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無事に敷き布団とタオルケットのようなかけ布団、枕、Tシャツを2着縫い上げて寝心地も確かめたところで、ちょうど時刻は20刻。残念ながらかけ布団までは手をつけられませんでした。
少し早いけれど夕飯にしようか、とまとまりかけたところで、部屋の扉を叩く音が聞こえた。
サブリナさんが応対してくれたのだが、相手はレイルさんで、マイクさんが戻って来たのでいつでも魔生石封入依頼が出来るとのこと。
「ただ、夕飯を先にしても良いかしら? マイクも帰ってきたばかりだし、私も今ちょうど休憩なの」
休憩なのに呼びに来てくれたのか……夕飯ついでにしても、仕事外なのにわざわざ来てくださって本当にものすごくありがたいです。
さっと食べて戻るならここが一番だから、仕事を押しつけられたのもあるんだろうけど……。
「もちろん良いですよ。実はもうひとつ依頼をしないといけないので先に商工ギルドに行ってますね」
「わかったわ。食べ終わったらすぐ向かうわね。私が出てきた時、受付には2人並んでたくらいだからすぐ依頼出来ると思うわ」
「わかりました」
アントニオさんを呼びに行くと、護衛をジョージさん、ケイジさんと入れ替えて商工ギルドに向かうことになった。
正直、街中での護衛は要らないんだけど、これはガンツの一件を気にしたジョージさんのご厚意によるものだ。護衛開始する前に何かあったら依頼取り消しになってしまうので困る、と。なんとなく、そんなんじゃなくて、心配してくれているだけな気もするけど。
レベッカさんとサブリナさんは夕飯を食べて少し休むとのことだ。だいぶ手伝ってもらったからね。少しでもゆっくりしてもらわないと。
宿屋を出る時にチラッとマイクさんとレイルさんのテーブルを見ると、ティガリッジとファルタン、大きめのベジテアとソルパを仲良く食べていた。仲良し夫婦って憧れるよね。
商工ギルドに着くと、受付カウンターにはベルさんが座っていた。
時刻は20刻半前なので、商工ギルド内はちょうど人が増えてくる時間帯。
今は2人並んでいるだけだけど、もう少ししたら狩りから帰ってきた人で混雑することだろう。
アントニオさんと2人で後ろについて並ぶと、15分くらいで私の順番になった。
流石に街中だからそこまで厳重な護衛も必要ないし、ぞろぞろと受付の列に並ぶのは迷惑にもなってしまうしね。
アントニオさんには依頼を請けてもらうから、一緒に並ぶのは普通のことなので問題ないよ。
「はい、次の方……あら、ミレイさん、依頼かしら? そうそう、シルバー取得おめでとうございます」
流石に私がシルバーカードを取得したことはもうギルド関係者には共有されているんだね。
なんだかまだ『ミレイさん』って呼ばれるのに慣れないなぁ。
「ベルさんこんばんは。魔生石に魔法を込める依頼を出したいんですが、こちらのアントニオさんに指定で出すことはできますか?」
「えぇ、構わないけど、指名だと請負人指名料金で銀貨5枚が別にかかるわよ?」
「別に俺はどっちでも良いッスよー」
あ、そうだった。ただ、時間もないし、今回は仕方ないかな。
「うーん、貼り出しだと時間かかりますよね?」
「そうね、処理で少し時間はかかるから、1刻くらいは欲しいかしら」
「ならそのまま指名でお願いします。魔法はフリーズ、個数は3で」
「はい、承りました。では初級魔法なので、1つにつき銀貨2枚、指名で銀貨5枚、手数料で銀貨2枚なので全部で銀板1枚と銀貨3枚ですね。ギルドカードの提示をお願いします」
無事に依頼を出すことが出来たので、時刻を確認すると21刻の5分前。ちょうどレイルさんとマイクさんも戻ってきたようだ。
レイルさんを見つけたベルさんの視線が、まるで助けを乞うかのようなものになっている。気持ちはわかる。
……うん、確かに並んでるのは大体チームの代表だけだから、今は6人だけなんだけどさ?
いつも思うけど、これを良くひとりでさばけるよね、レイルさん。
たぶん6人くらいなら30分かからず捌いてしまうだろうレイルさんは、正直良い意味で化け物だと思ってるよ。




