悪魔との出会い
これは内気な少女楓里香が悪魔と悪魔の誓いを結び人生を変えようとする物語である
枯れ葉が地面に散乱し、小さなつぼみが春に芽吹く寒い日。
大学に通う私は楓里香。今日は曇天の空模様だ。午後の講義の時間。私が受けているのは心理学の講義。
今日は互いに調べた心理学の研究を議論して進めていくスタイル。順番に調査内容を発表し合っていた。
「それでは美月柚葉さん、調べたことを教えてください。」
「はい、私が調べたのは自信の無さは本当に悪いのかという内容です。自信がある人とない人を比べた研究によると、どうやら生産性には、関係がないことを2008年の論文の執筆者ガブリエルエッティンゲン博士は結論付けました。」
ハキハキとした声で喋る方まで髪があり、冬にも関わらずスカートを履き上は半袖の女性は私の親友。人と関わることや発表などは積極的に行う柚葉。一方私は真逆。発表なんか嫌いだし、家にこもって本を読むことをこのうえない幸せと感じる。それこそ私のフィールドなのだ。
だが、この時がきてしまった。嘆きをこぼしたいぐらい嫌な時間が。
「完結に述べられていますね。次は楓さん」
この講義の会話をひっぱる学生リーダーが私に出番を渡す。
「はい…。えっと…。私が調べた研究は孤独についてです」
言葉につっかえながらゆっくり話す。だめ、声が震えた感じだ。
「2020年にイギリスでパンデミックが起きた時に住民の健康状態を調べな所、様々なメリットが見つかりました。」
声にはよどみだらけ。醜態晒し上げられてもう皆の目をみることができないや。その後も講義の中で話題には参加できず、話を振られても意見はあるのに話すことにビクついて、メモで伝える始末。
それでなんとかなっている。けど、私はそんな状態はなんとかしたいと思っている。でも、足が怖くて出せない。
今日の帰り道、柚葉と今日のことを話しながら歩いていた。
「里香、もう少し言葉だしてみない?例えば、5回さ話を振られた中で2回声出してみるとか。」
「人と話しても私なんかの意見なんか聞く耳持つ人いないよ」
「意見持っているんだから、あと一歩だよ」
柚葉は私が引っ込み思案で控えめな所をどうにか和らげであげたいとずっと思ってくれている。それに応えられていない私はとても気まずい。現実から目を背けたくなる。ハードモードになると薄々思っていながら。
「魔法か悪魔がいてくれたらなぁ〜。そうしたら、きっと里香は豹変すると思うのにな〜」
「いても、対して変わるかわからないでしょ?」
「もし、いたら私は願いたい、里香のダメダメな性格を根底から変えてくださいと」
柚葉は目を閉じて手を合わせて願う。
私も面白そうなので真似だけはしてみた。リュックサックの位置を整えて、ゆっくり息を吸って柚葉がいったセリフを少しアレンジして復唱する
「悪魔がいるのなら、私の変えたい性格を変える力を私に授けてください。悪魔がいるなら、変えられるものを見極める智慧、そして変えるための勇気を授けてください」
次の日の朝。学校は休み。ゆっくりできる。本が読み放題だ。ひゃっほ〜。ウキウキ上機嫌な私。天気も晴天、朝に紅茶、焙煎したコーヒーに、日本茶を飲み比べ。
心も体も激しく動くフラダンサーのように元気。
本を自分の部屋で読みふける。ちなみに私の家はマンションの5階。全部で7階建て。
マンションは小さいけど部屋がイケてるの。どの部屋も1本の廊下の奥にリビング、キッチン、ダイ二ングがある。和室まであるの。廊下にトイレ、風呂、もう一部屋があるのよね。風呂は丸くてしかも四人ならなんとか入れるとかまじで快適。
