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「あー、それは何となくわかるわ……恋人たちの間って凄く気まずいのよね。わかる」
ですよねー。まぁウェリルには15歳の子供は私とガンツしか居ないが、16歳以上の方々はもう大体が恋人持ちだし、18ともなれば既に村には居なかったりするし。
14歳以下の子たち? 数も多くないから、既にコミュニティが出来上がっちゃってるんですよ。私が入る隙間なんぞないない。
まぁ私としては読書したり魔法の練習したりするのも楽しかったし、幼い頃は大体兄が遊び相手になってくれてたし。
「ねぇ、ミレイちゃん、何かあったの?」
……自分ではいつも通りのつもりだけれど、やっぱり、おかしいってわかっちゃうのかな。
こんな話をしてるのに、やっぱり気持ちが落ち着かない。
「レベッカさん……なんだか、わからないんです。わからないんですけど、胸騒ぎがするんです」
目を伏せて拳を胸に当て、なんとか言葉を絞り出したものの、握った拳が震えているのが自分でもわかった。
いや、きっと、今にはじまったことじゃないんだろう。この、震えは。
「大丈夫? なんなら、依頼を放棄して村に戻っても……」
言い淀んだレベッカさんの目が、変わった。
それを確認した時。私にも、ようやくニックさんが200ミーダの距離まで近づいてきたのがわかった。
それと同時に、アルトさんが号令をかける。
「冒険者は全員近場の者を防御!」
おそらく、冒険者たちは皆気づいたのだろう。
何者かがこちらへとやってくることに。
「ミレイちゃん、ごめんね。走るわ」
言うか否か、私はレベッカさんに手をとられ、引きずられるように走り出した。
きっと今のはあらかじめ伝えられていた号令なのだろう。
周りを見ると、皆それぞれにアルトさんのところへと集まって来ていた。
訳もわからず、ご飯を握りしめたまま抱き抱えられている子供もいる。
比較的年長組は落ち着いていたようで、反抗した子供なども居なかったようだ。
「……戦闘用意」
静かに伝えられたアルトさんの言葉で、察したのだろう。
冒険者の間には緊張が走り、それが伝搬したかのように子供たちも身体を固くする。
それを破ったのは、アルトさんの鋭い槍の一突きだった。
「おわぁぁ! 待った! 待ったぁぁ! 俺だ、ニックだっ!」
もとより牽制だったであろう突きをかわしたニックさんは、両手を上げて後退った。
……可哀想だけど、まぁ当然の反応だしね……。
「どうした?」
槍をひいて問いかけるアルトさんに対し、ニックさんは両手をおろして口を開いた。
……心なしか、ニックさんの視線がこちらへ向いているような気がする?
「緊急事態だ。依頼は中止。今すぐ、村に戻ってくれ。村の者が爆発魔にやられた」




