第八話 英雄
皆さんこんにちは。ヤミです。本日は八話を投稿させていただきました。
《血人》の襲撃によりピンチに陥った星影たち、果たしてどうなってしまうのか?
ぜひお楽しみください。
「さあ、あなたのお仲間は皆やられました。しかし、まだ生きています。もし、あなたがこちらへ来てくださるのであれば、この方達は見過ごしましよう。これが最後の取引です。」
「わかった。あなたに従うよ。流石にこの人数を一人で相手は無理がありそうだからね。」
ジャックの提案を私は成す統べなく受け入れるしかなかった。この場で全員を氷付けにする事は出来た。しかし、氷から脱出されれば元も子もない。きっと仲間は皆殺しになるだろう。でもきっと彼らは私がいなくても奴等を倒してくれるだろう。私はそう言う確信があった。
「そうですか。それでは行きましょうか。」
ジャックが私の手首に手錠を掛ける。そしてその場から立ち去ろうとしたその時
「おい、そこのお前。そいつを離しな。」
ふと、すぐ後ろから野太い声が聞こえ、ジャックは素早く振り向き相手の首元に剣を突き付ける。否、剣を突き付けたのは相手の胸だった。
「随分とでかいのですね。どちら様でしょうか?」
「とぼけんじゃねぇ、元《邪神》のジャック・ザ・リッパー。忘れたとは言わせねぇぜ。くそジジイが。」
ジャックは目を大きく見開き
「あぁ、思い出しました。あなたは元《暁》のゴリラではありませんか。私に何のご用ですか?」
「さっき言ったろ?そいつを離しな。」
「素直に聞くと思いますか?」
「俺の前で素直に言うことを聞かないやつはどうなるかよく知ってるよな?」
「《血人》!こいつを今すぐ殺せ!」
ジャックは血走った目でゴリラを見つめ《血人》達に命令する。《血人》達は一斉にゴリラに襲い掛かる。しかし、ゴリラは片っ端から《血人》達を叩きのめしていく。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
胸部をぶち抜かれた《血人》達は次々と倒れて灰のように消えていく。
「まさか、的確にコアを破壊できるなんて…。やはり化け物ですね。彼は。」
私を連れ走りながらジャックはそう言うと、新たに五体の《血人》を生み出す。そして
「私に二人着いてきなさい。一人はアルセーヌを抱えて来なさい。他三人はゴリラの足止めを。」
すると、《血人》はアルセーヌを抱え、あと三体はゴリラの方へ向かっていった。
「チッ!ふざけやがって。オラァ!オラァ!オラァ!」
追加された三体もあっという間に跡形もなく消えていた。だがしかし、さっきまで走っていたジャックたちも足跡を残さずに消えていた。
「見失っちまったな。まったく、昔から厄介な野郎共だぜ。《プレデター》はよ。」
そう独り言を残し、ゴリラはこの場に残る《暁》メンバーを抱えて姿を消していった。
敵組織に連れ去られてしまったシエル。彼らは何の為にシエルを連れ去ったのか?そして突如現れた元《暁》のゴリラとは何者なのか?
次回第八話 《神影》