で、私はそのもう一部屋の部分は睡眠か本を読むスペース。着替えは和室の部屋に一つあるタンスと私の部屋にあるクローゼットぐらい。 そこで読んでいたら、インターホンがなる音がした。誰だろう。おそるおそるドアに向かう
インターホンのカメラからビデオ画面で外を確認すると…
えっと…。黒色の長い髪の女性と、子ども…で、いいのかな?角あるんだけど…。
凝視しながら画面越しで会話をしてみるか。
「あの、どちら様ですか」
「地球外生命体様です」
…………。ち、地球外生命体…か?。見た目は人だけど。とりあえず追い返すか。
「失礼ですけど、家でやることあるのでお引き取り願います。」
そういってビデオ越しの画面を切って書斎に戻ろうとした。その時だった。
カチャ
え
聴き間違いではないだろうか。今ドアのロックが外れる音がした。トラが敵を前にして毛が立つかのような震えが全身にはしる。
ドアはゆっくりあく。さっきいた2人が部屋に上がってきた
私は怖さのあまり動きができないし、それに歯がガタガタ震えだした。一体何なの、こいつら
「お前が楓里香か?」
「そうです」
慎重に答える。
黒髪の高身長な女性が名前をたづねる。その女性の服装は見たこともないような服を身にまとっていた。和服姿にどこかの民族衣装だろうか。そんなのが混ざった上下の服。上は着物のような服。でも腕の関節に当たるところだけ肌が見えている。下は民族衣装?みたいな感じ。
目が泳ぐ、とても速くこの場から消えたい思いが速まり出口の方ばかり見つめていた。
「何を探してるか知らんが、出口はないぞ小娘。」
そんな…。ドテ
怖さのあまり自由落下が起きて尻を床に打ってしまった。
「私は大悪魔アスカ」
「わらわは超絶悪魔スピアじゃ」
この場、から消えたい…。憂鬱な気分とおぞましさが体を縛り付ける。
「お前、昨日願ったよな?」
アスカが問い詰める。願い…?まさか、昨日願ったことがリアルになったってこと?!
「願ったけど…」
震えながら声をだす。涙がポロポロと、で始めた
「話にならんな、なぁスピアこんな女殺さないか?意気地無しで全然会話にならない」
「よせ、アスカ。こんなところでやったら迷惑じゃ」
私はすでに死んでいるようなものだ。制圧されているのだから
「お前の願いはそのだらしない臆病者で、控えめで自分の意見すらいえない性格を直したいのだろ?」
アスカという悪魔は私の体に馬乗りになってきた。そして床に壁ドンをするように睨見つける顔と体を近づける、 なんで私の願いを知っているんだ。
泣きべそをかいている私はゆっくり返事をした
「そうよ。私は内気で人と関わるのが苦手で自分の話すらまともにできやしない。意見あるのに発言すらできないよ。」
たどたどしい非力な声を悪魔にきこえるように伝える。
「変えようとはしなかったのか?」
「なんども変えようと思った。でも、行動ができなかった。怖かった。」
全て白状しよう。そう決めた
「人間なんてそんなもんだ。」
そういうと彼女は右手を空中にあげて、一瞬で紫色に光る小さな剣?のような道具を取り出してこういった。
「そんなんだから、変われないんだ。しね」
悪魔はその腕を上げられる限界まで振り被り、私めがけてその短剣が襲いかかる。
怖さのあまり目をつぶり、死んだことを覚悟した。
ピト
……?
あれ?ゆっくり目を開けると目の前の悪魔は人差し指で私の唇を左右に撫でながらいった。
「かわいいすぎて惚れる、願いは受け入れるけど…その前にそれに見合うかテストさせてね」
…テスト…?。
目の前にいる悪魔の右後ろにいる悪魔が、私に近づいてないようなを伝える
「街の人と誰でもいいから雑談してこい」
え?話をとにかくするの?誰とでも?
