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「ミレイ……? あな、あなたいつからそんな、スラスラ、喋れるように……?」


 怯えたように目を泳がす母。

 あぁ、やってしまった。

 だがまだだっ! まだ乗り切れるはずっ!


「か、あ、しゃ、ま~」

 たどたどしい口調を何とか絞り出せば、目の前の母は茫然自失状態。

「か、しゃま~」

 駄目押しにもう一回! と反復すると、母は自分を取り戻したようで、はっとした後、私を抱きしめた。

「ミレイが、ミレイが喋ったわ! あぁ……初の言葉が『母さま』だなんて!」

 どうやら、最初のセリフはスルーしてくれたようだ。

 あぁ、良かった……。ここで気味悪がられたりしたらこの先私生きていけないっ。


「はっ! あの人にも知らせなきゃっ」

 そう言って、母さまは私を持ち上げて抱っこに変え、扉をくぐり、階段を降りていった。

 なるほど、私の部屋は2階か。


 階下には、予想通りというかなんというか……父さまと兄さまがいた。前世で一人っ子だった私は、兄がいるのがとても嬉しいぞっ!


 そういえば本能で生きてきた、とさっき言ったが、赤ちゃんの時には記憶も何もない。

 だが、その分まわりから知識を吸収しようとするんだ。

 食事の仕方、言葉、まわりの人間の敵意、名前、かたち、空や地面、あとはそう景色とか。

 生きるために頭をフル稼働させるから、赤ちゃんって睡眠が多いらしいよ?

 桜良の時に聞いた話だから信憑性に欠けるけど。


 まぁそんな訳で、私は母の名前やラナエという父の名前、そしてパリスという兄がいることも知っている。

「あなた……ついにミレイが喋りましたっ」

「え?! マリーナ、本当か!」

 父さまが母さまの言葉に反応し、すぐさま食卓から駆け寄ってきた。

 兄さまは目を見開き、テーブルから動こうとしない。


 あぁ、ちなみに父さまはさっきまで階段に背を向ける形で食卓についていて、兄さまは扉側の椅子に座って、階段側を向く形で父さまとちょうど相対する席についていました。


「えぇ、ミレイ、何かしゃべってあげて?」

 上を見上げると、母さまが首をかしげてこちらを見ていた。

 優しい母さまの笑顔には逆らえません。

 なので、私は父さまに向き直り、満面の笑みを向けた。


「とぅ……しゃまっ!」

 ……ちょっと噛んだ。けど許して欲しい。

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