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結果に少々気落ちしたレベッカさんだったが、ペンダントを元々しまっていた皮袋に入れなおすと、その表情はむしろ晴れ晴れとしていた。
「この村での仕事が終わればマギに行くことになると思いますし、そちらでお願いすることにします」
「そうですか。お力になれず申し訳ございません」
「いいえ、直ることがわかっただけでも嬉しいので。では失礼します。ミレイちゃん、行きましょ」
レベッカさんが振り向いて声をかけたので、今まで彼女の後ろで黙って見ていた私もラグドールさんに一礼し、レベッカさんとともに店を出た。
「レベッカさん、よかったんですか?」
「あぁ、良いのよ。今すぐは直せないけど、どうせ数日中にはマギには行くことになるんだし。むしろここでお願いしたら、行き違いになっちゃうからね」
確かにそうだな。
まぁレベッカさんが良いのなら、それで良いのだろう。
最後に行くことになったのは『エリーの服飾商店』。
アースガイアにも綿のような植物や、蚕のような魔獣というか魔虫、シェルフライが存在するので布はある。
このシェルフライ、冬になるにつれて気温が多少下がると、幼虫の時には毎年繭になるのだという。その脱け殻を糸にするのだそうだ。
成虫は透明な翅の蝶々みたいなやつで、その鱗粉は夜になると光るため、水印と呼ばれる蛍光塗料のようなものに利用されている。
看板の文字をなぞり書きする塗料とかだね。
主に暑い地域に生息するようだが、フリージアの一部の集落で飼育もされているので、今のところ絶滅する危険はないようだ。
ここは新品から古着まで幅広く扱っているが、服の型は主に半袖、長袖、タンクトップ、ズボン、ロングスカート、フード付きローブ。それからスカート下と呼ばれる薄手のズボンだが、ミニスカートや短パンは存在しない。
そんな短い服は需要がないからです。
村や街中ならともかく、外に出ることがあれば虫刺されでヤバいことになるからね?
結界があるので、村の中であれば夏の虫刺されは心配ないけども。天国です。
ローブは魔法使いとかが着ているようなものを想像してくれれば良い。
これはどんな職業であっても着る、いわゆる外套で、色もなかなかにカラフルなものがある。
ただし、色つきは少々お高い。
大体は魔獣の皮を保存液に浸して加工するので灰色となり、その上に色づけをするのだけれど、塗料はクズ石と呼ばれる宝石になりきれなかった鉱石が主なので、大体銀貨5枚程度高くなる。
けれど、銀貨5枚であればつまり地球で言う5000円なので、一般人であっても気軽に色つきを買うことが出来るため、様々な色のローブを着ていたりする。
ただし、柄もつけるとなると、専門の職人がやることとなるので、お値段ははね上がります。
私のローブはもちろん元々の灰色です。
服の染色は植物由来の染め物だけれど、お値段は大体生なりのクリーム色のものと比べると倍になる。
色のもととなる植物がフリージアにしか生えておらず、更に職人による手染めなのでお高いのです。
柄付きともなれば20倍にはなるね。




