雨と晴れと君と俺と
俺たちは公園の四阿から雨上がりの虹を見ていた。
先程までの雨が嘘の様に晴れ、上がった気温と湿度がまさにこの季節と言った状況を醸し出していた。
「本当に晴れたわね」
「本当に晴れましたね」
「半信。いいえ、四信くらいだったのだけれど」
「俺だってそうですよ」
俺たちが休日をわざわざ使って検証していたのは最近使われはじめている雨雲予測情報と言うやつだ。
今日はこの時間から晴れる。
その情報を元にこの四阿で色々とつまみながら近況報告をしていたわけだ。
「しかし、ぴたりと晴れましたね」
「まさかこんなに晴れるなんて。技術の進歩はすごいわね」
「あ、あと2時間くらいしたらまた降ってきますよ」
「本当? なら早く片付けて帰らないといけないわね」
元々晴れたら帰る予定だったのでお互いに持ってきたものを手早く詰めて四阿をあとにした。次に会うのはいつにしようかと話しながら。
次の日からはずっと雨だった。
会えない日々が続いていた。
陰鬱な雲と鬱陶しい雨。
来る日も来る日も代わり映えのしない仕事。
俺も彼女も忙しく連絡さえまともに取れなかった。
予定が合いそうになれば大雨。忙しければ晴れるという始末。
もうそろそろ月が変わってしまうと言う日に彼女から連絡が入った。
あの喫茶店で会いましょう、待っています、と。