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そんなことを考えているうちに、どうやら時間が来たようだった。
冒険者チームとマスターたちが私を含む子供たちを見て、こちらへと歩いてくる。
腕時計を見ると12刻28分。まだ少し早いが、全員揃ったのならば問題はないのだろう。
というか、私が来たのがラストだったという事実が少しいたたまれない。いや、間に合ってはいるし。着いたの5分前だったからセーフだと思うんですよね?
「よし、参加者は全員集まったな? 一応確認するからな、名前を呼ばれたヤツは返事しろ」
ゴードンさんによりどんどん子供たちの名前が読み上げられ、子供たちは元気に返事をしていた。もちろん私も呼ばれたので、ハキハキと言葉を返しておく。
「……よし、大丈夫だな。じゃあ説明するからしっかり聞けよ。前に参加したことのあるヤツも、毎年のことだからって、適当に聞くんじゃねぇぞ、良いな? そんじゃ、これから西の森に向かう訳だが……」
一応真面目に聞いていたが要約すれば、採取のための麻袋は貸し出すが、薬草は種類を問わず2本で麻袋と交換可とするので返却の際にどちらかを選択して返却すること。破損などをした場合は必ず買い取りとし、薬草2本を返却すること。
森はここから3ケル離れた場所にあるが、危険なので決してひとりで行動しないこと。もしも魔獣が近寄ったりの危険があった場合、必ず冒険者の言うことをきくこと。
森の中腹までは全員で行動し、採取予定地では各冒険者チームにつき子供たちを割り振り、各自で少々バラけて採取することとなった。
バラけて、といっても個人ではなく、割り振られた人数でまとまって動くこととなる。
私は何の因果かレベッカさんのチームに割り振られることになった。割り振りを決めたのはおそらくゴードンさんかハインツさんだろう。ガンツのとこでなくてほっとした。
ガンツがそれに不平を言うことはなかったが、表情は明らかに不満そうであった、とだけ言っておく。
「あと、魔獣には冒険者が対処するが、近寄ってくるかの把握は各自でしてもらうからな。あぁ、見つけても大声は出すなよ。必ず、静かに冒険者に報告すること」
薬草採取とはいえ、魔獣は結界を一歩でも出れば簡単に遭遇してしまう。
そのため、戦えるかどうかはさておき、近くに魔獣が居るかどうかの把握能力が求められる。
見つけられれば逃げることも出来るし、今のように冒険者が近くに居れば助けを求めることも出来るから。
まぁこのあたりの魔獣は例外のグレートクロゴリラを除けばEランクとFランクしか居ないし、グレートクロゴリラは北から東方面に生息していることがわかっているので、まずこちら側には来ることはないだろう。
というのも、西側には薬草が多種生えているためこのような依頼もあるのだが、その薬草のひとつにグレートクロゴリラの忌避する薬草があるからです。
「質問のあるやつはいるか? 居ないなら、健闘を祈る。俺とハインツはギルドで待機してるからな。採ってきた薬草でお前たちが売りたい分についてはハインツが全部買い取りをしてくれっから、頑張って採って来いよ」
「期待して待っていますからね」
皆一斉に返事をすると、森に向けて出発となった。
さてさて。良い薬草が採れると良いんだけど。