「やらないなら殺す。あと、あんたにとって大事な親友を人質になっているからな」
にくい、私の親友にまで手を出すのかこの底辺な悪魔が
「お前、底辺な悪魔とかいったろここの中で?心の中で思っていることなんかばれているからな。」
睨見つけながら低い声でいう馬乗り悪魔。
拒否権は0か。
「とりあえずコーヒーでも飲んだら、出かけるよ」
「いいぞ、そんぐらい待つぞ。おぬしも飲め、喉渇いたじゃろ」
どぎつい緩急に脳は混乱。馬乗り悪魔は私から離れて片付けづにキッチンに置いていたコーヒーメーカーを使い適当にコップを使って飲み始めた。私は体をゆっくり起こして席に座る。
まだ落ち着かない…。すると、キッチンにいた悪魔が私にコーヒーを渡す。コーヒーのコップのぬくもりに心が癒やされやっと心が落ち着いてきた。私はどうなるのだろう
商店街に足を運んだ私達。きたはいいけど、どんなことを会話にすればいいのかな…。
「まずはやってみろ、やり方の改善はそれからだ。」
「まぁみずぼらしい姿のあとじゃからな。いっぱい恥をさらしてこいよ」
よくいう悪魔たち。しかめ面を少し見せ、それを振り切るように切り替える。
「よしやってみるか」
最初に話しかけたのは私がよく行く本屋さんの定員さん
「いらっしゃい、楓さん」
「どうも、こんにちは。」
私はそれを少しいってから、他の定員にも挨拶だけしてみた。
それから店を出るとガっ。
体を路地裏に引き釣り込まれて、小さい悪魔が本物の壁ドンをして腕で私の体を強く押し付けて呟く。
「変える気あんの?」
「話の広げ方わからないんだもん」
「痛みなくして成長などないぞ、この無機物と同類の女が。お前の行動力はそこら辺の建物と変わらぬな」
無機物呼ばわりされるし、腹苦しいし。
「どうすればいいのよ。広げたい話とかないし。」
「もう少しやってみろ、それからだ。すぐに終わると思うなよ」
鋭い声に胸が張り裂けそうになる。
私は再び街の商店街に戻り、見知らぬ人に声をかけてみた。次は質問してみようかな…すらっとした体型の男性。髪が癖っ毛で2人の子どもを連れた人。
「あの、今時間ありますか?」
「あっはい」
明るく答えてくれる男性で良かった。何質問かな…あっそうだ趣味にしようかな
「あの、ご趣味は何ですか?」
「趣味ですか?AIで歌作ったり、子どもと遊んだりしますね。」
「あ、そうなんですか」
渇いた返答を返す。…これで大丈夫かな…
「ちちー、このお姉さん浮気相手?」
男性は顔を赤らめて一言いう
「違うよ、みさきちゃん。このお姉さん通りすがりの人だよ。ごめんなさいね」
「いえいえ」
子どものミサイル発言に私も目を丸くした。
「お姉さん、今何してるの?」
「お姉さんは今、人と、会話練習してるの」
「そうなんだ、頑張ってね」
子どもの励ましに元気が出るな。
あっと男性。
「もし良かったら、配信やっているので見てください、うげ」
こいつ、会話中にゲップとか。舐めてんの?動画の名刺をもらって私はそいつと別れた。
悪魔たちが影で見ているところまで戻って、感想を求めた。
「さっきよりはマシじゃな、行動力、壁女。」
「じゃぁ私が、見せてあげるか体に刻みな」
本当に悪魔にふさわしい態度すぎて苛立たしい。そういったアスカの服装が光出す。
?!
光が消えるとアスカの見た目がそのへんのJKみたいに…。それにしてもキレイなたたずまいに魅了されてしまった。
「キレイね、スタイル」
「当然よ、この美貌は私の特権みたいなものよ、壁女」
癇に障る人ね…。
「あのさ、私名前あるの!楓里香って、名前が!その呼び方やめてもらえる?!」
始めて悪魔に対してキレた。きょとんとした顔で2人は私をみる。
「もし私がもしあんたのテストパスしたら、名前で呼べよ!いいよな、それで?!」
「いいわよ」
「代わりにけなす時だけはそういう言い方を許す、交換条件じゃ」
あっさり受け入れてくれた。絶対こなしてやる。みてろ。ようやく手に力を入れて意気込んだ。
アスカが変装して商店街にでて話をする様子を観察する。
彼女曰くステップは3つある。
1つ目は話しやすい話題を選べとのこと。どんなに話をしても相手が入りにくい話はアウトらしい。
「やぁ、今日はいい天気ですねぇ〜」
「そうですね」
「健康で最近気をつけていることではまっているのはありますか?」
若い女性にやすやすと声をかけ順調に会話を進める
2つ目はその話題を掘り下げることだそうな。
「私はよく散歩しますね」
「散歩するんですね。気持ちいですよね。どんな場所を巡るようにしてますか」
「うーん、自然が多い場所かな?」
3つ目は相手の感情を言語化するんだって。
「自然の場所に行くとワクワクするのですか?」
「それもありますけど、気分がいいのですよ」
このステップを回す感じらしい。
最後はレパートリーを持っておけって。話題には定番ネタがあるようだ。
「どうよ?私のスケートボードのような滑らかな会話。」
「悔しいけど、うまいわね。」
認めざる得ない。敗北を突きつけられた感じ…。
肩をすくめて、手をもじもじさせながらいった。
「できるかな、」
「できるかではない、やるかどうかだよ。いいのか?親友が殺されようとも。」
うっ。やるしかない。
試しに私は街を歩いている人に声を掛けて試してみた。
今度は商店街を歩く女性の方に話をかけることにした
「今話す時間ありますか?」
「ええ、ありますけど、。」
「ありがとうございます。最近楽しいと思うことはありますか」
「はぁ、楽しいことですか、アニメをみて笑うことですかね…。」
なんか微妙な空気なんだけど、大丈夫かな。相手の表情が曇る、
「何ですかね、いきなり話良いですかとかないいっているんですか?」
「いや、そのなんといいますかインタビューしてみただけで…」
しらをきろうとしたけど…最悪の雰囲気だ。
その女性と話はそこで止まってしまい、ステップ1で躓く。
深呼吸してもう一度!
