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自分が嫌いすぎる彼女  作者: abaudo:アバウド
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abaudo;アバウド


僕は一般的だ。

特に何か凄い事を成し遂げているとか、秘められた力があるとか、そんなことは一切ない。

じゃあ、僕は何か。

否、何でもない。

何かの物語に出てくるとしたら、モブ以外の何物でもない。

そもそも重要な人物ではない。

そんな僕だが、ただの人間であるだけであって、腹は減るし、トイレも行くし、恋もする。

そう、僕は恋をしている。

相手は、言うなればヒロイン、物語の重要人物、もしくは主人公、そんな人間に恋をしてしまっている。

その人は、華やかな純粋の銀髪が蜂を誘い、何もかも見透かしているような目はその蜂を撃退し、プルッとピンク色の唇は時折ため息をつくたびに震える。

鼻筋は綺麗に整い美人とはこのことを言うのだろう。

彼女が運動している姿は全く言っていいほど見たことはないが、全体的に引き締まっていて今まで見てきた中で、恐らくこの人より綺麗な人は出会わないだろう。

だから僕は、この人を、志宮雫しみやしずくを密かに懸想しているのだ。

叶いはしない恋だが、彼女がいることだけで僕は幸せになれた。

友達はいらない、彼女もいらない。

僕は筋金入りのボッチなのだ。


ある日、僕は神社に来ていた。

家柄が神職であって、神様と縁のあると、伝えられてきたからよく神社にはくるのだ。

一人で神社に来て、一時間ばかり座禅をして帰る。

ただ、それだけをするのだ。

意味あるのかと聞かれると、何も答えられない。

意味はあるのかは、自分でもわからないからだ。

と、もう神社に着いた。

僕の動きがピクリと止まる。

誰かいるな。

こんな古びた神社に...

賽銭箱の前に女の人がいる。

誰かは、すぐに察した。

何故ここに志宮さんがいるのだろうか。

しかも泣いている。

ここで話しかけたら、いつもようにその見透かした目で、関係ないという目をされるのだろうか。

気になりはするが、僕に勇気はない。

なぜなら僕は、モブだから。

と言っても、帰るわけにもいかない。

一週間に一回すると、これは決めたことだから。

僕は彼女を見ないように、神社の奥へ行こうとする。

一応管理者ではあるから、中へ入っていく事が出来るのだ。

「ねぇ、白阿嬉雷君...」

話しかけてきた!?

「どうしたん...だい?」

普段誰が話しかけても誰も相手にせず、その目で睥睨し追い払うのにも関わらず、何故僕なんかに話しかけるのだろうか。

「君はどうしてここに来るのかな?」

ここに来る理由?

「それは、使命であるから...なのだと思う」

「本当に?」

いつものあの目ではなく、悲しそうで、酷く疲れていて、寂しそうに見える。

「志宮さんは何故ここに?」

「思い出の場所なの」

少し食い気味に話した。

そこにある心は懐かしさを感じさせ、同時に惨たらしいまなざしが一直線に何処かを突き刺す。

彼女は遠く、何処か海の向こうを見ている。

そう感じたのだ。

「ねぇ、白阿君、いや、嬉雷君...あなたには私がどう見えているの?」

「わかりにくいかもだけど、酷く美しくて、寂しくて、身体はここにあるのに、心は何処か遠くにある。悲しい魔女のような人かな...」

てんぱっているのか、変なことを言った。

「そう、明日もここに来るわ。出来ればあなたも来て」

彼女の心が少し動いたように感じた。

彼女は少し笑ったのだ。

「わかった」

普通は嬉しいはずなのに、何故か嬉しくない。

また心に穴が開いたように、彼女は寂しさをまとっている。

何だろう、何かしなくてはならない気がするのに、何をしなくてはいけないのかわからない。

今までも思っていたが、やはり彼女は...

........氷のように冷たい。


それからというもの、僕は毎日のように神社に通う。

神社で会う彼女は、いつも何か寂しそうで、遠くを見続けていた。

でも彼女は、いつも一つ質問をしてくる。

君は、どうして悲しい顔をするの?

