表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

二次創作集

プチプチ♡

作者: 歌川 詩季

プチプチ! 3333【WEB】

検索用Nコード:N8113IL

作者:雨澤穀稼 先生

の二次創作です。

 作者の雨澤穀稼 先生より許可をいただいております。



 私もやります。

 それは、年に多くて数回。

 ででんっ。と我が家にやってくる。


 たいていは、お盆やお正月に遊びに来た、ママの弟であるタカシおじさんの手土産。

 こっそり渡してくれるお小遣いのありがたさもあって。おじさんのことも、わたしには大事なイベントなんだけど。


 ここでわたしが「やってくる」のを心待ちにしてたのは、タカシおじさん本人よりも、その手土産のほう。


 まるや四角のかたちをした平たい缶。

 平たいくせに、意外と厚みはあって、なかは二段になっていることも知ってる。


 ふたのふちにぐるりと巻きついたテープを、ひっぱりながらはがしてゆく。ぱかっとあければ「それ」がずらりとならんでいる光景に、わたしは目を輝かせることになるんだ。


 あ、ちがうよ。クッキーのことじゃない。

 それはこのシートのした。

 クッキーはもちろん好きだけど。わたしがおめあてにしてるのは、そのシートじたいなんだ。


 ずらりと気包をならべた、ビニールのシート。

 わたしは、それを手にとると、はしっこから順番に「プチ」ってするの。


 気まぐれにまんなかあたりから、何ヶ所か「プチ」ってしたくなるときもあるけど、そんなのはマナー違反。とんだ不作法だ。プチプチ淑女の風上にもおけない。

 手あたりしだいに「プチ」ってして。気が済んだら、まだ、はしっこに気包を残したままのシートを、ゴミ箱行きにしちゃう。そんなひとも、たまに見るけど。そのうち、ばちがあたるぞって思うんだよね。


 だから、あたしはきょうも。

 ちゃんとはしっこから、プチそこねがないように、順番に「プチ」ってするんだ。


 うまく「プチ」ってできずに、「ふにゃ……」って空気が抜けちゃうときもあるけど、あれは悔しい!

 今回はそんなことがないように、気合をいれて「プチ」ってしなきゃ。


 プチ! プチ! プチ!


 プチプチプチ!


 はあぁ……癒やされるぅ♡


 もはや、わたしはプチプチ淑女どころか、プチプチ中毒患者だ。


 もし、わたしの命を狙う暗殺者が、このプチプチのひとつに毒ガスを仕込んでいたら。わたしはまんまとその罠にはまって、命を落としていたことだろう。


「あんた、それまたやってんの?」


 プチプチしてるわたしの横から、にゅっとのばされたのはお姉ちゃんの手だった。

 まんなかに赤いチェリーの砂糖漬けがのってるやつを、彼女はいちまい、ひょいパクする。


「いや、まともな殺し屋なら、そんなとこにガスしこむより、クッキーのほうに毒をいれるでしょ?

 まあ、そしたら。死んじゃうのは、あんたより、あたしのほうみたいだけどね」


 からから笑いながら。お姉ちゃんは、こんどは裏にホワイトチョコの()られた、薄いいちまいを口に運んだ。


 ちょっとまってよ。

 お姉ちゃんてば、さっきからわたしの好きなやつばっかり、食べてるじゃない。

 いくら二段になってるとはいえ。このまま、お姉ちゃんに食い荒らされるのを、指をくわえて見ててたまるか!


 わたしは、気包のはんぶんほど残ったシートを名残惜しくも手ばなすと。「プチ」ってしちゃ、だめだからねと、お姉ちゃんに念を押してから。ふたりぶんのミルクティーを淹れに、台所へとむかった。

「プチ」ってするのは癒されるけど。クッキーと、砂糖を入れないミルクティーのひとときだって、もちろん(のが)すわけにはいかない。


 だいじょうぶ。

 クッキーに夢中なお姉ちゃんは、気包のならんだシートになんて気にする余裕なんかないから。

 ほら。ミルクティーまだなの、なんて、わたしに催促してくるしまつ。


 もうちょっとだから、せかさないでってば。

 それより、わたしのぶんまで食べたら、しょうちしないからね。


 カップをあたためるのも億劫(おっくう)に。ポットからティーバッグで淹れた紅茶に、冷めないくらいの牛乳を注いだだけだけど。

 わたしたち姉妹のティータイムにはこれでじゅうぶん。

 タカシおじさんにありがとうしながら、ひたすらクッキーをかじるんだ。

 これもまた、癒しのひととき。

 ミルクティーのおかわりを飲み干すころには、ふたりとも満足しきっていることだろう。



 だからプチプチも、きょうのぶんはもうおしまい。

 

 残りはあしたに、とっとこっと。

 ついつい二段めまで!



※ 下↓にリンクがあります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【こちらの作品の二次創作です】
プチプチ! 3333【WEB】
作者: 雨澤穀稼 先生
― 新着の感想 ―
[良い点] 空気が破裂する音が気持ちいい
[良い点]  わかります。端からきれいにぺちゃんこになっていくのもいいのですよね。「これだけやった!」って。 [一言]  端から丁寧にやっていくのですが。  大抵途中で飽きて、残りは一気に捻ります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