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もしも異世界に生まれたら。  作者: 鳩浦 雪兎
閑話、ミレイちゃんのお勉強。
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『アースガイア建国物語』1

二つ目の童話です。

 ──はるか昔、この世界はひとつでした。

 アースガイアの女神様に見守られ、様々な種族が暮らし、自然の恵みに感謝しながら暮らしていました。

 そしていつしか、強いモノが弱いモノを狩り、食べることを覚えます。


 いつからそうなったのかはわかりません。

 それが必然であるかのように、弱肉強食が摂理となっていきました。


 そんな日々の中に、ヒトという種族が生まれます。

 彼らはやがて道具を作り、服をまとい、進化を遂げていきました。


 あるものは植物を友とし、森と生きるもの(エルフ)となりました。

 あるものは大地を友とし、大地とともにあるもの(ドワーフ)となりました。

 あるものは天空を友とし、翼ある自由を知るもの(ウイング)となりました。

 あるものは大海を友とし、深き海を渡るもの(マーメノイド)となりました。

 そしてあるものは、すべてに目を凝らし、人間(ヒューマン)となりました。


 すべてを友とせず、見つめていただけの人間は、何も持たないかわりに、知識を手にいれることができたのです。


 ヒトビトは、女神様と友の力を借りて、それぞれ暮らしやすい場所に移り住みました。


 エルフは、南の森の奥深くに。

 ドワーフは、東の山の地下深くに。

 ウイングは、女神様に連れられて、はるか空の上に。

 マーメノイドは、果てしない大海に。

 残された人間は、生まれた場所の近くに。


 そしていつしか、人間は、他のヒトビトの姿を見かけることはあまりなくなりました。


 人間は、どんどん数を増やしていきました。

 ただひとつ誇れる知識も、それぞれ他のヒトビトには敵わないから、減らされるのも早かったからです。

 だから、減らされても足りるだけ、増やしていきました。

 増やしたものが固まることで、魔獣と呼ばれるケモノも前よりも簡単に狩ることが出来るようになっていました。


 いつしか、人間の固まりは、国と呼ばれるようになりました。

 増えすぎた大きなひとつの固まりは、ふたつにわかれ、一番強い人間の名前から、アンセムとグースと呼ばれるようになったのです。


 ある日、グースの誰かが言いました。

「どうして僕たちだけこんなに減らされてるんだ。アンセムのほうは、全然減ってないじゃないか」

「ずるい。ずるい。そうだ、場所を取りかえよう」


 アンセムの誰かは言いました。

「なんてことを言うんだ、そしたら今度は僕らが減ってしまうじゃないか。そんなにいやなら、他のところを探せば良いよ」


 グースの誰かは言いました。

「他のところは、どんなところかわからないじゃないか。

 あぶないことは、できないよ」


 そんなやりとりが、言葉だけでは収まりませんでした。

 魔獣に向けるはずの武器を、お互いに投げだしたのです。

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