それは、君が寂しそうにするから。

君は、どうしてここに来てくれるの?

それは、君を一人にしたら何をしでかすかわからないから。

いつも違う質問をされ、その質問に答えると決まってこう言う。

「そう、明日もここにくるわ。出来ればあなたも来て」

次第に、この神社だけでなく、学校内でも接触が増えた。

「ねぇ、嬉雷君。そろそろ物理の授業よ、一緒に行きましょう」

学校の時に笑みは見せないが、モブである僕も自分の自信を持ってきたのか、主人公を夢見ることが増えた。

勿論、僕が主人公になることは許されない。

「おい白阿~...あの志宮のお気に入りだからって、調子乗ってんじゃねーぞ」

僕に嫉妬する人間は多い。

何しろあの志宮さんに話すことが許されているのは、僕ぐらいだから。

「先輩...最近よく怪我しますね」

「ああ」

この子は、俺の一つ下の後輩で保険委員の姪夜季彩めいやきいろだ。

姪夜は、怪我をした所に消毒液を塗った。

割と長く青い髪が顔のすらすら側面を覆う。

しかし、片耳は髪の間から出て、ぱっちりした目がチャームポイントの、THE・女子高生だ。

何故、僕にここまで親しくしてくれるのか?

優しくしてくれる限り、僕も無下に扱う事は出来ない。

「ありがとうな」

「お礼なんていいですよ...私は先輩のこと...ふふっ」

そこから先はいつも言わない。

そして嬉しそうに僕を見て、笑顔で僕の頬を両手で固定する。

「嬉雷君いる?」

タイミングの悪い時に志宮さんが入ってきた。

「あら、お取込みの途中のようね」

「違う、これは誤解だ」

志宮さん目が、他の男子に向ける怪訝の目に変貌した。

「何が違うの?」

「あの、すみません...先輩の目のしたに隈があったもので...」

申し訳なさそうな顔で頭を下げる。

「別に頭を下げるようなことじゃないし、頭をあげろ」

「はい」

志宮さんは納得したようにため息を一回着くと、僕の手を掴んで保健室を出た。

「ちょ、志宮さん」

「その志宮さんっていうのやめてほしいんだけど?」

「それはどういう?」

首を傾げて聞いた。

志宮さんは目線をずらしてまたため息をつく。

「だからその、さん付けをやめてといっているの」

握っている僕の手に力を加える、これから察して苛立ちの様子が見えた。

「怒ってる?」

「怒ってない」

珍しい。

いつもと違う表情をしているのだ。

それに、志宮さんが頬を赤らめている。

胸の奥深くから、ドクンと強い鼓動が連続として放たれた。

身体じゅうが熱くなっている。

「と、とにかく私の事は志宮...か、“雫”って呼んでくれないかしら」

「わかった、それじゃあ、志宮って呼ばせてもらうよ」

こういったのもつかの間、志宮はまだ納得してない様子で視線をずらし、教室へと向かった。

そして、その日が訪れようとしていた。


俺たち出会って一か月が過ぎた。

神社で志宮は僕にこう告げた。

「私、もう会えないかも知れないわ」

いつものような遠くを見た眼差しでは無く、今は自分や僕のいるこの神社を、ずっとずっと優しい目で見ている。

僕はそれを見て、美しさと切なさを感じた。

その姿はまるで、白狐のように細くいたのだ。

「それは、どうしてか聞いていい?」

「それは...」

...だめなのだろう。

彼女がそんな目をするのだ。

僕が主人公だったら、世界は違った。

だから僕は、友達も彼女もいらないんだ。

そして、彼女は何も言う事はなかった。

次の日、志宮は学校を休んだ。

家の用事らしい。

勿論、神社にも来なかった。

その次の日も、また次の日も、更に次の日も...

