第七話 争いの結果
こんにちは。ヤミです。第六話に引き続き第七話を投稿させていただきました。
ここから《暁》がどう動き《プレデター》と戦っていくのか。
ぜひお楽しみください。
シエル達は、俺達が戦っている戦場に戻ってきた。
「リーダー、ご無事でしたか。」
クラウスの安堵した声に対しシエルは
「そういう君達は随分と怪我してるみたいだけど。」
「あの男、私の剣山を破ったか。なかなかに手強い相手ですね。」
「これで、九対二だけどまだやる?」
「ええ、勿論ですとも。あなたを連れ帰ることが、私達の使命ですからね。」
負傷の《怪盗》は不利な状況下でニヤリと笑みを浮かべていた。その時、《怪盗》は自分の懐から赤黒い石の様なものを幾つも取り出し、それを地に投げ捨てた。すると、その石がぐにゃぐにゃ粘土のように変化していき、焦げ茶色の人形へと変化していく。
「何だ、これは?」
「これはですね、私達のボスが自らの血液から作り出したモノです。名を《血人》と言います。」
「お前ら!あいつらを殺せ!」
《怪盗》の掛け声に反応した無数の《血人》達が一斉に襲い掛かってくる。皆自分の腕を剣に変形させている。
「みんな!やるよ!」
シエルの声に《暁》全員が武器を構え直す。《血人》の攻撃をリリィ、クラウス、神木が迎え撃つ。三人の背後から俺達は銃を発砲する。しかし、何度頭を撃ち抜いても体が再生していく。
「リーダー!駄目です!倒せません!」
スティカの声にシエルも渋い表情を浮かべている。それも当たり前だ。シエルは氷の礫をぶつけているのにそれでも死なないのだから。要するに、《血人》は不死身の怪物。
「リーダー!ここは私達に任せてください!リーダー達は《怪盗》と《殺し屋》を討ってください!」
リリィの言葉にシエルは頷き、俺達を連れて《怪盗》と《殺し屋》の元へ向かう。
「みんな!死なないでね!」
「「「了解!」」」
「おやおや、まさかあなたから私達の方へ出向いてくれて助かります。では、先程の続きといきましょうか!」
ジャックは手から長剣を二振り生成するとこちらへ駆け出してくる。シエルは氷の礫を幾つもジャックへ向けて放つ。
「俺もいるからな!」
シエルの背後、俺達に向かってアルセーヌが仕掛けてくる。
「みんなは下がっててくれ。助けが必要な時に声を掛ける。その時は頼む。」
そう言うと、トーマスは俺達の前に立ち、アルセーヌと向かい合う。そしてすぐに二人は激突する。アルセーヌが手を振り払う。トーマスはその掌に触れないようにアルセーヌの腕を払うと脇腹に蹴りを入れる。
「ぐはっ!」
トーマスは間髪入れずに拳を何度も叩き込んでいく。アルセーヌは立つことも儘ならないようにふらつき始めた。そこをトーマスは見逃さなかった。トーマスは回転しながら飛び上がり、アルセーヌの顔に空中で回し蹴りを入れる。
「かっ!」
アルセーヌは白目を剥きその場に崩れ落ちる。
「アルセーヌ!」
「余所見は禁止だよ!」
シエルは氷の礫を無数に撃ち込む。ジャックは剣でそれを切り落としていく。
「スティカ達、リーダーの援護を!」
トーマスが俺達に指示を出し、俺達三人は銃で、スティカはスナイパーライフルでジャックに発砲する。その時、ジャックは空へ飛び上がり、銃弾と氷の礫をかわし、ポケットから赤黒い石、いや、血の塊を取り出し、それを回りに撒く。ジャックの回りにはあの不死身の怪物達がうじゃうじゃと群れている。
「《血人》達よ!彼らを叩き潰しなさい!」
《血人》達はジャックの号令を聞き入れるとすぐさま腕を剣に変形させ攻撃を仕掛けてくる。どれだけ銃弾を撃ち込んでも倒れることのない不死身の兵士達はただただ前進を続けてくる。遂には弾切れになり成す統べなくそこから逃げることしか出来なかった。いつの間にか逃げ行く方からも《血人》が攻めてくる。何故こちら側に《血人》がいるのか?簡単な話だ。クラウス達が破れたのだ。そして俺達も挟み撃ちに合いそこからの記憶が途切れた。
第七話いかがだったでしょうか。
《血人》の襲撃を受け、星影たちはどうなってしまうのか。そしてシエルは今無事でいるのか。
次回第八話 英雄