次は40歳ぐらいの男性に話しかけてみた。承諾を得て話スタート。
「どんな食べ物好きですか?」
「食べ物かい?嬢ちゃん。俺はイカの塩辛なんか好きだね。イカのコリッとした食感としょっぱさが止まらないんだ。嬢ちゃんは何が好きなんだい?」
「私は…豆腐であえた料理です」
すごくか細い声で答える。相手の勇ましさにビビって声がでない。悪い人ではないのだけど…。
「豆腐の和え物だって。それまたどうしてだい?」
「さっぱりした味と食材の風味が強く感じるからです」
ゆっくりと答えて会話は進んでいった。動作がぎこちないけど、やり切ろう。
「それを好きになったきっかけは何ですか?」
「あれはな、静岡で食った料理がうまかったんだ。あそこで食った塩辛が忘れられないんだ。」
「だから、楽しそうに語り、それが好きなのですね」
「嬢ちゃん、わかってるねぇ〜、楽しい会話ありがとうな」
え!始めて会話で褒められて一瞬キュンとした。
こんなこと始めて。照れるな。
私はこんな感じで悪魔たちからOKが、出るまで続けさせられた。
「ふぅ〜、今日はなんか一段と疲れたな」
「もう夕方の5時じゃな、ようやったな〜。初陣にしては高成長じゃな、アスカもそう思わんか」
「そうね、自力で動けない鞄にしてはよくやったわね」
家につき、一段落。机にうなだれる私を横に2人は褒め言葉をプレゼントしてくれた。極悪の悪魔たちも褒めることなんてあるんだ。それにしても、自力で動かせない鞄って…。
「よし、里香。あなたは私達と契約を結ぶに値すると判断できるだけのことをした。よって、誓いを交わしていいわよ」
私はうなだれる体をあげて、アスカをみる。どこか複雑だけど、感謝したい。
「ありがとう、よろしく。改めて私は楓里香」
「私は大悪魔のアスカ」
「わらわは超絶悪魔のスピアじゃよろしくな!」
アスカは冷たい声で答え、スピアは明るい声でニコニコしながら答える
ちょっぴり笑みがこぼれる。これで何かかわるなら…。その時だった。
シュヴァーン!
激しい光を私は体に浴びる。その閃光を浴びる直前に目をつぶってしまったので、一瞬何が起きたかわからない。
音と光が聞こえないことを耳で確認して、おそるおそる目を開ける。すると目の前にアスカが左手を前に突き出していた。彼女の手は開いていて、そこから、煙のような気体がでていた。
アスカは口を開く。
「今私達は悪魔の誓いを交わした。それは悪魔のような力を手にする代償にあなたの人生は人として悪魔として破滅する」
…え? 嘘よね…?。
人として終わりを迎える…?
「なんだ里香、まるで対価なしに利益を受けられると思ったような顔をしてるな。そんなわけないでしょ?うふふ、いい表情ね、いまはあなたを生かしてあげる。人として惨めに変貌するあなたが楽しみだわ。」
「そうじゃな」
超絶悪魔の囁きに打ち砕かれる心は消し炭になった。こうして私のカウントダウンと悪魔との日常が始まる
第一話終
これは心理学や科学的根拠を元にどうやって人生を変えられるかを描いた物語です。ここにでてくる主人公の悩みは皆さんが日常生活で抱えるかもしれない悩みを悪魔が差し出した科学の力を使い乗り越えようとします。
この小説は論文のデータを出すことに焦点を当てるのではなく、どのようにそのテクニックを使えばいいのかをストーリー仕立てにしてます。
皆様の人生がより良くなるための一助にしてくださることを願います