もう会うことはないのだろう。

そう思った矢先、神社の賽銭箱の横にノートが落ちてあった。

見てはいけないとわかっているのにも関わらず、どうしても見ないと気のすまない自分がいる。

僕はノートを手に取り、とうとう中身を見てしまった。


6月5日。

今日私は初めて友達が出来た。

名前は白阿嬉雷君。

彼が、私の楽園に来た。

お父さんが昔、こう言ったのを思い出した。

「いつか君がここの人と繋がれるといいね」

言った意味はわからない。

でも、彼がここの人なのだとすれば、あの言葉の

意味も分かるかもしれない。


6月9日。

今日も彼は来てくれた。

何故彼は悲しい顔をするのか、

それは、君が寂しそうにするかららしい。

なんか面白い。

彼といると、昔のお父さんといるような気になる。

思い出すと寂しいけど、きっとこの海の向こうで

お父さんは生きている。

絶対に...


6月14日。

勇気を振り絞って、彼に学校で話しかけてみた。

彼は優しく会話をしてくれた。

こんな私でも、素敵な彼が反応してくれるのはと

ても嬉しい、でも、もうすぐ近い...

私は破滅する。


6月15日。

彼が他の女子と楽しそうに話していた。

なんでだろう。

いつも優しくて貰っている彼に嫉妬してしまっている。

彼には本当に申し訳ない。

謝ることも出来ない。

私はただ、普通に暮らしたかっただけなのに。

もがいても仕方がない。

私は脇役なのだから。


6月20日。

彼が愛おしい。

自分が嫌い。

世界なんて壊れてしまえ。

彼もお父さんもいない世界。

考えるだけで、吐き気がする。

彼ら二人には大事なものをもらった。

だから、二人には生きていてほしい。


6月28日。

私がおかしくなったのはあいつらのせいだ。

もう嫌だ。

寂しい、お父さん...

会いたい、嬉雷君...

帰りたい...

帰りたい...


そこでページが破られていた。

そこからページをパラパラとめくったが、何も書かれていない。

志宮が遠くを見ていたのは、志宮のお父さんをみていたのか?

それに、彼女は自分の事を脇役だと書いている。

僕が想っている彼女とは何なんだ。

破滅とはなんだ。

帰りたいとは。

いや、この文章の流れ的に...わかっている。

僕は、、、認めたくないだけだ。

だが、「いつか君がここの人と繋がれるといいね」これの意味はからっきしわからない。

分からないことも多いが、これで彼女が僕の事を想ってくれている事がわかった。

僕は神社を降りて、志宮の痕跡を探す。

彼女がやろうとしていることは分かっている。

早く見つけないと、危ないかも知れない。

自分の中の優先順位は、まずは先に彼女の事だけになった。


「と言っても、何も痕跡など存在しないよなぁ」

よく考えたら当たり前だ。

いてもたっても居られなくて、ただ迷走したが、

何もないんじゃどうしようもない。

いや、待てよ。

志宮の父さんは僕の両親を知っていたかもしれない。

でないと、ここの人と繋がれるといいねなんて言葉に出てこないだろう。

つまり逆に考えると、僕の両親も志宮を知っているという事でもあるわけだ。

確率は高くはないだろうけど、聞く必要は大いにあると思う。

僕はそう遠くない自宅に向かった。

自宅に着くころには空は紅く染まり、日は頭だけ見せている状態だ。

もう、親父は家に入っている様でお袋は飯の支度をしていた。

「親父!」

「なんだ?」

畳の上でうとうとしながら話を聞く。

「志宮って人知っているか?」

「知っているも何も、お前も何度もお世話になっただろう」

「お世話?」

親父は話し始めた。

「お前覚えていないのか?」

「覚えてない」

親父はため息と

「お前...いつもあの豪邸行きたいって言って、子供の頃よく一緒に行ったじゃないか」

「ふぅん...でも何で親父と志宮さんは知り合いなんだ?」

親父は畳で座りなおして話し始めた。


20年前、この地域一帯を焦がした、大火災があった。

当時、投資家だった志宮の父と親父は仲が悪く、目があえば口喧嘩をするような仲だったという。

元々橇の合わない二人だったため会ってはにらみ合いの日々だった。

だが、大火災の日、何千もの命が犠牲になった。

運よく生きていた俺の親父は、近くにいた志宮・父を助けたことで恩人となったのだ。

それから二人は親友となり、共に世界を旅したのだという。

そして10年前、志宮・父は飛行機事故に巻き込まれ、死んだと伝えられたそうだ。

志宮雫母と母の再婚相手と暮らし、今に至るのだ。

「じゃあ、親父は志宮の家はしっているのか?」

「あぁ、昔よくあの豪邸に行ったもんだ」

親父は志宮の家を教えてくれた。

割と近くにあり、僕の記憶の深くがえぐられる。

確かに何度か........

