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その後、服飾商店を出た私たちは、生活に必要なものを雑貨商店で買ってから宿屋へと戻ってきた。流石に買い出しに行くのが男性ばかりだから、細々とした必需品を頼むのは憚られたからね。
あと魔生石を持っていることを不審がられないために、魔法商店にも寄りました。
そこでは『兄のパリスに預けられていたもの』として3セルの魔生石を最低価格の金貨1枚、ではなく、金貨1枚と銀板3枚で売ったよ。
店主のダルトンさんは事情を加味してくれて、ちょっとだけ色をつけてくれた。……本当ならそれ金貨3枚はするけどね。ここは仕方ない。
商談は店頭ではなく応接室で、その取引の時には個人的な商談だから、とレベッカさんたちには待ってもらってたから、私が買ったのでなく売ったことはわからない、と思う。
宿屋では部屋に入るときにシアンおばちゃんから「気にするんじゃないよ!」って声をかけられたけど、うん、強く生きるよ。
ジョージさんとアントニオさんとケイジさんに買い出しをお願いするというレベッカさんに金貨2枚を預けてその証文を書いて、のんびりと帰りを待ちながらサブリナさんと部屋で作業をして過ごした。
食糧の希望は既に伝えてあるので、しっかりと買ってきてくれるだろう。
ネコババされる、ことはないと思うが、その場合も証文があるので金貨を預けることに不安はない。
あと、アントニオさんが氷属性の魔導士ということだから、肉なども木箱で保管しておけるし、基本は馬車の荷台に載せるつもりだ。
生鮮食品は氷属性魔法のフリーズで凍らせるのが一般的だから、もしアントニオさんが良ければあとで依頼を出して魔生石に込めてもらおうかな。
ちなみに、現在私と作業中のサブリナさんは風属性の魔導士で、ケイジさんは近接の大剣タイプ、レベッカさんはロングソード主体で身軽さを生かした近接兼回復、ジョージさんは魔導士2人を守る盾メインの槍使いというチームらしい。
だからこそ、チームで2つ所有しているアイテムボックスはレベッカさんと、チームリーダーのジョージさんが基本的に持っているそうだ。
しばらく2人で作業をしていると、レベッカさんも合流し、ちょうど16刻と良い時間帯なので、昼ご飯を食べてから布団作りを再開することになった。
ちなみに、サブリナさんはとても手先が器用でした。
階下におりると、まばらに人は居たが、そこまで混んではいないようだった。
昼休みのピークが終わって一段落したのだろうか。冒険者とかは休みでもなければ今頃は狩りの途中だろうしね。
ウェリルには他にも飯屋はあるものの、おばちゃんのご飯も美味しいし、ギルドのすぐそばなのでこちらに流れてくる冒険者もギルドの職員も多いのですよ。
そのかわり、回転も早いけどね。
飯屋はむしろ、ゆっくり食べたい人が行く感じだろうか。
「おばちゃん、ごめーん! 昼ごはん頼んでも良いかなー?」
カウンターに向かって叫べば、おばちゃんはすぐに出てきてくれた。
「おや、昼は食べるのかい? 何にするんだい?」
「うーん、ソルパとベジテアにしようかな。ベジテアは普通のサイズのやつね」
「私はソルパだけで。大盛りお願い」
「私もソルパだけで。普通の量にしてくださいな」
「あいよ。それならすぐ出来るから、待ってな」
宣言通り、おばちゃんはものの5分ほどでガッツリ肉と野菜の味噌仕立てソルパと、醤油ドレッシングのようなものをかけたサラダを持って来てくれた。
ちなみにソルパは毎食おばちゃんが寸胴鍋で作るのでほぼ毎回味付けが変わる。昼は豚汁の肉だけウルフ肉の、味としてはいわゆる牛汁かな? アースガイアではメジャーな汁物だった。
量は同じくらいなのでしっかり一人前あり、サラダもミニではなく普通の量なので、これだけでも結構お腹にたまるだろう。
私は両手を合わせて心の中で『いただきます』と唱えて食事となってくれたものや作ってくれた人々に感謝してから、それらを頬張った。
食前の祈りの習慣はあるけど、言葉は違うからね。
まぁ意味合いは同じだから、口に出しても変には思われないだろうけどさ。




