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貴賓の間につくと、決着がつこうとしていた。


両者共に負傷者がおり、何人も床でへばり呼吸を乱す者もいれば、大の字になり倒れている者もいた。

そんな中…金属音を響かせ、アドルフとニコラスが剣を交え睨み合ってるシーンを目撃する。


「はっ、意外とやるじゃねぇか、ニコラス」

「お前もな」


十字に剣を重ね、すぐ目の前には剣の刃がある状況で舌戦を繰り広げていく。

だが、両方とも顔には刀傷をつけ、血を流しつつだ。


「アドルフ!?」


すると両者共に部屋の奥から出てきた私へと目線を向けてくる。


「……フェリス。それに侍従も」


だが、そんな中でリスティアがいない事に気づいたニコラスが声を上げてきた。


「おいっ!フェリス!?リスティアはどうした!!?まさか殺したわけじゃないよな!!?」

「……」

「なに黙ってるんだ、お前はっ!?いいから答えろ!!!?」

「……知りたかったら自分で確認してくれば?」

「なんだと!!?」


ニコラスは交えていた剣をキンッと鳴らし弾くと、私の方へとやってきた。

しかし、そんなニコラスをほっとく訳もなくアドルフは軽く剣を横に振り、甲冑へと当てる。


「……おい、何処を見てる?お前の相手は俺だろうが」

「て、てめぇ」

「フェリスに手を出すつもりなら俺が許さん。そうしたいなら俺を殺してからにしろ」


剣をニコラスへと真っ直ぐ上げ、今すぐ止まるようにいってきた。


「……あぁ、わかったよ。その代わりお前が死んだらフェリスを好きにさせてもらうからなっ!?」

「出来るなら、な」

「くそがっ!!?」


怒りに任せて突っ込むニコラスだったが、その動きは大振りで、何回も剣を振るが、そのどれもアドルフに当たる事なく次第に息を切らしていく。


「お、おま、え」

「なんだ、終わりか?……まだ俺は死んでないぞ?」

「ふざけんなっ!!!?」


さらに攻撃をするが、やはり大味な攻撃しか出来ず、足元がよろけ、ついにはニコラスは床に転ぶと剣を手放した。


カラカラ……ッと転がる音を鳴らし剣が離れていく。


「ふっ、怒りに任せて攻撃すればそうなるだろうな」


アドルフは剣先をニコラスの顔へと近づけていく。

それはまるでさっき私がリスティアにした時と同じように…。

息を切らし、左手を体の後ろにつき見上げるニコラスは危機が迫っているのに目だけは死んでいなかった。


「アドルフ、離れて!?」


私の声に反応し、こちらを向いた瞬間、パンッと発砲音が部屋中に響いた。


ニコラスの右手にはさっきまでなかった銀色の銃が握られており、その銃口の先からは煙が立ち上がっていた。


「……ぐっ」


カランッとアドルフは右手に握っていた剣を落とすと右肩付近を押さえ始めた。


「お前……」


「は、ははっ、どうだ。とっておきは最後まで残しておくべきなんだよ!アドルフ。

大砲以外にもこんな物作らせて正解だったな」


ニコラスはゆっくりと床から立ち上がるとアドルフの額に向け銃口を合わせていった。


「大丈夫か、アドルフ!?」


キサラさんがすぐに近寄ろうとするが、ニコラスはすぐにその銃口をキサラさんへと向け変えた。


「……ちょうどいい、お前。アドルフの甲冑を外せ」

「何故?」

「何故??……当たり前だろ。頭だと避けられてしまうかもしれん。なら心臓に打ち込むまでだ。早くしろっ!?」

「やめてっ、ニコラス!?」


私の言葉を聞き、ちらりと見てきては笑い出す。


「ははははっ!?どうだ、フェリス、愛しのアドルフがもう少しで死んでしまうぞ??いいのか、そんな所に突っ立ってて」

「……どうして欲しいの?」

「なんだ、意外と物分かりがいいんだな。……リスティアはどうした??」

「……気を失ってる」

「そうか」

「私は答えた!あなたの要求はなんなの!?」


すると、ニコラスは近くに来ていたキサラさんをアドルフから離れるように命令した。

そして、代わりに私に甲冑を外す事を要求してきた。


「……なんで私なの?」


ニコラスはキサラさんの方を見てすぐに戻す。


「男だと何か企むかもしれんからな。だが、女の、……お前など何も脅威にならん。それだけだ」


私達が話す一瞬の隙を見てアドルフが、ニコラスへと迫った。

だが…。


パンッ


また発砲音を鳴らしていく。


「近寄るんじゃねぇ、アドルフ!?」


捕まえようとした右手の小指辺りに当たり、真っ赤な血がぽたりぽたりと床へ落ちていく。


「次、近づいたら……殺す」


ニコラスは一歩下がり、距離を取る。


「早くしろっ、フェリス。いいんだな、アドルフが死んでも!?」


「お嬢様……」


メリッサが私の腕を掴み、行くのを止めるが、私はその手をゆっくり下させていく。


「……ありがとう、でも、私はアドルフを助けなきゃ」


そして私は、アドルフの近くへと歩みだした。

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