ、もう意味不明の連続に脳はショートしている。

 

 人間たちは異世界から召喚された怪物二人と共にそれぞれの自宅に帰還した

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