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とりあえず、ハインツさんからの話は以上だった。
爆発魔はまだこの近辺に居るかもしれないが、普通は気をつけようもないので、何かを言われることもなかった。
「それで、ハインツさん。今後、私はご存知の通り、ひとりで生きていかなければなりません。なので、サブでないギルドカードを作りたいんです」
そう、ある意味これが本題。
ギルドカードがなければ町を出ることも、そもそも生きていけるほどのお金を稼ぐことも出来ないから。
「……ラナエはまだ許していなかったようですが?」
ぐっ。痛いところではあるけれど、あれはむしろ、父と兄が悪い。
魔法だって認めてくれたのに、未だにおまけカードなのは、単純に父と兄が私を手放したくなかったからだ、というのは周知の事実。
軽く不満をこめて睨み付けると、ハインツさんもわかってはいたのだろう。
「あぁ、はい、はい。わかっていますよ。ミレイちゃんはもう十分資格はあります。魔法のコントロールももう問題はないでしょう。むしろ、場数さえ踏めば、魔法封入の優良書きも貰えるでしょうね」
魔生石への魔法の封入には、そもそも資格はいらない。
しかし、あまりにも質の悪い魔生石を納品し続けたりすると、ギルドカードに魔法封入禁止の添え書きをくらってしまうのだ。
かわりに質の良い魔生石を納品し続ければ、指名という形で料金の上乗せがあったりするらしく、その証明としてギルドカードに魔法封入優良の添え書きがされる。
ハインツさんが話しているのはそのこと。
質が良いというのはつまり使用できる回数が多いということ。
なので解析の出来る私はともかく、普通は使ってもらってからでないとわからないので、認められるまでには少なくとも5年はかかるそうだ。
何故ハインツさんが私の魔法を知っているのか、というのは私の練習風景をたまに覗いていたからだと思う。
魔法の練習、町のひらけたところとかでやってたからね。
「なら、町長にはこの後でお願いするので、まずハインツさんから承認したと一筆いただけますか?」
町長の分は手紙で一筆もらってくればそれで問題はないだろう。
こんなことでわざわざギルドまで町長を呼び出すことも憚られるしね。
「それには及びませんよ。あの人が反対する理由もないでしょうから、私の承認だけで大丈夫です。あの人には後で私から証拠として一筆書くように言っておきましょう」
朗らかにのたまうハインツさんだが、そういえばこの人、現町長の弟だった。
町長は身内だから、ではなく、ハインツさんの能力を認めているので、おそらくハインツさんが認めたことに異議は唱えないだろうってことらしい。
流石、田舎とはいえ、実力で商工ギルドマスターまでなっただけはある。
人望や能力のないマスターなんてすぐ皆から降格させられちゃうからね?
商工ギルドはフリージア主体なので、民主制の精神よろしく、ギルドマスターは全てのギルド員の投票で決まるのですよ。




