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「ほらほら兄ちゃん。そんなんだから大好きな居眠りっ子に嫌われちゃうんだよ~」
「まぁこれこそ、あれだよね~、自業自得だよね~。かまってほしいのはわかるけど~」
そう囃し立てるのはガンツの3つ下の弟であり双子である、ビット君とジリー君。
まぁこの言葉でわかる通り、非常に、非常に不本意ながら、ガンツは私にどうも惚れているらしい。好きな子ほどいじめたくなるってやつだ。はた迷惑な。
「ば、バカっ、お、俺は別にそんなんじゃっ」
などどガンツは慌てながら弁明しているが、真っ赤になったその顔では全く説得力がないと思うよ。
というか、もっと視野を拡げたら良いと思う。手近な村で探すんじゃなく。
都会には私より美人なんぞ腐るほど居るんだからそっちに行ってくれ。
お前だって顔はフツメン以上ではあると思うから。
……というか、日本でもそうだったが、アースガイアでもブサイクは見たことがないな。私の感性の問題かもしれないが、これまで生きてきて見られないほどのブサイクにはまだ出会ったことはない。地獄での年数は除外で。
「おぉぉお前が悪いんだからなっ!? さっさとカードも作らねぇからっ!」
私は更に自分の視線の温度が下がって行くのを感じつつ、内心でため息をついた。
コイツが私のカードに固執する理由もわからなくはないが、わかりたくはない。簡単に言えばまぁ、アースガイアでの結婚の条件が年齢などではなく、ギルドカード所持なんですよね。
……しかし、今年はコイツも一緒か。
ガンツは13の時にいち早く正式なギルドカードを作り、自慢していた。
彼ら『天翔破岩』はその時に村の子供たちで立ち上げたチームで、他のチームメンバーは現在は15歳から16歳の若手のみで構成されている。
年上が居るにも関わらずガンツがリーダーなのは、チームへの勧誘をしたのがガンツだから、ギルド員としての年数はガンツの方が長いから、とかまぁ色々と理由があったのだろう。
つい最近一番下の子がDランクになり、チームランクがCランクとなったというから、ギルド側としても今回の依頼はちょうど良かったのだろう。
確かにリーダーであるガンツはほぼ1年でCランクにまで上がっている。それはうちのパリス兄さんと並ぶ成長具合だし、強さはあるのだろう。
今回の護衛依頼、アルトさんたち『鉄の盾』の役割はガンツたちの育成と、ある意味で監視かな。