「嬉雷君?」

「志宮...」

「どうしてここに...!」

僕は志宮に抱き着いた、そして涙を流す。

「どうして言ってくれなかったんだ...」

「え...なに!?」

彼女は嬉しくも苦しそうに僕を突き放した。

そうだ、僕は浮かれている。

あのノートを見たのも、ここに勝手に来たのも、

全て僕が浮かれていたから。

主人公になれない僕が。

結果彼女が傷つくなんて思ってもいなかった、

まだ...この時は。


「おい!」

「痛っ!」

母の再婚相手は最低だった。

酒乱、暴言、暴力は当たり前。

挙句の果てには他の女まで作っている。

「あなたなんか...産まなきゃよかった!」

母も私を殴る。

普段のストレスを私にぶつけるようになったのだ。

私に居場所はない、彼は私を魔女と呼んだ。

なれるなら魔女にでもなりたい。

そしてパパを見つけて、昔を取り戻す。

そんな非日常を考え、彼に逃げ、自分を忘れる。

でも、そろそろ限界だ。

彼には、あの子がいる。

今更私が彼のそばにいることなんて出来はしない。

もう、終わりにしたい、何もかも。

終わってほしい。

そんな時、彼が家に来ていた。

「嬉雷君?」

「志宮!」

彼は私を優しく、強く私を抱きしめた。

「え...なに!?」

初めて心が通った気がして、嬉しさを微かに感じる。

でも...

私は彼を突き放し、家の中に逃げる様に入っていく。

このままだと、彼を傷つけるだけ。

これが引き金となり、私を膨張させる。

終わらすなら、自らの手で...


とうとう声すらかけられなくなった。

志宮は、あの日から一旦学校には来るものの、全く話さない。

なんなら目すら合わさないほどに関係がこじれた。

周りも、もう落ち着いている。

僕たちの様子から皆、察しているのだと思う。

僕も、志宮も、ここには居場所がない。

隣の席なのに、酷く遠く感じる。

まるで未知で、宇宙のようだ。

前までこの関係だってもなんともなかったのに、むしろ心地よかったはずなのに、今は感覚すらなく感じる。

横から手紙が渡された。

志宮から手紙!?

