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二人が出ていき、部屋の中はシーン…と静かになっていった。

でも私は体を縛られウォークインクローゼットから抜け出すことが出来ずにいた。

もがけばもがくほどギシッと音を鳴らし、腕や足に痛みが走る。


(落ちつくんだ、私…あんな事をするってことは時刻はかなり遅い。ここで無闇に動いて怪我をするより朝まで待とう。

大丈夫、侍従のメリッサは必ずこの部屋に来る。返事がない事を不審に思い、部屋に入る。その時、音を出そう。そうすれば絶対見つけてくれる。そう、あの子は絶対……)


とにかく今は朝を待つ。

そう決めた私は、夜が更けるのを待った。






「お嬢様っ」


(はっ、寝てた。……この声はメリッサ、良かった。これでなんとか……)


「あれ、お嬢様っ??……寝てるのかな?」


(早く開けて)


「珍しいわ、寝坊なんてしないのに……ごめんなさい。使わせて貰いますね」


(もし、病気に……って時のために合鍵を渡しておいて正解だったわ)


鍵穴に挿し込み、ガチャガチャと音を鳴らし扉を開ける音。

そしてガチャッと音を立てながらメリッサが中へと入ってきた。


「やっぱり、まだ寝てるんですね」


どうやらレスティアが偽装工作していったみたいだ。

扉からほど近くに設置され、私一人で寝るには大き過ぎるダブルベットへと向かっているようだ。


(今だ!)


ドンッ!!?


私は痛いのを我慢してダークブラウン色のクローゼットの扉に頭突きをして音を鳴らした。


「えっ!!?なになに??」


(怖がらないで、気付いて…)


「……ちょっと、誰?誰かいるの??」


(早く開けて)


足音がベットからそろりそろりとこちらへとやってくる。


「ねぇ……誰?いるなら声だして……」


(出せないのよ……メリッサ……)


「ねぇってば……」


トントン…ッと恐る恐るクローゼットの扉をノックしてくる。

大きな音はメリッサを怖がらさせてしまう。

いや、メリッサじゃなくても無理だ。

あんな音の出し方では皆、怖がるに決まってる。

だから私は、小さく頭をトントンとノックする様に返した。


「えぇっ??返ってきた……」


(早くして~…)


「あ、開けるわよ……」


カチャっとクローゼットの金色の取手を掴みゆっくり引いていくとその足元に蓑虫みたいに包まされた私が姿を現した。


「ヒャァァアァア!?」


(大声上げたいのは私よ、メリッサ……)


「ふぇ、フェリス様!!?なにされてるんですか??……えっ、じゃあ、あっちは誰??」


(いないから……誰も……)



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