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順調に薬草もゲット!
中和花を見つけられたのは運が良かった。けど。
昼の休憩は15刻から1刻と決められているため、私は15分くらいでまずカンパニュラを食べ終えた。
ゆったりとご飯を食べて食後のクッキーを食べようと包みを取り出した時、タイミング悪くガンツが近寄ってくるのがわかった。
……周囲の警戒はどうした。せっかく美味しいご飯だったのに気分を壊されたくないんだが。
しかし、ここで移動したとてどうせ後を追ってくるのだろう。
諦めてそちらに目を向けた時、それは不意に訪れた。
……なんだ? 村から1人、西門からこちらへ向かって来ている?
この反応はギルド員のニックさんだ。結構なスピードで近づいているから、何かあったのか?
「よぉ眠り鳥、守られながらの採取の調子はどうだ?」
どや顔で近づいてくるガンツなど、もう頭にはなかった。
ギルド員が1人でこの森に走ってくる用事など、緊急事態以外にはないだろう。
村で考えうる緊急事態、例えば、高ランク魔獣の目撃情報や野盗の襲撃があって採集体験依頼が中止となる、とかか?
村に居るだろう母は巻き込まれてはいないだろうか?
ここから自宅までは7ケル以上離れているので、今の時間ならば自宅に居るだろう母の様子はわからない。
けれど、何故だろう。
なんだか、嫌な胸騒ぎがする。
考えつつも私は素早くクッキーの袋をリュックにしまい、荷物を片付けた。
「……まぁまぁかな。ごめん、ちょっと用事を思い出した」
無視する訳にもいかないのでガンツに一言断りを入れ、私はレベッカさんのところへと向かった。
「お、おい?!」
背後でなにやら慌てるガンツを尻目に、早足で移動する。
なんだ、これ。
なんなんだ、これは。
「あら、ミレイちゃん、もうご飯は食べ終わったの?」
「あ、はい。なので少し暇で。お喋りしてても良いですか?」
レベッカさんがご飯をとっていたのは私たちの外側だ。
といっても冒険者たちが食べるのは焼き固めたパンのようなもので、簡易食と呼ばれるもの。
子供たちが昼食をとる間はあたりの警戒を担うため、悠長にご飯は食べていられないからだ。
なのでレベッカさんもすでに食べ終えており、子供たちの周りで見張っている。
まだニックさんは到着していない。が、あと2ケルほどだから数分もすればここにたどり着くだろう。
採取予定地はギルドで把握しているから、迷うこともないはず。
その時にすぐ動けるようにするなら、ここに居るのが良いと考えた。
レベッカさんの持ち場は一番ではないけれど、村方面に近いから。
本当なら一番近いところが良いのだが、そちらはお堅いアルトさんたちなので気軽に話せる仲でもない。
「私は良いけれど……ミレイちゃん、村の子たちとは食べないの?」
あぁ、やっぱり気になるのかな。
「うーん。小さい子の相手ってどうもうまくいかなくて。私っていつも兄や大人と話すことの方が多かったので自分よりも年下の子たちとはあんまり話したこともないんです」
流石に自分よりも年下の子に混ぜてもらうのはどうも落ち着かないし、それなら一人の方が楽だと思ってしまうんですよね。
名前と顔が一致するくらいの交流はあるけれど、そもそも私が積極的に関わってこなかったしなぁ。
「それに、村の歳の近い女の子たちはもうおまけカードは卒業してますし『お年頃』ってやつなので。私は気にしなくても、やっぱり相手は気になるんでしょうね」
大体17までには決まった恋人が居るのも普通なご時世、アプローチをかけられてるにも関わらず拒否する私は、言ってみれば彼女たちの恋敵となりかねない存在なのだろう。
なるつもりもないけれども。




