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「今あるのは、こちらの新品馬車4台、中古馬車8台だけですね」
見せてもらったものはどれも綺麗な状態だった。
その中から、私は幌ほろと呼ばれる布製屋根つき小型馬車で大体縦の長さが4ミーダ、横が3ミーダ、荷台の中の高さが3ミーダほどの新品のものを選んだ。お値段は金貨2枚と銀板5枚とのこと。
これなら荷物を載せても十分棘花エピヌフローレのメンバーも乗ることが出来る。
「馬は、こちらがオススメです」
次に馬を見せてもらったところ、ルディさんオススメの馬はもうすぐ3才になる鹿毛かげの牝馬ひんばだった。前の世界のばんば馬みたいだ。
速くはなさそうだけど、足は太く、荷運びにはかなり力になってくれそう。
気が強そうで、なんだか私を値踏みするように、くりくりとした黒目でじっと見ている。
「ちょっと若いですが、その分馬力ばりきがあります。今居る運び馬の中では、馬力も速さも一番ですよ。名前はクゥラ。値は金貨1枚と銀板5枚です。いかがでしょうか?」
「決める前に、触っても大丈夫ですか?」
「はい、構いませんよ」
クゥラに近づき、そっとその茶色いたてがみを撫でる。
どうやら私を気に入ってくれたようで、撫でても暴れたりはしなかった。
「このコにします」
「ありがとうございます。では、少し書類が必要なので、一旦事務所まで戻りましょう」
その後、私は簡単な書類に目を通し、サインをした。
結果、馬車はクゥラや諸々の経費込みで金貨6枚と銀板9枚と銀貨1枚となった。支払いもそのままの貨幣でしたよ。あとで細々とした買い物に金貨を使いたくないからね。
何故こんなに高くなったのかといえば、それは主に餌代だ。
馬は元々主にアグネチャートに生息する野生の魔獣なのだが、それを農民が捕まえてくる。
その時に使うのが特殊な薬草で、その薬草を気に入ってくれたら飼われてくれるのだ。
その薬草のお値段が1つ銀貨2枚と銅板5枚なのだが、飼い主がかわったことを馬に知ってもらうために、買ってから10日間は毎食この薬草を与えなければならない。
薬草はすでに元がわからないように乾包となっていて、それを普段の餌に混ぜて食べさせるので、元々の薬草が何かがわからないという仕組み。よく出来てるよね。私には解析さんでわかっちゃうけど。クゥラさんは甘党らしい。
馬はそもそも自由にそのあたりの草を食べるものだが、人間と違って夕食は与えられないので、毎日3食。それを10日なので、これだけで銀板7枚と銀貨5枚だ。
ちなみに冬はもちろん、草が生えていないような砂漠地域では、物車商店で1食30タムくらいの干し草を3食分まとめて銀貨1枚で売ってくれるよ。
11日目からは、10日に一回だけ夜にその薬草を与えるだけで済むので、最初のひと月だけは我慢です。
ひとまずひと月分として薬草の乾包34個と干し草、それから馬車とクゥラを繋ぐハーネスなどの器具を買った結果、こんな値段となりました。
……うん、これから大事にするよ、クゥラさん。




