6
「はい、ありがとう。すごいじゃない、さっきの依頼の達成記録で一気にEランクよ? これはその報酬ね」
受付に戻って処理を済ませるとレイルさんは嬉しそうにカードと金貨3枚と銀板2枚を渡してきた。けど、もはや口調が前に戻ってますけどそれで良いんですか、レイルさん。……良いのか、ウェリルだし。
「ありがとうございます。これから準備を始めるので、そうですね、21刻には宿屋に戻るようにしておきますね」
まず馬車を見て、それから旅の食糧とかも確保しなきゃだし。今は12刻を回ったくらいだから、このくらい余裕を持たせておけば大丈夫だろう。
「わかったわ。その頃にはマイクも戻ってると思うから、宿屋に向かわせるわね。あっ」
思い出したかのように、レイルさんが声を上げ、ポンと手を叩いた。
「そうそう、実はリリィからミレイさんに渡したいものがあるらしいの。もし時間があったら、武術ギルドに寄ってあげて。昼間は受付に居るから」
「リリィさんが? わかりました」
渡したいもの、ってなんだろう。昨日リリィさんからおやつを横取りしてしまったから、文句ならわかるんだけど……。
所持金のうち、金貨10枚を銀板にしてもらった後に、今度こそ必要な買い物をするために3人で商工ギルドを出た。
あ、ちなみに両替はどこの商工ギルドでもやってくれるよ。
ただし、銅板、銅貨を上の貨幣に両替しようとすると、10枚につき手数料として銅貨1枚取られます。世知辛い。
まぁ、偽金対策なのかもしれんね。銀貨以上はタダでやってくれるから。
商工ギルドを出て、まずは隣の武術ギルドへと入る。
ウェリルでは東門のすぐそばに物車商店があり、そこから解体屋、武術ギルド、商工ギルド、と並んでいる。
物車商店の向かいにおばちゃんの宿屋がある形だ。
おそらく旅人や冒険者の利便性のためにそうなっているのだろうな。
武術ギルドに行くと、リリィさんの姿が受付に見えた。
こちらは朝の受付の交代が7刻半だったはずだから、もう昼担当のリリィさんにかわっていたのだろう。
受付には誰も並んでいなかったので、スムーズにたどり着くことが出来た。
冒険者はそこそこギルド内に居るものの、皆危険魔獣や野盗の注意書きが貼られた木板を一瞥すると、すぐに出て行ってしまう。
受付が混雑するのは、狩りを終えた夕刻くらいなので、比較的朝方の受付は暇なのだ。
「リリィさん、おはようございます。今日も綺麗ですね。レイルさんから、リリィさんが私めに会いたがっていると聞き及んで参上いたしました」
「ミレイちゃん、おはようございます。もうちゃんなんて呼べないわね……と言いたいのだけれど、やっぱりミレイちゃんはミレイちゃんなのね……。うん。でも、そうね。マナーよね……。ミレイさん、まず、シルバーギルドカード取得おめでとうございます」
やったね! リリィさんから祝福されたら今後も頑張れる気がするよ!
「えぇと、後ろの方々はチームメンバーかしら? 棘花の2人よね?」
「あ、こちらの2人には護衛をお願いしてるんです。これから私、遠くの親戚のところにお世話になることになりまして」
「あら、そうなの……寂しくなるわね。ガンツはどうするの?」
リリィさんまでそんなこと言うのか。悲しいよ、私は。
「あの方には既にお断りしておりますし、それでも皆が噂するって一体どんな噂が流れているんですか」
「あら? ガンツからはミレイさんは照れ屋だから、自分に冷たく見えるだけだって聞いていたけれど」
衝撃の事実! まさかの私がツンデレ設定、だと……。
「それはひどい誤解ですね。それならまだハインツさんと噂された方がよっぽど良いんですが。いや本当にそうなりたい訳ではないんですけど。ミヤさん大好きですし」
ちなみに、ミヤさんはハインツさんの嫁である。
「そうなの。それはそれで面倒が起きそうだけど……わかったわ。それで、実は、ミレイさんが一昨日誕生日だってレイルから聞いてね、これを渡したかったの」




