3
「ミレイちゃん?!」
レベッカさんが悲鳴のような叫び声をあげているのが聴こえたが、私は既に走り出していた。
爆発魔とは、つまり爆発の魔法を使った放火魔だ。
そんなのが村に?
母さんは。母さんは無事なの?
ぐっと後ろからローブを引っ張られ、体重が後ろに戻されたのを感じた。
「待ちなさい。全員で戻らねばならないのだ。勝手な行動は許さん」
ローブのフード部分を掴んでいたのは、レベッカさんのチームリーダーのジョージさんだった。
「でもっ、村がっ、家族がっ!」
引きちぎっても構わない。
それくらいのつもりで前に出ようとするものの、首もとが徐々にしまって苦しくなるだけで。
「怪我をしているなら既に救護院に運ばれているはずだ。そもそもここから走ったところで数分はかかる。状況は変わらん。ここで君が単独行動をして取り返しのつかないことになったらどうする? 責任が取れるのか?」
……ぐぅの音も出なかった。
確かに発覚したということはどこかが既に爆発されたということ。
今から駆けつけたとて変わらないだろうし、負傷者は既に救護院、いわゆるアースガイアの病院施設に運ばれているだろう。救護院はどこの村にも必ずあるから。
でも。爆発魔ってことは。
周りを見れば、数人が同じような状況であった。
止めるべきのはずの『天翔破岩』のメンバーまで飛び出して、『鉄の盾』の面々に抑えつけられているのも見える。
……取り乱してしまった自分が少し、恥ずかしくなった。
「……すみませんでした」
「わかれば良い。急いで戻るぞ」
落ち着いたのがわかったのか、ジョージさんはフードから手を離してくれた。
……こんな時に思うことではないけれど、私、トップスピードで走ったはずなのに捕まるとは。やっぱりまだまだだな。
本職には、敵わない。
「……落ち着いたか? なら、急いで出発する。各自、素早く撤退の準備をするように」
アルトさんの号令によって未だに荷物を置きっぱなしであった子たちはそれぞれ片付け、再び集まるまで数分かかってしまった。
これでもおそらくは、早い方なのだと思う。
「はぐれた者は居ないな? では、村に戻る」
村へ戻る時は、行きとは全く違う緊張感に包まれていた。
このあたりはグレートクロゴリラは近づくことはない、とされているが、絶対という訳ではないだろう。
例えわずかでも可能性があるならば、想定すべきなのである。
誰も、一言も喋らなかった。
大地を踏みしめる音だけが響く中、私はただ、家族の無事を祈っていた……。