僕はその手紙をいち早く受け取り、目を見開いて文を読む。

「白阿くんへ、

あなたといられて本当に良かった。最後にあなたに届けたい。

そして、私の事は忘れないでほしい。時折あなたは私を思い出

し悲しむかもしれない、でもそれは、私にとって嬉しい限りな

んだ。今までありがとう、最後に私はこの教室を放課後に使う

けど、その時は来ないでほしい........志宮雫より」

手紙には綺麗な文字と絵で敷き詰められている。

声が出そうになるが、喉が詰まって何も言えなくなる。

声が出そうになるが、喉が詰まって何も言えない。

彼女の考えていることが自然にわかるような気がして、不意に涙が出そうになる。

志宮は今にも泣きそうな顔をして、僕の顔を見ないように机にうつ伏せた。

胸が締め付けられるというより、刺されたような痛みが広がる。

この痛みは大事にしなければならないと思う。

理由はわからないけど、彼女を想う気持ちは捨てられない。

そう思うんだ。

最初は報われない恋だと思って、想うだけで満足していた自分が嘘のように変わった。

今は彼女と繋がらなければ気が済まない。

これが神様の試練だとするならば、喜んで受けよう、僕は彼女を助ける。

そうして、決断した時から妙に右肩が重たい。

そのうえ、身体全体が何かに憑りつかれたかのようにだるい。

放課後になって、やっとの思いで教室に入った。

「来たのね、嬉雷君...」

窓の反射で俺を見ながら言った。

僕もその反射を使って、志宮の顔を見た。

すると志宮は窓から視線を外し、目を閉じる。

「あなたが来なければ、安心できたのに...」

僕の目を見ては、数回ため息をつく。

「僕は君を一人にすると安心できない」

「ふふっ、もう察しているのね」

あぁ、察しているさ。

「なら、なんであなたは私にそんあ優しくするの?」

「君が寂しそうにするからだよ」

前と同じ質問を繰り返す。

彼女は少し笑って、何かを決めたかの様に深呼吸をした。

「あなたには、わたしがどう見えているの?」

その質問か、前は魔女と言ったっけ?

「狐だ。女に化けた白狐...」

志宮は驚倒した様子でこちらを見ている。

だが、直ぐにたおやかな笑みを浮かべ、窓に近づく。

「ねぇ、嬉雷君、私、あなたの事結構好きみたい」

「そうか、俺もだ」

時折、悪魔みたいな表情をして、それが頭に焼き付いて離れない。

「私...もう、終わりにしたいわ」

「...」

何も言わず、ただ様子を見ている。

「だから!」

彼女は思いっきり窓を開け、飛び出して重力に身を委ねる。

僕は志宮の手を持って支えた。

「馬鹿!これじゃああなたも落ちるわよ!」

志宮はじたばたと暴れた。

それでも俺は諦めない。

「絶対に助ける、あのノートを見てから決めたんだ」

「ノート?」

狂気的な目を俺に向ける。

「見たのね?」

次の瞬間、急に動かなくなった。

僕はその隙に窓から床へと上げた。

しかし、それから何も話さないし動かない。

「志宮...」

「私がなんで質問を巻き戻して聞いたかわかる?」

急に話始めたと思ったら...

「それはね、あなたとの関係を最初に戻したかったから、そしたら私もあなたもただの他人。あなたも私が好きではない」

「何を言っているんだ?僕はそれよりずっと前から志宮の事が好きだったぞ?」

志宮は目を見開いて僕を見つめる。

「なん...で?」

「なぁ、志宮。お前が終わらせたい理由はなんだ?」

志宮はえっと...と少し黙り込んで頬を赤らめた。

「私が7歳の時、お父さん飛行機事故で死んじゃったの。でも、お父さんは生きているそう信じたいの...あの神社であなたといた時、生前のお父さんを思い出して、寂しいけどあなたといると嬉しいから、あなたと楽しそうに喋っていたあの子に嫉妬したの...だから...」

志宮の目から涙が溢れていく。

「あなたに迷惑かけちゃう...大好きなのに...私、最低だから」

「そんなことない!」

僕が繰り返すものはいつも後悔。

「最低なんかじゃない。僕も志宮が他の男子と楽しそうにしていたら嫉妬するし、それで後悔もする」

考えて、考えた末に後悔する。

だから僕は脇役でモブなんだと、いつも感じさせられる。

「でも、それと好きな事実は変わらない。僕は志宮が好きなんだ!」

志宮は目にたまった涙を指で拭きとる。

「でも私、生きる意味ない!」

「あるっ!」

たとえヒロインがモブに恋をするような物語があるとしたら、主人公は何をしているのか。

「僕のために生きてくれ」

いや、こんな時に現れない主人公なんていない。

僕が主人公ならあがいてでも止めてやる。

「...わかったわ」

そういって、志宮は僕に抱き着いた。

身体全体が熱く包まれるようだ。

今回は後悔が無かったかと言われると、そうではない、

もっと伝えられたことはいっぱいある。

でも、それをこれから少しずつ少しずつ、伝えて行けばいいだろう。

それに、これはまだ序章に過ぎないのだから。

この作品は一話完結で長く書くため、次話を投稿するのが遅れますのでご了承ください。

これから自分が嫌いすぎる彼女をよろしくお願いいたします!

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