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運ばれてきた心なしかいつもよりも大きめに見えるファルタンと、野菜と肉たっぷりのコンソメスープのような出汁の効いた香草仕立てのソルパ。
それをありがたくいただいていると、頭痛も段々と薄れて行くような気がした。
食べられないかも、と少しは心配したものの、問題なくすべて平らげた。
なんだかんだ昨日は昼食から何も食べていなかったから、身体が食べ物を欲していたのかもしれない。
アースガイアでは一日が30刻なので、普通は朝、昼、夕、晩の四食なのだ。
夕食は普通軽めのものを取るのだが、遠征や狩りや採取中の冒険者ともなれば携帯食で済ますこともある。
幸い小麦を練って焼いただけのような味気ないものではなく、しっかりと香草というか薬草を練り込んで焼き固めたパンなので種類もそこそこあり、口の中の水分はもっていかれるものの、食べ飽きることはなかなかない。
昨日のように昼食時に依頼をこなしていたレベッカさんたちなら、早めに摂るだろう夕食が逆にしっかりしたものとなっていたのだろう。
そんなことを考えていたからか、ちょうど食べ終わって食後のクローナに口をつけた時、彼女が階段から姿を見せた。
「おや、レベッカさん、おはよう。ご飯は何にするんだい?」
お客様への対応にしては少しだけ砕けた口調のおばちゃんだが、そこはおばちゃんなので仕方ない。
「おはようございます、レベッカさん」
「二人ともおはようございます。ミレイちゃんの朝食はなんだったの?」
続いて私も挨拶をすると、私にもあくまでも自然に返してくれたレベッカさんの気遣いにこっそりと感謝した。
人の生き死にが身近にあるこの世界。
私よりも長く、そして冒険者として生きてきたレベッカさんは、下手な慰めや同情は逆に良くないことを経験しているのだろう。
「ファルタンですよ。ちょっとだけ贅沢して、ソルパにクローナまでつけちゃいました」
へらっと笑っておどけてみせたものの、果たして私はいつも通りに振る舞えているのだろうか。
そうであって欲しいな。
「景気づけね、良いじゃない。私も今朝はファルタンにしようかな。シアンさん、お願いできます? 私はちょっとそこまで余裕がないから、クローナとソルパはなしで、ベジテアつきのセットで」
「あいよ。任せときな!」
綺麗な笑みを作ったレベッカさんに応えるように、おばちゃんも気合いを入れて腕をまくった。
けどサラダつきって、むしろお高いんじゃないですかね、レベッカさん?
セットのミニサラダだから、そうでもないか。




