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改装工事中。  作者: 鳩浦 雪兎
旅立ちの準備。
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「……初めて会ったときに、直感したんだ」

 少し間が空いたあと、ぼそり、うつむいて頭を抑えたまま、ガンツはそう(こぼ)した。

「俺、転んで怪我して。ヒールウォーターをもらって、お前だって思って。お前も、他のヤツとはたいして喋んねぇし、俺くらいだろ、まともに遊んでたの。だから、俺のことだけは好きなんだと思ってたのに」

 すがるように私を見るガンツを、私は。


「いやなんですかその勘違いは」

 スッパリとぶった斬ってやった。


 確かに、昔ヒールウォーターをあげたことはある。

 でも4歳の子に目の前で勢い良く転ばれたら誰だって介抱しない?

 え、私だけ? 私がおかしいのか?

「どこをどう見たら私が貴方を好きだってことになるんですか。私からは当然として、貴方からも言葉もない、プレゼントもない。どころか、会えば嫌味を浴びせかけられるだけ。もう一度ハッキリ申し上げますが、好きどころかむしろ貴方のことは嫌いですし。迷惑です」


 いや告白なにそれ美味しいの?

 シリアスぶってるけど容赦なくぶったぎりますよ。

 アンタが好きだろうがそんなの好かれた相手には関係ないことで。しかも悪いけれど、遊んだ記憶もねぇわ。一方的に話しかけられたのはかなりあるけれど。

 こっちは好きでもなんでもない、というかむしろ苦手な部類なので、お引き取り願えますかね?


「ミレイちゃん、苦労してたんだな……アイツもキッパリ断られたんならはやく忘れれば良いもんを」

「……ガンツったら、子供のままじゃないか。影は1つじゃないってのに」

 シアンおばちゃん、やっぱり野次馬の中に居たよね。隣のおじさんとこそこそ話してるよ。

 全くもってその通りだけど、まぁ思い込みや勘違いは……誰にでもあるよね。うん。私もほら、今までハッキリ伝えたことはなかったから悪いのかもしれないし。

 でもさ、ストーカーされてるとかならまだしも、せいぜい嫌味なアダ名を連呼されたり顔を合わせたらしつこく話しかけてくるくらいで他には何もないのに、いきなり『貴方が嫌いなので関わらないでください』なんて言ったら失礼じゃない? むしろ自意識過剰なんだよお前って返されそうじゃない?


 野次馬のおばちゃんの言葉がトドメだったのか、それとも私の言葉がそうだったのかはわからないが、ガンツはそれから一言も声を発さなくなった。

 それを見下ろして、私は更に畳み掛ける。

「では、金輪際さようなら。出来れば今後は出会わないことを祈ります。宿屋にも来ないでいただけると嬉しいですね。さて、では2人とも、行きましょう」

「えぇ、まずは服飾商店を見に行かないとね!」

「忙しくなりますわよ」

 雰囲気を吹き飛ばすかのような笑顔の2人に引きずられるようにして、私はその場から素早く立ち去った。

 ……いや、逃げたんだ。結構な人数の野次馬に見られている恥ずかしさもあった。


 これでも実は何も解決はしていないのかもしれない。

 これからガンツが関わらないと約束された訳でもない。

 それでも、ガンツの居場所はわかるから、待ち伏せされない限りは関わらずにすむだろう。


 傷つけてしまっただろうな。

 けれど、私は自分の意に沿わない相手と恋人になどなりたくない。


 すまんな、ガンツ。自分本位で。

 最初から嫌いだった訳ではないし、別に顔だって整ってて見かけは爽やかガチムチ系統で見てる分には好きな方だったけど、積み重ねで性格が無理だし、そういう好きにはなれなかったんだ。

 あ、プレゼントアピールのあるなしは全く関係ないよ? 別にモノ目当てで言ってる訳じゃないからね?


 世の人間には平凡顔のお前なんぞが選り好み出来る立場かと言われるだろうが、ぶっちゃけその『俺がこいつを好きなこと伝わってんだから嫌がらせをしても許されるし拒否しないこいつも俺のこと好きだろ』的な考え方が好きじゃないんだ!!

 どんなに好きな相手でもイジメて良いわけがないだろうが! そもそも拒否ならガッツリしとるわ! 最初のお断りと、無視や社交辞令では足りなかったとでも言うのか!?

 いや、足りなかったんだな。反省しよう。

 そういうわけだからガンツ、こんなヤツを好きになってしまったのが運のつきだったと思ってくれ。


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