『カイル王子と泣き虫ドラゴン』1
二つほど童話をはさみます。
本編にちょくちょく登場することになります。
まずはひとつめ、3歳児の読む絵本ということで、ひらがなとふりがな多めです。
ご了承ください。
むかしむかし、サフネスの国に、カイルという王子さまがいました。
王子は、とっても優しく、カッコよくて、国民のみんながだいすきでした。
王子には、4にんのなかまがいました。
「王子、いたいのはわたしがぜんぶ、なおしてあげるわ」
巫女のアメリアは、どんなキズでもなおします。
アメリアのおかげで、カイル王子は魔獣から受けるキズもこわくありません。
「わたしはとても力もち。王子にちかづくやつらは、ぜんぶ投げとばしてくれるわ!」
武闘家のカルラは怪力で、王子にちかづく魔獣をなぎたおします。
「魔法はまかせて、わたしは王子とみんなをつよくしてあげる」
「わたしはとおくのてきをやっつけるわ」
双子の魔術師、レミィとラミィは、魔法で王子をたすけます。
レミィは王子さまやみんなをすばやく、つよくして。
ラミィはとおくから魔法で魔獣をたおしました。
こうして、5にんはなかよく魔獣からみんなをまもっていたのです。
あるとき、サフネスのちかくにまっくろなドラゴンがあらわれました。
王子は、みんなといっしょに会いにいくことにしました。
「きけんなドラゴンなら、ボクがやっつけてあげないと!
もしも優しいドラゴンなら、おともだちになりたいな」
そう言って、勇ましい王子はドラゴンに会いに出かけました。
「ドラゴンさん、やっとみつけたよ。どうしてキミは、こんなにまちのちかくにやってきたんだい?」
まっくろなドラゴンは、ないていました。
「わたし、なかまをさがしているの。わたしとおなじ、まっくろなドラゴンを」
それをきいた王子は、まっくろなドラゴンにこう言いました。
「そうか、残念だけれど、このちかくでは、みたことはないなあ。そうだ、ボクたちも手伝ってあげるよ!」
「ほんとうに? なら、いっしょにさがしてちょうだい」
まっくろなドラゴンは、うれしそうでした。
それから、王子たちは6にんでたびにでました。
ドラゴンさんにのって、おおぞらをとびました。
「ドラゴンさん、いっしょにたびをするんだから、なまえをおしえてくださいな」
「なまえ? それはいったいなんなの?」
「なまえを知らないのかい? キミはなんてよばれてるんだい」
「だれにもよばれたことはないわ。だって、わたしはひとりだもの」
そう言って、まっくろなドラゴンはなきました。