3
状況から考えて、それぞれが個々に襲いかかってきたとは考えられないそうだ。
おそらく、逃げることも出来なかったのだろう。
そもそもそのような状況では逃げられるとも思えないが、逃げ帰るということは、村を危険に晒すということでもある。
それを、その4人が良しとするわけがないから。
「……グレートクロゴリラの傷などから見て、彼らが討伐したのは、まず間違いないでしょう。それで、その討伐報酬は、本来では遺族となる方々へ支払われることとなります。チームの4人がそれぞれ2つの家族ですので、報酬は勝手ながら二等分とさせていただきました。魔獣の死体については、規則で武術ギルドに委譲していただくこととなりますけどね」
それはそうだろう。
うちの受け取るべき本来の報酬は、そのメンバーであったならば、半分が妥当だ。
残りの半分は、ディーンさんとフレデリカさんの遺族が受け取るべき。
二人には確か成人した息子が3人いたはずだ。アースガイア全域では空間魔法を利用したギルド間の情報共有があるので、彼らの居場所を知ることも難しいことではあれど不可能ではないだろう。
「……ありがとうございます。昨日の……葬儀などの手配をしてくださったのは、ハインツさんですか?」
おそらくそうだろう、とは思うものの、確認はせねばならない。
案の定、ハインツさんはこれに肯定を示した。
うちの父の親友だったからといって、甘え過ぎている気がしなくもないが。本当に、ハインツさんには頭が上がらない。
「えぇ、ミレイちゃんには悪いとは思いましたが……私の方で。ラナエとパリス君と……マリーナさんを、そのままにはしておけませんでしたからね」
このあたりでは、死者は火の魔法により火葬され、灰となって土へと還る。
火によって身体の悪いモノは全て浄化され、また魔法を使うことで魂もマナの祝福を受けて天へと昇る、といわれているからだ。
墓標は、魂の宿り石。
それを目標として、魂はたまに現世の様子を見に来るのだといわれている。
「ありがとうございます。その費用をお返ししたいのですが、父と兄の報酬をいただくことは出来ますか?」
「それはここにはないので後でお渡ししますが、返さなくて良いのですよ。これは、私がしたくてやったことですからね」
そうは言うものの、タダより怖いものはない……ではなく、家族でもないのに全部のお金を出してもらうのは気が引ける。
確かに、こういう場合は、友人や仲間が出すこともあるけれど。
何度か押し問答を繰り返した後、費用は折半で、ということとなった。
私が払うのは、半分の金貨1枚と銀板5枚だ。
「……まったく、誰に似たのか、強情ですね、ミレイちゃんは」
なんて、苦笑いされてしまったけれど、ここを譲ってしまったら色々と負けな気がする。人間として。




