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「失礼します。リオンです。お連れしました」
くつろぎながら水を飲んでいると、ノックの音が聞こえてきた。
どうやら、アンナさんが『棘花』のメンバーを連れてきてくれたらしい。
……ハインツさん、食い下がる私をあしらいながら、下の人に連絡してたんだよ。ギルドマスター室からは、専用のベルで人を呼べるんだ。文字通りの、ベル。鐘のほうね。
で、事務方のリオンさんを呼び出して、「ギアノルの宿屋に例の件と、あと依頼があるから『棘花』を連れてきてほしいんだ。宿屋に居なかったらシオンさんに訊くと良いよ。彼女なら知っているだろうから」なんてお願いしてから、本当に少ししか時間は経っていない。
リオンさんが有能なのか、ハインツさんが流石なのか、それともおばちゃんが凄いのか。全部か。
「改めて、『棘花』のリーダー、ジョージ・ガナスだ。メンバーは、レベッカ、アントニオ、サブリナ、ケイジ。よろしく頼む。依頼主はギルドマスターと伺ったが」
ギルドマスターの部屋の応接セットに、ギルドマスター、私、そして『棘花』のメンバーが座っている。リオンさんは何かあったときのためだろう。後ろで待機だ。
「えぇ、こちらのミレイさんの護衛を依頼したいのです。あなた方もマギへと向かうと聞きましたので、お願いできないかと」
何故か私ではなくハインツさんが話を進めているが、実は今回の依頼はギルドマスターからとしてくれるそうなのだ。依頼料金がハインツさん持ちだからなんだってよ。
さっき待っているときにそう決められてしまった。
「請けるのは構わないのだが、出発は明日で良いだろうか? それと、マギまでの護衛ということだが、いつから始めれば良いだろうか? 出発するまでの間の護衛は必要か?」
依頼主によっては、出発までの日数も護衛期間に入れることもあるし、逆に準備万端に整えてから集合してそこからの護衛って場合もあるしね。ジョージさんの疑問ももっとも。
「それなんですが、ミレイさんの準備を手伝うところからお願いしたいのです。なにせ、初めてこの街を出ることになるのでね」
「なるほど、ならば出発まではレベッカとサブリナをつけよう。それと……」
準備はひとりでしたかったけど、ハインツさんが頑固魔王なので、折れました。
……食糧なんかは新鮮な方が良いからほっ君に収納したかったけど、仕方ない。2日は我慢だなぁ。
「では、この内容で」
「あぁ、請け負った」
あれよあれよという間に依頼が成立してしまった。
私、ただ聞いてただけ。何もしてない。
「じゃあ、ミレイさん、行きましょうか」
「うんうん、お買い物ね!」
おだやかそうなサブリナさんと、何故かウッキウキのレベッカさんに両手をがっちりと組まれて、ギルドマスターの部屋を出た。
あれ、おかしいな。
ハインツさんは良い笑顔で手を振ってるし、なんかジョージさんとアントニオさんとケイジさんの目が死んでない?!
気分はドナドナ。買い物、長そうだなぁ……。ふふ。




